「VR救命救急24時」アスファルト・シティ すーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
VR救命救急24時
予告編を見た感じではショーン・ペン扮するベテラン救急救命士が新人救命士をビシバシしごいて一人前にするストーリーを予想していましたが。
NYのハーレムを舞台に救命士の抱える心の闇にフォーカスしており、ありきたりの訓練もの映画ではなかったです。
前半は特にストーリーらしいストーリーがなく、ドキュメンタリーのような緊迫した救命救急シーンが脈絡なく続きます。
助けなきゃいけない患者が揃いも揃って犯罪者まがいのクズばかりで、主人公の置かれた状況に観てるこちらもイライラ、うんざりしてくる。
しかし、このイライラが後半になって効いてくる。
日々、命が失われる現場にいると死に対して鈍感になるというのは想像がつくし、相手はクズばっかりだし…とはいえ。
患者をジャッジして命の選別に走る、のはやり過ぎですね。
もう1人の救命士のように患者のドラッグをくすねたりするのはまあアリなのか?
どうせ誰にもバレないし?
いやいや、これじゃどっちもどっちでしょう。
主人公は最初は青臭い理想論をふりかざしていますが(ヒーロー・ボーイと揶揄される)、シビアすぎる現実にどっぷり浸かり、終盤にかけて心が壊れかけていくのが観ていてしんどかったです。
特に主人公の心理を音や揺れる映像で表現する演出、あなたならどうする?と突きつけられているようで息苦しくなりました。
このままバッドエンドだったらどーしよう?と不安になりましたが、主人公の理想がかろうじて守られるラストに安堵。
ショーン・ペンは相変わらず、酸いも甘いも噛み分けたイケオジだし、新人救命士役のタイ・シェリダンがクールな表情の中に繊細さを秘めた演技で大変良かったです。
(調べたらわりと色んな映画に出ているようですが、ノーチェックでした)
今後の活躍が楽しみです。