「ただのホラーではない今を映す鏡のような作品」DASHCAM ダッシュカム 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
ただのホラーではない今を映す鏡のような作品
ロブ・サベッジ監督の作品は初見。
たまたまtwitterでこの作品のアニーのシーンが流れてきて、その衝撃にこの作品へ興味を持ち、上映時期に観るタイミングは逃したもののようやく観れた。
「ザ・ベイ」や「クロニクル」からも影響を受けていそうな今までとは一味違う準POVの撮影手法や今までにない恐怖シーンを作ろうというチャレンジング精神は単純にホラーとして新鮮味があって面白く、”ホラーのわんこそば”を食わされてるんじゃないかとも思えるような多種多様な忌避表現、恐怖の畳みかけは個人的に結構好みだった。
上映時間79分とは思えないほどのそんな恐怖の詰め込みっぷりは、クールなライムを紡いでいると思ってるアニーに対する皮肉にも感じられるストーリーで、それでいても尚最後まで変わらないアニーみたいな人間もいることを作品を観ることで感じる”共感出来ないからこそ”面白い作品だった。
コロナ禍に”全人類協力して乗り切ろう”って最中、各地に迷惑を掛け世の中に唾を吐きかけるようなアニーが特徴的な"赤いキャップ"を被って分断を煽るような活動をしているのがコロナ禍から現在にも繋がる問題としても考えられる問題の根深さも感じるし、そんな"アニー・ハーディ"を演じて請負うアニー・ハーディさんに尊敬の念を抱いた。
更に全編観賞出来ている観客とは違い、都度都度接続が切れてツギハギの映像しか見れない視聴者が誰もアニーの安否を心配せず真偽だけを気にしている姿が、道を踏み外していたり踏み外そうとしている人に手を貸さない冷笑している者達への批判にも見えて、個人的には色々考えてしまったし、自戒の為にも覚えておくべき作品にも感じた。
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