「最後まで展開が読めない」ランガスタラム でゑさんの映画レビュー(感想・評価)
最後まで展開が読めない
1980年頃のインドの話だと言う。
かなりプリミティブな様子で描かれていて
素朴なインドの田舎風景と相まって物語は進行していく。
全体的な雰囲気としては「ムトゥ 踊るマハラジャ」の様な雰囲気であって
インドの民謡もふんだんに使われ
昔のインド映画の雰囲気だった。
しかし気になるのは「RRR」に出演したラーム・チャランの存在。
耳が不自由と言う事以外ちょっと掴みどころが無くて
非常に衝動的な性格として描かれている。
つまり全然主人公っぽくない感じなのだ。
身内が侮辱されたと聞いて侮辱した奴をボッコボコに殴りつけたりして
あまり主人公らしくない。
そのうち後に嫁となるサマンサ・ルス・プラブとの恋愛物語が始まる。
ここら辺は安定のインド映画。
ダンスシーンも出てきてまさに待ってましたの展開。
ところがこれも尻つぼみ。
あれあれ?違うの?と思うと
地方をプレジデントと呼ばれる実力者がランガスタラムが牛耳っている。
ここら辺は日本の時代劇の悪代官の役どころだなと思ったら
主人公の兄が選挙に出馬して
その汚職まみれの政治を変えていこうとする。
これもあれあれ?主人公が立ち上がらないの?と思う。
なんか選挙で革命を起こすって言う風な政治ドラマになるのかな?と思ったら
何故かいままで選挙に出馬する候補者が死んでいったと言う過去がある。
なるほどこれはプレジデントに楯突くと何かあると言うわけね。
それに打ち勝って我らの大勝利で終わるというわけかと思ったら
これも兄が殺されてダメになってしまう。
えっ?ここで主人公が代わりに出馬するの?と思ったら
それもしない。
んー?どうなってんだこの物語は?と思ったら
バングラビートの強烈なタンスシーン。
あまりに過激でうるせえなと言うくらいのものだった。
ここら辺から物語が少しづつ変化していく。
だんだんと祭りの熱狂さで少しづつ狂気じみてくる。
ただここも大規模なダンスシーンがあってそれも中途半端に終わる。
その後の物語は伏せるが何故前半が素朴な昔の映画だったか。
主人公が衝動的であまり主人公らしくないとか
後半になるにつれて音楽もだんだんと熱狂的になり
意外な展開を迎える。
最後にこの映画がたどり着いたのは
サスペンスという事になった。
こちらは「へっ???。」となってしまうけど
前半全ては最後の伏線であったという事が分かる。
最初は「踊るマハラジャ」の素朴なインド映画という感じがしたのだけど
最後の最後は結局現代劇になった。
それもまるでパク・チャヌク監督の韓国映画っぽいエンディング。
やっと腑に落ちたという感じ。
多分インド映画に明るくハッピーという要素を求めるなら
この映画は全然ダメだと思う。
自分の想像するインド映画の斜め上を行ってる感じだと思った。
だからインド映画=明るくハッピーと捉えている人は
未消化感がハンパない。
でも1つ1つに伏線があってエンディングにカタストロフィーが待っているという事を考えると
最後はこういう事だったんだという感じになると思う。
未消化感が強いから評価しない人もいると思うけど
個人的にはそこそこ面白い映画だと思った。
インド映画が好きな人は是非。