「オオカミの家」コロニアの子供たち 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
オオカミの家
ヘンデルの「サラバンド」が希望のシンフォニーに、
変換される事を祈る。
「星の子」「ウェイコ事件の真相」「オオカミの家」
「A」等々、youtubeでも話しているので、
そちらで。
少しだけ、
印象的なのが、施設の入り口に掲げられた「a place called dignity」という看板だ。
これは、皮肉にも、その場所がいかに人間の尊厳を踏みにじっていたかを象徴している。
施設という非人道的な空間において、
あえて「dignity」という言葉を用いることで、
その言葉が持つ意味の空っぽさを際立たせ、
観る者に強烈なインパクトを与えている。
【蛇足】
dignity 尊厳のキャッチボール、
「グリーンブック」で書いた蛇足。
ブレント・スコークロフト元(ジョージ・ブッシュ)大統領補佐官
が湾岸戦争を早々に撤退することを決めた理由。
クェートに協力する形だけですぐに撤退。
その理由は、
イラクが求めているのは、
managementでもなく、freedomでもなく、dignityだと。
Dignityを求めている国民に干渉してはいけない。
なぜなら圧倒的な軍事力を使用しても絶対に勝てないのは、
ベトナムで経験済み。
相手にとっては聖戦、
とスコークロフト。
第二次大戦の教訓で90年代前半くらいまでは、
【建前】だけでも世界中の常識かと思われていた。
が
息子ブッシュ以降の事はみなさんもご存知のとおり。
ブレント・スコークロフト、
ヘンリー・キッシンジャー、
後藤田正晴、
決してあからさまに表舞台に出ないで、
首相や大統領を国民ファースト風に演じさせた官房長官、
大統領補佐官。
この人達の言動が印象的だ。
後藤田正晴はあさま山荘事件の時に犯人たちを全員生きたまま逮捕しろと命じていた人。
理由は、醜態を晒して犯人たちのdignityを崩壊させるため、
そして国民のdignityとシンクロさせないため。
いつの時代も、古今東西、
このdignityこそが人間である理由と同時に戦争の火種でもあり、
映画の企画のタネにもなる。
ロッキーとアポロ、
オプティマスプライムとメガトロン、
ダンプ松本と長与千種、
同じ背広は買えるが、靴は買えない・・・
古今東西の時空も超えて、
猿人の闘いや進化にも尊厳が関係していたのか、
『2001年宇宙の旅』のHALの反乱の理由もこれだ。
プログラムされていないはずのdignityに気付き始めたコンピュータの反乱。
dignitydignity・・・
デイジーデイジーそんな気持ちわかるでしょう・・