「クロス=大天使ミカエルの“生“へのブレない姿勢に感動」アスファルト・シティ ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
クロス=大天使ミカエルの“生“へのブレない姿勢に感動
主人公クロスは大天使ミカエルを模したシャツを常に着用しており、
その”生“を守ることへの姿勢は終始ブレることはない。
揺さぶられつつもブレない。
ここが本作の軸だと思うが、クロスを演じるタイ・シェルダンが見事に表現してくれている。
ショーン・ペン演じるラットとの死生観が異なるクロス。
それはマイケル・ピット演じるラフォンテーヌからもクロスは聞いており、
ラットから直接聞いたときの衝撃は凄まじい。
クロス自身も”自身の死“を意識するほどに。
それにしてもNYの救急救命現場の凄まじさたるや、圧倒されるばかりである。
必ずしも出動が救命に限らないところも。
何ら報われることはなく(それは他人からの評価という側面においてだが)
時には罵声を浴びせられる彼ら。
実際、そこに従事する人たちの自殺が増えているらしい。
それを知ると何とも言えない切なさをおぼえた。
本作は救命現場のエピソードが多数用意されているが、どれも重厚だ。
TOKYO MERと異なり、そのエピソードひとつひとつがリアルだ。現実だ。
クロスは生命の守ることを矜持としているが、
他の同僚たちはそうとも言えない。特にラットが同じ考えではないことを知ったクロスは
衝撃を受けたし、私も衝撃だったが、ラットの考え方の一切を否定できるかと言われると
そうとも言い切れない。これが本音だ。
あまり期待せずに臨んだ本作だが、望外に私の心に突き刺さった。
思わず🈶パンフレットを購入するほどに。
ラットの自殺とそれを目の当たりにしたクロスの慟哭には
心を揺さぶられたし、生とは何なのか、あらためて考えさせられた機会となった。
TOKYO MERをご覧になったみなさんに、本作のアプローチも是非ご覧いただきたいと思った。
医療に従事されているみなさんへ感謝しつつ。