「ストレスはサイレント・キラー!」ネクスト・ゴール・ウィンズ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
ストレスはサイレント・キラー!
タイカ・ワイティティが好きなので見ました。映画のアメリカン・サモアの人は老若男女、ふっくらした体型でみんな幸せそうに見えた。白人のことを痩せて貧弱とか、スピリチュアルに弱いとかいいところ突いていて笑えた。「白人」が野蛮で怖くて神経質に描かれていたのはある意味当たっている。小品だけどなかなかよかった。
気に入ったのは奇跡のサッカー試合の様子を映像だけで追うのでなくて、サモアの人々に語らせた点です。そのシーンは二つ。一つは熱中症と興奮で倒れて簡易ベッドで横になっているパパ(でありアメリカン・サモアのサッカー協会会長)に試合の様子を語る出場メンバーでもある息子。話に一喜一憂しながら耳を傾けるパパとママの様子がとても心に沁みました。もう一つは、その試合を島の古老が我らのヒーロー達の話として子ども達に絵本で物語る場面です。口承で伝えることで記憶を共有するプロセスの場に居合わせたような気持ちになりました。あともう一つは、サッカー協会会長のタヴィタと監督(ファスベンダー)が同じ祈りの場所に居るのに、直接顔を見て言葉を交わさず、神に述べることで自分の気持ちを相手に伝えている最後の場面。間接的なコミュニケーションが優しく和らいだ空気を作っていました。面と向かって話す、というのはもしかしたら危険で野暮なやり方なのかも知れないと思いました。そういえばタヴィタは比喩の名人だった。
第三の性であるジャイヤを演じるカイマナとてもよかった。カイマナ本人もそうなので説得力があった。普通にみんなと一緒でみんなから一目置かれ大切な存在と認識されているのがいいなあと思った。ファスベンダーは最高で役の幅が広い人だと初めて知った!
おまけ
ファスベンダーがテレビで見ていた試合の監督だかコーチはもしかしてアル・パチーノ?「エニイ・ギヴン・サンデー」?知らない・・・!パチーノも色んな役やってるんだなあ