「主人公の衝撃の過去には唐突感が否めない」ネクスト・ゴール・ウィンズ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公の衝撃の過去には唐突感が否めない
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舞台となるサモアの土地柄にマッチしたユーモラスな語り口は楽しめるし、劇中で何度も引き合いに出される「ベスト・キッド」のように、予定調和そのものの展開も心地よい。
クライマックスのゲームにしても、途中から、選手の回想として語られることによって、ドラマチックさが増すように工夫されているのもよい。
個性的でクセ者だらけのチームのメンバーだが、特に印象的なのは、「第三の性」の持ち主であるキャプテンだろう。
彼女(彼?)と主人公の監督が、ビデオを見ながら戦術を考えたり、以前の代表メンバーをリクルートしたりするところは、チームが強くなっていくことに説得力を与えているし、監督が彼女のことを間違えて呼んだ名前が、後に、監督の亡くなった娘の名前であることが明らかになるくだりでは、彼らの関係性の深さが実感できて、思わず胸が熱くなった。
ただ、監督が、自分の辛い過去を打ち明けるそのシーンは、衝撃的ではあるものの、前後のシーンとの脈略があまりなく、唐突な感じがしないでもない。
よく考えれば、監督が、試合中に物に当たったり、職を投げ出そうとするほどイラついていたのは、自分の不幸な身の上を試合展開に重ねていたからなのかもしれないし、選手達に「勝つことに囚われずに試合を楽しめ」とアドバイスできたのは、恵まれない境遇を嘆いてばかりいた自分の姿に気がついたからなのかもしれない。
ただし、そうしたことは、明確な説明がある訳ではないので、脳内で補完するしかない。
物語の鍵となるエピソードだっただけに、そんなところにモヤモヤしてしまったのは、少し残念だった。
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