「【今作は復讐の相手を殺して目が覚めると”おはようございます。6月6日、月曜日。晴れ。今日の花はアイリス。花言葉は”希望”です。”とラジオから流れるループの日々を送る男の姿を描いたSF作品である。】」ペナルティループ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は復讐の相手を殺して目が覚めると”おはようございます。6月6日、月曜日。晴れ。今日の花はアイリス。花言葉は”希望”です。”とラジオから流れるループの日々を送る男の姿を描いたSF作品である。】
■朝6時に目覚めた岩森(若葉竜也)は”おはようございます。6月6日、月曜日。晴れ。今日の花はアイリス。花言葉は”希望”です。”と流れるラジオを聞きながら、身支度をして家を出て、水耕栽培の会社に行き、恋人・砂原唯(山下リオ)を殺した溝口(伊勢谷友介)を殺害する。
翌朝目覚めると周囲の様子は昨日のままで、溝口もなぜか生きている。状況が掴めないまま、岩森は何度も復讐を繰り返ししていく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・東大卒の荒木伸二監督の初長編作のディストピア・ミステリー『人数の町』は、可なり異色な作品であったが、今作も可なり異色である。
作品の中で展開される世界には現実感が最初から無いのだが、その理由が再後半の明かされる作品設定はナカナカである。
・岩森と溝口が何度も殺し殺されを続ける中で、徐々に会話を交わし、途中では一緒にボーリングもするのである。そして、溝口が岩森に言う台詞。”今日も俺を殺すのか。”
・砂原唯と溝口は何か関係があるようだが、それは敢えてか明かされない。砂原唯を最初に岩森が見つけるシーンで、彼女は何処かの海岸で、書類を燃やしている。質問をする岩森に彼女は言うのである。”質問禁止。”
■途中から、徐々に物語構成が分かって来るところが、チョイ惜しい。どこかの事務所で”何度でも復讐する”と言う契約書に同意する岩森。
そして、最後半に彼が見ていたのは、”何度も岩森を殺す事で、復讐を果たした気持ちになるVR世界”に居た事が分かるのである。
多分、砂原唯は自分が望んだように岩森に殺されていて、岩森は何処かで生きているのだろう。
だが、ラストの自動車を運転する中で、事故を起こした岩森が、心配して声を掛けた女性に血だらけの笑顔で”大丈夫です。”と答える表情は爽やかなのである。
<今作は”復讐の相手を殺して目が覚めると”おはようございます。6月6日、月曜日。晴れ。今日の花はアイリス。花言葉は”希望”です。”とラジオから流れる復讐の日々を描いた作品なのである。>
