「【ニューヨークで命懸けで働く、救急救命士たちの過酷過ぎる労働環境の中で奮戦する姿をキツイ描写の数々で描き出した、問題提起作品。ラストに流れるテロップが訴えるメッセージは重いです。】」アスファルト・シティ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【ニューヨークで命懸けで働く、救急救命士たちの過酷過ぎる労働環境の中で奮戦する姿をキツイ描写の数々で描き出した、問題提起作品。ラストに流れるテロップが訴えるメッセージは重いです。】
■ベテラン救急救命士ラット(ショーン・ペン)とコンビを組む事になった、医学部入学を目指す新人クロス(タイ・シェリダン)。
夜間任務を行う中で、チンピラ同士の打ち合いで心停止した若者は人口蘇生を試みるも蘇生せず、酔っ払いのオバサンや薬中のオバサンにもや罵られる。
そんな中、ラットは飄々と仕事をこなすが、ある日元妻と彼に生き甲斐であった愛娘は、引っ越しをし、仕事では薬物中毒の母親が自家分娩をした際での、ラットの新生児への対応で二人は謹慎させられ、ラットは事務職への異動を命じられる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤からキツイシーンが続く。あれでは、心身がやられるだろうな、と思っていたら同僚がクロスの事を“持って、二週間だな。”などと言っている。
・NYはこんなに荒んでいるのかというシーンの数々。救急救命士を呼ぶ殆どが有色人種であり、DV、クスリ、など様々な問題を抱えている事が、描かれる。
・徐々に疲弊して行くクロス。だが、タフに見えたラットはある日、薬物中毒の母親が産んだ新生児のに対する対応で謹慎処分になってしまう。
ー ここで、ラットの代わりに来たヘビメタ好きの救急隊員の男の態度が、マア凄い。死にそうな薬中の男が点滴を受けているのに、”いつか、死ぬだろ。”と言い、男のポケットにあったヘロインを自分のポケットに入れたり、完全に開き直っている。
だが、そうしないと神経が持たないのかもしれないな、とも思う。-
■マサカノ、9.11の修羅場を経験したラットの飛び降り自殺にはビックリする。だが、その予兆はキチンと描かれている。
今作を製作したソベール監督の”救急隊への攻撃的な反応と、慢性的な人手不足には、崩壊した医療制度がある。”という言葉が頷ける内容である。
<ラストのテロップでのメッセージは重い。”救急救命士の近年の死者数は、殉職よりも自殺が多い・・。”
それが本当ならば、米国を統べる男は他国にちょっかいを出していないで、自国の足固めをするべきではないのかな、と思った作品である。
だが、ラストシーンで、火災の中クロスが建物に飛び込み、子供を助け、病院で涙を流す母親から”貴方はあの子の命の恩人よ!”と言って抱き着かれ、ベッドで寝ている子のクロスを見る優しき目に、少しだけ救われた気持ちになった作品でもある。>
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