ボーはおそれているのレビュー・感想・評価
全220件中、1~20件目を表示
尽きることのない悪夢的イマジネーションの連鎖に心酔
生きることは悩ましくおそろしい。どうやって生まれたのか、いかに毎日を生きるか、家族の問題にどう向き合うか。そんなことを考えだすともう頭がおかしくなりそうだ。過去のアスター作品からやや趣向を変え(でもやっぱり”家族”が関係するのだが)、本作はホアキン扮する中年男が抱える”おそれ”をじっくり我々に突きつける。ある意味、カフカ的でもあるし、フロイト的、ギリシア悲劇的とも言いうるだろう。序盤のアパート生活のカオスな日常描写には勢いがあり、声を上げて笑ってしまうシュールさに溢れ、目が離せなくなる。そこからいざ帰郷というモチーフが起動するも、案の定、不条理の鎖が足に絡まりボーはなかなか帰れない。この一連の物語をどう解釈すべきか。私は途中から意味に囚われすぎるのをやめた。水辺の小舟に揺られ、アスター流の”おそれ”巡礼を体験するかのように、悪夢的ながら美しさに満ちたイマジネーションの連鎖を心から楽しんだ。
ずっと浸っていたい、妙に笑える悪夢のような旅
アリ・アスター監督作品については、長編第1作「ヘレディタリー 継承」の独創的な世界観とホラー描写に震撼し驚喜したが、カルト教団の閉鎖的コミュニティーを訪れた若者たちを描く2作目「ミッドサマー」はストーリーの独創性という点でやや期待外れだった。そんな経緯もありこの3作目は期待と懐疑が相半ばする気持ちで臨んだが、結論から言えば「ヘレディタリー」を超える一番のお気に入りになった。
不安症の主人公ボー(Beauの発音は「ボウ」と表記するのが正確で、字幕もそうなっているのになぜタイトルと不一致なのだろう?)に次から次へと災難が降りかかり、母親の葬儀に出るための旅もトラブル続きでなかなか目的地にたどりつけないのだが、展開が予想外すぎて笑えてしまう(特にバスタブと屋根裏の両シーンで爆笑した)。「ミッドサマー」にもユーモア要素はあったが、本作は格段にいい。ホアキン・フェニックスによる不安と困惑と恐怖と苦痛の演技が絶品で、アスター監督の演出との相乗効果もあり、地獄めぐりでありながらドタバタ喜劇のようにずっと楽しめる、飽きることのない2時間59分。監督の次回作「Eddington」にもホアキンの出演が決まっているようで、今から楽しみでならない。
アリアスターの魅力が満載。ストーリーを真面目に考えるのは後でいい。
ストーリーとしては分かりにくく、前作前々作と比べたら一般向けの映画からは遠ざかってしまったかも?
今作は基本的にカメラが主人公であるボーから離れず、時折一人称視点での映像が差し込まれるのでボーと一緒に冒険しているような気分を演出してくれる。(監督自身が映画を"体験"してほしいと語っている)
私達はボーと共に旅をした相棒、もしくはボー自身の立場で物語を体験することが出来るようになっており、ストーリーを深く考えるより彼のこだわりの演出や表現を探しながら観る方が私を含む大多数の人間にとっては楽しめると思う。
こういった表現はアリアスター独自のものなので、彼の持ち味を存分に発揮したこの映画を是非楽しんでほしい。
アリアスターの魅力は予想を裏切る展開と、意味不明な世界観、自分が映画を体験しているような臨場感だと思っているので、今作は今までで一番好きな作品だった。
性器の描写やカルト映画的な表現が出てくるので、カルト映画を好んで見る人なら違和感はないはず。
ストーリーに関しては視聴後にYouTubeで町山智浩先生の解説を見ることをお勧めします。
ホラーというより不条理コメディ
主人公ボー(ホアキン・フェニックス)が必死であればあるほど滑稽な不条理コメディ。
怪死した母のもとへ帰省しようとする男の「オデッセイ・スリラー」と題されていますが、ほとんどコメディです。
ホラーを期待して観る人はがっかりするかもしれません。この監督の過去作とは趣きが異なる作品だと思います。
章立ててシーンが大きく展開していきます。
冒頭のシーンがサイケデリックでぶっ飛んでいてめちゃくちゃ面白いです。この世界観で1本映画にしてみてほしいくらいです。
冒頭の勢いが良すぎたので中盤失速したようにも感じられました。
終盤は母子の関係に迫り、待っていましたというシーンがやってきます。ゾッとするような、心臓がギュッとなるようなスリルがあります。
冒頭から最後まで何から何までおかしいまま、納得できるような回答はない(と思う)ので、観る人は選びそうな気がします。
ボーが感じている世界、観ている世界を体感するような作品なのかなと思います。
子どもの時よく迷子になった人は共感できると思う
ボーはやたら治安が悪い所に住んでいる。何の仕事してるんだろう?カウンセリング受けてるからお金はあるのかなあ。カウンセリングって効き目あるのかなあ。私は懐疑的だ。物語を勝手に作られてしまう気がする。記憶は記憶。特に家族に関する記憶に正しいも間違いもないと思う。整合性とか正誤なんかどうでもいいのが家族にまつわる記憶なんだと思う。自分に都合よく記憶は形成されるんだ。
迷子になると子どもは不安になるが、何度もそういう経験をすると迷子状態に慣れてくる。自分からデパートの然るべき所に行って「迷子になりました」と告げて自分の名前と年齢、母親の名前、住所などを言う。なぜ迷子になるのか?母親が子どもの手も繋がず振り向きもせず、満員のデパート地下フロアを先にどんどん歩むからだ。子どもにとって昔のデパ地下には夢のようなお菓子やディスプレイが山のようにあった。だから立ち止まりたい。そういう子どもの気持ちを母親はまるでわからず理解しようともしない。想像力の欠如。
迷子アナウンスが流れてしばらくすると鬼の形相の母親が来る。迷子になった子どもをやっと見つけて母親は嬉しい顔もしなければ心配してたんだよ、とも言わない。子どもだって母親の顔が心配とほっとした顔でなくて怒っていることは見てわかる。だから、自分も嬉しい顔もしないし泣かないしまして笑顔なんてありえない。なんで迷子になるのよ、ちゃんとついて来ないからでしょ、と言いながら母親は子どもをつねるのだ。
そんな子どもの頃の迷子話を大人になって母親にしても忘れている。か、忘れたふりをする。迷子話以外でもとにかくよくつねられた。夫や姑や舅との関係でイライラしていたんだろう。まだ20代の若い母親。かわいそうに。でも子どもの私もかわいそうだったのだ、と言いたい。
自分はこれこれのつもりなり意図をもって何か話したり行動するけれど、必ずしも親なり家族は同じように理解してくれるとは限らない。それは相手もそうだろう。自分だって親や家族や親戚のことを「正しく」理解しているとは限らない。だからボーは誤解されるのだ。誤解されるから不安でいっぱいになってしまうのだ。
不条理な不安でいっぱいのホアキンの顔、情けなくも笑うしかない。咆哮ばかりのメノーシェ、可哀想だけど笑えて仕方なかった、でもいい役だった!最後かっこいい!そしてボー " Mr. Wassermann" はその名にふさわしく水に戻った。
これはやっかいな
好きな監督なので期待していましたが
3時間いったい何を見せられているのか。
かなり難解な作品です。
鑑賞後に、Youtubeで誰かの考察を見てからでないと、
この映画について知人とも語れない状態でした。
色々わかると、凝りにこっている設計がわかって色々つながります。
とはいえ、考察で語られるのは映画の部分的なところにしてほしかった
全編、理解できないのはかなり珍しいケースです。
また、映像中の背景にかかれている英文などにも
ヒントが隠されているのですが
英語力の高い人でないと、読み解くのは
難しいかもしれませんね。
お口直しにスカッと単純な映画でも観ようかな。
坊はおそれている
3時間近くあることを危惧しなかなか見れてなかったけど、公開終了日にしてようやく足が動いた。アリ・アスターの映画を見たことなければ、それほど評判がいい訳でもないし、A24×ホアキン・フェニックスのタッグは個人的に苦手だったので期待してなかったけど、自分の映画癖と監督の作家性がびったりハマって、予想外にもめちゃくちゃ楽しめた。これならもっと早く見とけば良かった。
奇妙かつ不気味で、理解が追いつかないストーリーなのに、次なる展開とホアキンの顔芸が見たくて仕方なくなってしまう。まさに見る薬物。40分置きに切り替わる映像に、一瞬たりとも目が離せない。ちょっと違うのかもしれないけど、過激なウェス・アンダーソンって感じがして、すっごいワクワクしました。周りの感想からして、酷評する気満々だったから驚き。これ、超好物😍
ラスト付近から画面が真っ暗で失速気味になるんだけど、179分間一瞬たりとも睡魔が襲ってこなかった。っていうか、こんなあっという間な3時間初めて。怯えて、走って、ぶつかる!躍動感溢れる、ある意味アクションのようなロードムービーに虜になってしまう。そんな中で、全く成長しない、子どものまんまなホアキン・フェニックスに笑いっぱなし。ちゃんと大人になりきれないって、怖いことなんだな〜。
緊張感にどっぷり浸かりながらも、音や映像に刺激され、全感覚が研ぎ澄まされる。風邪の時に見る夢レベルMAX。ひたすら不安でいっぱいになる。でも、何故だかそれが癖になってしまう。薬物中毒を擬似的に体験できる、今年ベスト級のスリラー。音響が素晴らしく、劇場で見ることに価値のあるという点においても、最高の映画だった。
究極の親子共依存ホラー!
正直、訳のわからない3時間ではありましたが所々が面白いので長いなぁ〜と思いつつも鑑賞できました。
最初はコメディ映画かと思いきや、
ホラーっぽくなり、
サスペンスっぽくなり、
終盤はミステリー……?!!
いや、やっぱりホラーなのか??!
よくわからず、鑑賞後にこの映画のジャンルだけ調べてみたところ
紹介サイトによって様々でした。
謎の多い作品ですね。
自分としては不気味で狂った世界観からホラーコメディかなと思う事にしました。
そしてこの映画は
究極の共依存関係にあるボーと母親の話。
毒母の狂った愛情にボーの全ては支配されているが
実はボーには「母の支配から抜け出したい」という願望があってそれがあの不穏な世界観に反映されているのだと。
自ら不安に身を置き不幸を選ぶことで、母の愛に無意識に反発していたのかな。
それを母親はずっと気付いており「子供からの裏切り行為」だと感じながらボーへの憎しみに似た怒りを抱えていた。
そんな表に出さなかったボーの本心が終盤ついに、ガラスケースにダイブする直前の母親への仕打ちに現れたんだと思います。
これ程までに狂った親子共依存の先に、当然幸せは無いのかもしれません。
そんな母子の異常な狂気の世界をこの作品で見せてもらえたのだ!と思う事にします(^^;;
奥が深すぎて鑑賞後には頭もクラクラ…
疲労もピークになってしまう強烈な作品でした。
オデッセイになれたところで
まず冒頭で多くの人が思うこと。
それは恐らく、「んなとこ引っ越せよ」ではないでしょうか。
ゴッサムシティかと見まごうほどに荒廃した街に暮らす主人公。死体は道路に転がったまま、全裸の通り魔がうろつき、なのに警官が勤しむのはナンパばかり。
しかしなぜかコンビニらしき店の中は安全そのもので、退屈そうな店員が平然と店番をしています。
ここから始まる違和感は徐々に積み重なり、やがてひとつに繋がるのです。
作品を通して、メッセージ性の強さに驚かされました。
画面のどこを見ればいいのか分からなくなるほど隠喩や伏線に溢れ、飽きることがありません。
『オオカミの家』を悔しくも見逃してしまってから絶対行くと決めていた本作、大スクリーンであの世界観を体験できて本当によかったと思います。
……あ、医者家族は気持ち悪かったです。ここは伏線とか思考を巡らせるとかじゃなくただただ純粋に、嫌悪感で軽い吐き気がしました。
悪趣味なコメディ(褒めてる)
設定も出来事もかなり意味不明で、品も無くて笑うしかない。でも親から精神的に虐待されて笑うか潰れるかしかないつらーい気持ちが伝わってくる。親から離れて恐怖から解放されたはずの自分は何をおそれているのか、植え付けられた恐怖から逃れられない自分は何にも値せず、「無」しか無いのか…「頑張ってもどうにもならないね(笑)」といった深い諦めと慰めの笑いを感じる映画だった。
ちょっとボーっとなった
評判がイマイチなのと丸々3時間の上映時間ゆえ、体調万全でないと鑑賞中にボーっとなるのではとおそれていたのだが、アリ・アスター新作を観ないわけにいかず、しっかり睡眠をとった週末にようやく劇場へ。
最初のアパートメントでのフルチンやら全身タトゥーやら、とにかく不安神経症的なホアキンのもろもろへの怯えっぷりはおかしかったものの、話が先に進むとシリアス風になっちゃったり、最後のトゥルーマン・ショーは答え合わせのまとめ感ありで、作中、町山智浩の言うユダヤのなんとかとかいろいろあるのだろうけど、もう考えるのが面倒くさくなった。話とは関係ないけど、巨大ぽこちんの腕が頭に突き刺さるところでスターシップ・トゥルーパーズのバグズを想起した。
あと非常に気になったのは、松浦美奈の字幕では「ボウ」なのにタイトルは「ボー」と音引きになっていること。映画業界の人はこういう不統一が気にならないのだろうか…。
初めて、アリアスター面白いと思った
最初の1時間くらい全部おもしろくて
びっくりした。
強迫性障害で妄想癖のある主人公の
コメディと思って観てた。
もう風呂のシーンは爆笑必至。
これ自分にも思い当たるからおもしろいのであって。
家の鍵掛けたっけ大丈夫だっけ、ってなるときの恐怖感とか、玄関から出ると街が人々が異常にみえるあの感じとか。よくわかる。
だから、それを代弁してくれてるホアキンが
とてもおかしいのですよね。他人事だし。
きっと、おじさんだから見れたってのもあると思うけど
オデッセイ・スリラーってなぁに??
劇場上映がお昼に一回ってとこまで少なくなってきた中、唯一近隣で夜の時間帯に上映してくれていたTOHOシネマズ日本橋(ありがとう!)に駆け込み観賞。
映画館で観てよかったーε-(´∀`; )
コレ、家で観てたら確実に途中離脱してるか流し見に切り替えちゃってるヤーツーwww
前半はとにかく爆笑の連続。
何が起きてるかなんてわかりっこない。でもなんかトンデモナイことばっかり次から次へと起きていく。それこそ先日見たばかりのビックリ箱ホラーな『1408号室』みたいな感じでドーン!バーン!きゃー!!が続く。
それが突然中盤には人生観ロードムービーを芝居で表現するというなんとも回りくどいことをして、最後には毒親との直接対決‼️いや、対決にもなってないか。
途中、ジャバ・ザ・ハットみたいな怪物出てきたと思ったら『キラーコンドーム』ぢゃんwwwアリアスター監督、振り切ったね(*´艸`)
主人公の名前が美しいを意味する『Beau』なのに恐怖しか見えてないのは美しさと恐ろしさは表裏一体……とでも言いたいんかな。
新感覚ホラーコメディ
映画としてエンタメとして観る事が出来るか出来ないか。
ダメな人はダメだと思います。
私は劇場で声出して笑ったが、
一緒に行った人は気持ちが落ち込んでいた。
長い映画でしたが最後まで結末が分からず楽しめた。
発狂絶叫また発狂
鑑賞後に解説や考察を見てようやく輪郭を認識できました。
宗教的背景や様々なメタファーを捉えられないと難しい...
教養は人生を豊かにするといいますが
この映画を初見で咀嚼できる教養のない私は
残念ながら鑑賞中の時間を豊かにできず。
なるほどそういうこと!となる場面が一度もなく
発狂し絶叫し混乱する人物たちと
夢か現か定かでない場面の連続に
戸惑ったまま3時間が過ぎました。
自分の物差しをあてがうことすらできなかったので「評価不可」が正確なところですが
こんな鑑賞体験があったという事実として記録しておきます。
最初の30分くらい面白くて(街の治安悪過ぎ)爆笑したかったのを他の...
最初の30分くらい面白くて(街の治安悪過ぎ)爆笑したかったのを他のお客さん静かに観てたので堪えてました
途中森の劇団四季辺りのところちょっとダレたかなて感じで睡魔が来そうになった
最初のテンションで突っ走るかもっと短くしてれば傑作になったかも
全220件中、1~20件目を表示