「理解者不在の精神病患者の悪夢」ボーはおそれている HENTUさんの映画レビュー(感想・評価)
理解者不在の精神病患者の悪夢
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主人公のボーは精神病である。まずそれは間違いないように見える。
それ以上に救いがないのは、その原因ともなったであろう母親の存在が大きすぎることだろう。
本作は3時間の長尺でもって、精神的に自立出来ない主人公の苦しみや不安や葛藤が描かれているわけだが、見せ方として妄想と現実が区別出来ない。
恐ろしい映像作品だ。
父親はおろか母親からすらも愛されない人生がここまで辛いのか。
そしてそのまま誰からも理解されない生涯がどれほど行き辛いのか。
自分を形成出来ず、通せず、流されるだけの生き方がどれほど罪深いのか。
そんな考えを巡らされてしまう。
自分は統合失調症の寛解中なのだが、現実と妄想の区別がつかなくなるシーンの数々には共感させられてしまった。
本作の主人公と違って救われているのは、適切な隔離と治療とを受けることが出来たことだろう。
本作では現実のような救いはない。
出会う人の誰もが薄ら優しく、拒絶され、断罪してくる。
理解者は不在である。母親ですらも。
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