ボーはおそれているのレビュー・感想・評価
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この映画の中でおきる怪異の全てが
大金持ちの母親が金にもの言わせて計画したものだった事が分かるのだが、そんな面倒くさい事を何でやってしまうのかがいまいち説得力がなかった。
ボーに怒る怪異が、自宅の風呂にボーを監視する為だけにずっと天井に貼り付けていた男がいたり、車で轢かれたりとか死なない程度にボーを痛ぶる母親が怖い怖い。
ボーが世話になる家でペンキを飲んで絶命したり、ボーと寝た女が突然死したりと周りがどんどん不可解な死に方をする人がいたりして、最終的にスタジアムを作って大勢の観衆を集めてから過去のボーが母親にした仕打ちをスクリーンで上映したりと最恐の毒親っぷり。
これでA24スタジオでは類を見ない赤字を叩き出したそうなのだが、アリアスターには次回作が用意されているとの事です。太っ腹すぎにも程がありますね...。
散々突っ込みましたが、とっても面白い映画でした。← おい
ボーは人生に不安で畏れて困惑してる
不幸な母と息子の長い長い確執と決着を 描いてました。 ボーはいかにも被害者面をしていますが、この男の弱さは嫌らしい!! 中年過ぎなのに働かず、仕送りを受け、セラピーで薬を処方されている。 精神疾患に罹ったのも母親とのストレスだらけの 関係性のせいかもしれない。 そんなポーが何故か《帰郷すること》になる。 すると過度に緊張して、眠れなくなり、 妄想は募り、 ドアの下にはメモが差し込まれる、 「音量を下げろ!!」 ラジオもテレビも音楽も聴いていないのに、 そんなこんなで寝不足になり寝坊、 慌てて支度をして出かけると、 忘れ物を思い出し戻ると、荷物を持ち去られ、 鍵を盗まれる・・・ 飛行機の時間に遅れて、途方に暮れてママに電話する。 ママは呆れ返って怒って電話を切る。 とことん反りの合わない親子。 お互いに不幸なこと・・・だ。 ボーは生まれた時から、母乳を飲まない赤ん坊だった、と 母親のモナは愚痴る。 それが母親が最初に傷付けた事。 (でももしかしたら、母乳にアレルギーがあったのかも知れない。) そりゃあ、傷つきますよ、母親は。 私は困惑する この長い長い【母への旅】は結局、羊水の宇宙へ帰っただけなのか? 兎にも角にも【回りくどい】映画でした。 母親がシャンデリアの下敷きになって死ぬ。 (ボーが帰郷を取りやめたと電話で話したすぐ後・・・) そこから地球3周分くらいの回り道をして、 逃げ惑い困惑して、近付くほどに遠ざかり、 彷徨うボーの旅路(帰郷まで) ラストの40分で、締めくくりのエンディングへ向かう。 その中間の2時間超えに母親との直接の確執は描かれない。 不思議な白日夢? 森の中のコミューンの舞台劇・・・ 精神的疾患の人間の脳内構造で見る妄想(一部事実も含まれる) ラストの2人の《本音のぶつけ合い》 屋根裏部屋の双子の兄弟や巨大な男根!! これだってどこまでが事実か? 妄想なのか? アリ・アスター監督は、 「みんな、どん底気分になればいいな」と、笑顔で発言。 私はどん底気分より、面白くもない身の上話を聞かされた気分。 人生には有益な回り道と無益な無駄話がある。 この映画は大いなる徒労感を感じる。 家族や人生と折り合えないボー・ワッサーマンの 冒険譚? 憤死? 羊水に還った?
ナポレオンより楽しそうに演じてましたね(笑)
月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好き。 なので専門的過ぎないライトな紹介を書いてます。 ==================== 最初っから最後まで、ま〜〜〜〜悪夢!の連続。 遠くの街に住むにお母さんから帰ってくるように電話があって 何とか飛行機のチケットを取って帰ろうとするボーなのだが、 家を出るようとすると何者かに部屋の鍵を盗まれ 出るに出られな状況になってしまう。 もとより家の外の世界は、ホームレスがまるでゾンビのように闊歩し スキあらば何かを奪おうとするわ、部屋に入ろうとするわ とにかく狂った世界観が、恐ろしいを通り越して 笑ってしまう悪夢的な世界。 常に何かに振り回されるボーは行く先々で 不穏で常軌を逸した物事に遭遇しさらに 憔悴してゆくのだけど〜〜〜 本当にこの先、ボーはどうなってしまうのか? 観るものの想像を遥かに超えてくる展開にあんぐりするしかありません。 ハマればめちゃくちゃ笑えるけど 乗り損なうと????の連続。 さて、あなたはどっちに転ぶでしょう〜〜〜。(笑) でもほんと、ホアキン・フェニックスは楽しそうに演じてましたね。 ナポレオンがあんまり笑わない人キャラクターだからでしょうが 今作のボーはとんでも無い状況ながらもやってる本人は 何だか楽しそうでした。
アリアスターの魅力が満載。ストーリーを真面目に考えるのは後でいい。
ストーリーとしては分かりにくく、前作前々作と比べたら一般向けの映画からは遠ざかってしまったかも? 今作は基本的にカメラが主人公であるボーから離れず、時折一人称視点での映像が差し込まれるのでボーと一緒に冒険しているような気分を演出してくれる。(監督自身が映画を"体験"してほしいと語っている) 私達はボーと共に旅をした相棒、もしくはボー自身の立場で物語を体験することが出来るようになっており、ストーリーを深く考えるより彼のこだわりの演出や表現を探しながら観る方が私を含む大多数の人間にとっては楽しめると思う。 こういった表現はアリアスター独自のものなので、彼の持ち味を存分に発揮したこの映画を是非楽しんでほしい。 アリアスターの魅力は予想を裏切る展開と、意味不明な世界観、自分が映画を体験しているような臨場感だと思っているので、今作は今までで一番好きな作品だった。 性器の描写やカルト映画的な表現が出てくるので、カルト映画を好んで見る人なら違和感はないはず。 ストーリーに関しては視聴後にYouTubeで町山智浩先生の解説を見ることをお勧めします。
不安症がゆえの物語
不安症すぎるボーの妄想をぎゅっとした物語のように感じました。
ああなったらどうなるんだろう、こうなったらどうなるんだろうの妄想が可視化されて全体的に不愉快で、私はボーをおそれています。
お母さんが死んじゃったらどうしよう、薬局にあってる間に扉が開いたままだったらどうなるんだろう、事故に遭って運ばれた先が病院じゃなかったらどうしよう、お父さんが人間じゃなかったらどうなるんだろう、などなど、そもそも現実世界では家に出る前、お母さんの電話に出る前から何にも進んでないのではないかと思いました。
3時間にも及ぶ長尺の映画を初めて見たのが、この作品だったので、長い時間ずっと不愉快な気持ちになりました。
ホラーというより不条理コメディ
主人公ボー(ホアキン・フェニックス)が必死であればあるほど滑稽な不条理コメディ。 怪死した母のもとへ帰省しようとする男の「オデッセイ・スリラー」と題されていますが、ほとんどコメディです。 ホラーを期待して観る人はがっかりするかもしれません。この監督の過去作とは趣きが異なる作品だと思います。 章立ててシーンが大きく展開していきます。 冒頭のシーンがサイケデリックでぶっ飛んでいてめちゃくちゃ面白いです。この世界観で1本映画にしてみてほしいくらいです。 冒頭の勢いが良すぎたので中盤失速したようにも感じられました。 終盤は母子の関係に迫り、待っていましたというシーンがやってきます。ゾッとするような、心臓がギュッとなるようなスリルがあります。 冒頭から最後まで何から何までおかしいまま、納得できるような回答はない(と思う)ので、観る人は選びそうな気がします。 ボーが感じている世界、観ている世界を体感するような作品なのかなと思います。
それでいいんだよ、アリ・アスター
些細なことでも不安がる怖がりの中年男性、ボー。
彼にとって母親は特別な存在だった。
そんなある日、突然母親が怪死したという訃報を受けるボー。葬儀のためになんとか帰省しようとするのだが、様々な災難がボーを襲い……
全世界待望のアリ・アスター監督最新作。
不穏には不穏なんだけど、前2作とは明らかに毛色が違う。
母親からの圧迫、近隣住民からの嫌がらせ、薬を間違えて服用し、母親の怪死を知る。殺人鬼や謎の男に追い回され、ようやく治安の悪すぎる街を走って逃げ出したと思ったら車に轢かれる。保護されたと思ったらそこの娘にいじめられ、さらには殺人容疑でまた追われることに。森の劇団で癒され、父親らしき人物に出会ったと思ったら追手が合流し、阿鼻叫喚の地獄。現実でも夢の中でも悪夢を見続ける。
ようやく実家に着いたら葬儀は終わっており、初恋の人と再会して初めてセックスをするも彼女は腹上死、結局母親は生きており屋根裏部屋にぶち込まれる。そこには双子の兄弟と変わり果てた姿の父親が監禁されていて、脱出して母親を絞殺、逃げ出したら何故か裁判にかけられ、脱出した船は爆発し、ボーもろとも沈没して終了。
ストーリー内容文字起こしするだけで面白いし、あまりにも不憫で可哀想。
ここまで主人公いじめてる映画もあまりない。
今までのアリ・アスター映画って、鑑賞中に恐ろしさを体感して、鑑賞後の考察でさらにゾクっとするみたいな感じだったのだが、今作では本当に何もかもどうでも良くなる。
あまりにボーが可哀想なので途中までは笑っていいのか微妙だったけれど、ペニスお化けのお父さんが出てきた時点でこれは笑っていいやつだと思えた。
治安の悪すぎる街も、次々と降りかかる災難も全て心理状況が投影された幻想と思われる。
現実がとか悪夢がとかそういう話の前に、現代の寓話的な“おはなし”として観た方がいいのかもしれない。
いつもの「あの!ミッドサマーの!」の宣伝のせいでだいぶ期待外れだった人も多そう。
実際、観にきてたお客さんたちの反応が絵に描いたような苦笑いって感じで面白かった。
そりゃ爆破エンドからの静寂エンドロールは何も言えなくなるよな笑。
観客が求めるものはヘレディタリーのエグさとかミッドサマーのキモさなのかもしれないが、多分アリ・アスターがやりたいことってまさにこの映画詰まってるようなことなんじゃないだろうか。
アリ・アスターのオナニー映画。
それをお金払って観させてもらってるんだ、我々は。
実はこの脚本が10年以上前から練られていて、デビュー作の予定だったけどプロデューサーに「良いと思うけど、君は映画を作りたくないのか?」と言われて断念したってエピソード好きすぎる。
他人のオナニーなんてつまらないように、この映画の内容も正直つまらないけれど、映画ってものはやっぱり快楽物質が分泌されるわけで、この歪みまくった不条理な世界で哀れな主人公が惨めに死んでいく姿を見るだけでちょっと気持ちいいような、なんだか胸が苦しいような。
人の不幸は蜜の味。
この作品も君のことも、大好きだよ♡アリ・アスター。
ただの悪ふざけ
何が面白いのかわからなかった自分には苦痛の3時間。 ええ、これを楽しめるセンスなど持ち合わせておりませんです。 試写で監督本人を見たのも糞ほど最低な思い出となりました。←最上級の賛辞です
やや中だるみしましたが楽しめました
めちゃくちゃ面白かった!酷評を多く見たので鑑賞を避けていたのですが、もっと早く観ればよかった。何食べてたらこんな映画作れるようになるんや、、と終始戸惑いっぱなし。母の死という、物語の中核というか大前提の部分が嘘でしたなんて、そんなのありかよ〜と思いつつ、まんまと裏切られて楽しかったです。
とにかく悲観的で自信がなく常に怯えているボウが情けない、、、誇りと責任を持って、自分で決断する人になろうと、自戒もこめて、思いました。
子どもの時よく迷子になった人は共感できると思う
ボーはやたら治安が悪い所に住んでいる。何の仕事してるんだろう?カウンセリング受けてるからお金はあるのかなあ。カウンセリングって効き目あるのかなあ。私は懐疑的だ。物語を勝手に作られてしまう気がする。記憶は記憶。特に家族に関する記憶に正しいも間違いもないと思う。整合性とか正誤なんかどうでもいいのが家族にまつわる記憶なんだと思う。自分に都合よく記憶は形成されるんだ。 迷子になると子どもは不安になるが、何度もそういう経験をすると迷子状態に慣れてくる。自分からデパートの然るべき所に行って「迷子になりました」と告げて自分の名前と年齢、母親の名前、住所などを言う。なぜ迷子になるのか?母親が子どもの手も繋がず振り向きもせず、満員のデパート地下フロアを先にどんどん歩むからだ。子どもにとって昔のデパ地下には夢のようなお菓子やディスプレイが山のようにあった。だから立ち止まりたい。そういう子どもの気持ちを母親はまるでわからず理解しようともしない。想像力の欠如。 迷子アナウンスが流れてしばらくすると鬼の形相の母親が来る。迷子になった子どもをやっと見つけて母親は嬉しい顔もしなければ心配してたんだよ、とも言わない。子どもだって母親の顔が心配とほっとした顔でなくて怒っていることは見てわかる。だから、自分も嬉しい顔もしないし泣かないしまして笑顔なんてありえない。なんで迷子になるのよ、ちゃんとついて来ないからでしょ、と言いながら母親は子どもをつねるのだ。 そんな子どもの頃の迷子話を大人になって母親にしても忘れている。か、忘れたふりをする。迷子話以外でもとにかくよくつねられた。夫や姑や舅との関係でイライラしていたんだろう。まだ20代の若い母親。かわいそうに。でも子どもの私もかわいそうだったのだ、と言いたい。 自分はこれこれのつもりなり意図をもって何か話したり行動するけれど、必ずしも親なり家族は同じように理解してくれるとは限らない。それは相手もそうだろう。自分だって親や家族や親戚のことを「正しく」理解しているとは限らない。だからボーは誤解されるのだ。誤解されるから不安でいっぱいになってしまうのだ。 不条理な不安でいっぱいのホアキンの顔、情けなくも笑うしかない。咆哮ばかりのメノーシェ、可哀想だけど笑えて仕方なかった、でもいい役だった!最後かっこいい!そしてボー " Mr. Wassermann" はその名にふさわしく水に戻った。
あのチンポは何?
109シネマズのポイントで見て良かった。
コストが0の時点でコストパフォーマンスは無限に発散するのだが、個人的にはパフォーマンスも0に漸近しており、コストパフォーマンスが1に収束するかとも思われた。
自分は難しい映画は得意でないので、この映画には不向きだったのだと思う。
主人公がずっと上手くいかず、最後詰む映画。阿保の将棋指しが高難易度のコンピュータにボコボコにされるプレイ動画みたいだった。
でも予想のできなさは逸品で、実は開始から結構後半まで夢中で観てた。
母親の登場くらいまでは神展開だと思った。
さっきの将棋の例えでいうと、一体どれだけアクロバティックな詰み筋で魅せてくれるのかと思いきや、いきなりディルドで頭をはたかれてチェックメイト、みたいなラストだった。
こんなの褒めちゃいけないだろ。
友達は結構好きだったというので、好みによるのでしょう。
凡人には測りかねる映画のことだから、もしかしたら「この映画を不快に感じるのは親離れができていない証拠」みたいな心理テスト的ニュアンスも潜在的に含まれているのかもしれない。「男性的象徴を揶揄する表現がどうのこうの」とか?
だったらこの映画、親と観てみろこの野郎。
難しく考えるのがよくない。
射精したら相手が死んだとこと、チンポ怪獣のとこが凄く面白かった。おじさんが天井に張り付いてたとこは面白かったけどちょっと長かった。
個人的にはあとはクソ、というかチンポだった。
なんなん
感想を一言で言うと、なんなん。
映画は好きだけど、たくさんは見てない私からすると
そんな感想です。
分からなさすぎて考察サイトも見ましたが
そこまで映画に詳しくないので、へえ〜で終わってしまいました。ある意味、考察は見ずにモヤモヤしてた方が良かったのかも。
妄想と現実が入り交じってる映画はたまにありますが、そこまで狂った感もなくリアルに辛い。ラストもよく分からず。
でも、普段書かないクチコミを書きたくなったし
こんなに不快感を持たせてくれる主人公の演技はすごいと思います。
あと、自分にも子供がいるので過干渉には気をつけようって思いました…。
↓の人にはオススメです。
・監督大好き!監督が好きな映画は見てる!
・後味悪い、訳分からん映画好き!
・俳優さんが好き
・母性強すぎな人(反面教師という意味で)
これはやっかいな
好きな監督なので期待していましたが 3時間いったい何を見せられているのか。 かなり難解な作品です。 鑑賞後に、Youtubeで誰かの考察を見てからでないと、 この映画について知人とも語れない状態でした。 色々わかると、凝りにこっている設計がわかって色々つながります。 とはいえ、考察で語られるのは映画の部分的なところにしてほしかった 全編、理解できないのはかなり珍しいケースです。 また、映像中の背景にかかれている英文などにも ヒントが隠されているのですが 英語力の高い人でないと、読み解くのは 難しいかもしれませんね。 お口直しにスカッと単純な映画でも観ようかな。
坊はおそれている
3時間近くあることを危惧しなかなか見れてなかったけど、公開終了日にしてようやく足が動いた。アリ・アスターの映画を見たことなければ、それほど評判がいい訳でもないし、A24×ホアキン・フェニックスのタッグは個人的に苦手だったので期待してなかったけど、自分の映画癖と監督の作家性がびったりハマって、予想外にもめちゃくちゃ楽しめた。これならもっと早く見とけば良かった。 奇妙かつ不気味で、理解が追いつかないストーリーなのに、次なる展開とホアキンの顔芸が見たくて仕方なくなってしまう。まさに見る薬物。40分置きに切り替わる映像に、一瞬たりとも目が離せない。ちょっと違うのかもしれないけど、過激なウェス・アンダーソンって感じがして、すっごいワクワクしました。周りの感想からして、酷評する気満々だったから驚き。これ、超好物😍 ラスト付近から画面が真っ暗で失速気味になるんだけど、179分間一瞬たりとも睡魔が襲ってこなかった。っていうか、こんなあっという間な3時間初めて。怯えて、走って、ぶつかる!躍動感溢れる、ある意味アクションのようなロードムービーに虜になってしまう。そんな中で、全く成長しない、子どものまんまなホアキン・フェニックスに笑いっぱなし。ちゃんと大人になりきれないって、怖いことなんだな〜。 緊張感にどっぷり浸かりながらも、音や映像に刺激され、全感覚が研ぎ澄まされる。風邪の時に見る夢レベルMAX。ひたすら不安でいっぱいになる。でも、何故だかそれが癖になってしまう。薬物中毒を擬似的に体験できる、今年ベスト級のスリラー。音響が素晴らしく、劇場で見ることに価値のあるという点においても、最高の映画だった。
究極の親子共依存ホラー!
正直、訳のわからない3時間ではありましたが所々が面白いので長いなぁ〜と思いつつも鑑賞できました。 最初はコメディ映画かと思いきや、 ホラーっぽくなり、 サスペンスっぽくなり、 終盤はミステリー……?!! いや、やっぱりホラーなのか??! よくわからず、鑑賞後にこの映画のジャンルだけ調べてみたところ 紹介サイトによって様々でした。 謎の多い作品ですね。 自分としては不気味で狂った世界観からホラーコメディかなと思う事にしました。 そしてこの映画は 究極の共依存関係にあるボーと母親の話。 毒母の狂った愛情にボーの全ては支配されているが 実はボーには「母の支配から抜け出したい」という願望があってそれがあの不穏な世界観に反映されているのだと。 自ら不安に身を置き不幸を選ぶことで、母の愛に無意識に反発していたのかな。 それを母親はずっと気付いており「子供からの裏切り行為」だと感じながらボーへの憎しみに似た怒りを抱えていた。 そんな表に出さなかったボーの本心が終盤ついに、ガラスケースにダイブする直前の母親への仕打ちに現れたんだと思います。 これ程までに狂った親子共依存の先に、当然幸せは無いのかもしれません。 そんな母子の異常な狂気の世界をこの作品で見せてもらえたのだ!と思う事にします(^^;; 奥が深すぎて鑑賞後には頭もクラクラ… 疲労もピークになってしまう強烈な作品でした。
オデッセイになれたところで
まず冒頭で多くの人が思うこと。 それは恐らく、「んなとこ引っ越せよ」ではないでしょうか。 ゴッサムシティかと見まごうほどに荒廃した街に暮らす主人公。死体は道路に転がったまま、全裸の通り魔がうろつき、なのに警官が勤しむのはナンパばかり。 しかしなぜかコンビニらしき店の中は安全そのもので、退屈そうな店員が平然と店番をしています。 ここから始まる違和感は徐々に積み重なり、やがてひとつに繋がるのです。 作品を通して、メッセージ性の強さに驚かされました。 画面のどこを見ればいいのか分からなくなるほど隠喩や伏線に溢れ、飽きることがありません。 『オオカミの家』を悔しくも見逃してしまってから絶対行くと決めていた本作、大スクリーンであの世界観を体験できて本当によかったと思います。 ……あ、医者家族は気持ち悪かったです。ここは伏線とか思考を巡らせるとかじゃなくただただ純粋に、嫌悪感で軽い吐き気がしました。
ボーは解釈されたがっている
アメリカの男の子は15歳になったら「Sex & Drug & Rock'n'Roll!」と叫びながら車やバイクをかっ飛ばし大人になるそうですが、ボーはいずれにも手を出しません。じゃあ何が好きなのか。彼の住む簡素なアパートには何の個性もありません。空虚な中年男の彼が喋るのは精神分析医とお母さんだけ。「どうして彼はこんな男になったのか?」その真実を求めて彼は地獄めぐりをやらされ、観客はそれに付き合わされます。すべての真実にたどり着いたラスト、彼は変わるのか?いえ、まったく変わることなく、ただ助けを懇願しながら水に沈んでいきます。
これまでのフィクションの常道をまるで無視する本作の筋書き。なんの成長も見せず滅んでいく主人公。大変斬新ではありますが、面白いかというと、退屈です。面白いのはソドムとゴモラのようなボーの住む街の退廃っぷりぐらい。それもすべてどこかで見たことのあるような景色ではありますが。それでもやることなすことすべてが裏目に出てしまうボーの姿は笑えます。でもボーが外科医の家に匿われて以降は、映画は失速してしまい、大風呂敷を広げた物語の世界は急速に縮んでしまいます。そして最後は母と子の罵り合戦、これまでの恨みつらみのぶつけ合いという泥試合に収束し、映画は幕を下ろします。「自分で稼ぐ力を持たない男は母親の愛情と財布の呪いから逃れられない」という当たり前のことを3時間かけて教えてくれました。
孫悟空は頭に輪っかを付けられてお釈迦様の手の上から逃れられませんが、ボーは足に輪っかを付けられてお母様の手の上から逃げられません。妖怪退治に大暴れする孫悟空と違い、ボーは何一つ自分で成し遂げません。精神分析好きかまってちゃん監督アリ・アスターさんの作る物語は悪夢的で退廃的で閉鎖的。ユダヤ人の詩人であるという彼のおかあちゃんに、本作の感想を聞いてみたいものです。息子を愛しているならどんなに評判が悪かろうとも「史上最高の傑作だ」と褒めてあげるはずですが。監督はこの映画で母親の愛情を確かめようとしているのかも知れません。いずれにしろ、第三者の私にはどうでもいいことですが。
日本人なら隠そうとする家の恥や家族間のトラウマを映画にする勇気は恐れ入りますが、その想像力のジャンプはあんまり距離が伸びていません。本人はずいぶん遠くまで飛んだつもりでも、実際はそんなに飛べないものかも知れません。そもそも日本には「首狩り家族」という、こんなファンタジーより何十倍も恐ろしい家族の実例があるわけで。
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