「Dear my future」駒田蒸留所へようこそ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Dear my future
P.A.WORKSのお仕事アニメと聞いたら、アニメ映画ファンの自分はまんまと釣り上げられました。喜んで初日に鑑賞です。入場特典はステッカーでした。
思っていた通り大好きなお仕事アニメ映画でした。
ウイスキーを製造するためのブレンドをメインに据えるという中々に題材は渋いですが、そこは流石P.A.WORKS、アニメならではの進め方で、ワイン造りの細かさだったりを分かりやすく説明してくれますし、1人の青年の仕事への情熱を燃やすきっかけ作りにもなっていましたし、現代でのコラムでの文章ミスから起きる炎上も扱っていたので、全体的に緊張感の蔓延るお仕事アニメに仕上がっていました。
ワイン造りの記事を書く事になった高橋、最初は全然乗り気でなく、周りにも迷惑をかけてばかり。しかし、会社の人々の情熱に感化されて自分を見直していき、琉生は"独楽"の復活のために様々な準備をしているが…といった感じのあらすじです。
琉生は本当に優しい人、思うところはあっても声には出さず、とにかく自分の事、会社の事を思って行動している様子が強く描かれます。基本的には感情を表に出すタイプではないですが、高橋の苦言に対してはこれでもかってくらい感情を露わにして怒っていたのはとても印象的でした。
河端さんは真面目で厳しい人、当たりは強いですが、その分仕事熱心、アドバイスも怠らない、良い上司ポジションだよなと思いました。
高橋はどの仕事も長続きせず、仕事にも意欲を見出せないかなりダメな人。最初の取材では誤って違う取材先の事を質問してしまったり、覇気のない返事ばかりしていたり、琉生に対して心無い言葉を投げかけたりなどなど、中盤までは救いようのないダメ人間でした。
しかし、琉生が家族の想いを汲み取って駒田蒸留所を引き継いだ事、"独楽"を復活させるために日々邁進している事、夜遅くまでブレンドをしているなどなど、仕事熱心な彼女の姿に感銘を受け、心を入れ替えたように仕事にのめり込んでいく様子は観ていてとても良いなと思えるシーンでした。
しかし順調には進ませてくれないのがこの作品で、高橋の書いた記事の直したはずだった部分がそのまま投稿されてしまっており、圭が務める会社への批判的な文面になってしまうというのはもうなんとも皮肉にしか思えませんでした。
ただ上司と謝りに行った際、圭が現れて連載を読んでくれており、琉生がしっかりとウイスキーに対して向き合っている事に喜んでいるというのは兄妹愛が伝わってきました。
順調にワイン造りが進んでいる最中、漏電が原因で火事が起きてしまい、"独楽"の原液と"わかば"の原液の一部が焼失してしまうという、やはり一筋縄ではいかない物語が展開されていきます。
このタイミングで兄からの買収の話に応じようとしますが、それでもやはり"独楽"復活を諦めきれない社員たちが声を上げ、再び"独楽"造りに勤しむ様子は朝焼けも相まって熱いシーンになっていました。
クラファンと同じ定義で、記事を書いてさまざまな原液を募るという行動も、高橋が成長したなというのが感じられるシーンでした。
そこから会社総出、兄もやってきて"独楽"の再現に勤しむ琉生たち、足りなかったパーツに母親を加えて、見えなかった文字だったり、母の笑顔だったりであの時代の"独楽"を再現できるところまできたんだな、嬉しいだろうなというのがヒシヒシと伝わってきました。
"独楽"完成直前の駒田蒸留所に昇進した高橋と昔の高橋のようにだらしない部下が訪れる様子が描かれ、その後も交流は続いており、それぞれの仕事に励んでいる様子が描かれて物語は締まります。
声優陣はもう皆様方本職。どのシーンも安定して聞いてられます。早見さんの声の癒し効果は今作でも炸裂していました。あの声でめちゃくちゃ怒られると、否が応でも反省せざるを得ないよなと思いました。
扱うテーマはかなり難しいものですが、ウイスキー造りに命をかける人たちと、それを伝えるために奔走するライターの話として見ると、静かに、だが情熱は確かに伝わってきてとても面白かったです。上映時間も91分でとても観やすいのでオススメな1本です。ぜひ劇場でご覧ください。
鑑賞日 11/10
鑑賞時間 11:20〜13:00
座席 J-4