劇場公開日 2024年2月16日

  • 予告編を見る

「これでもかこれでもかと続く悪夢のオンパレード」ボーはおそれている あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5これでもかこれでもかと続く悪夢のオンパレード

2024年2月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

普通の映画だと登場人物が悪夢をみる。で、例えば子供時代のトラウマが原因でしたとかその理由を探っていくことで話が進む。つまり悪夢はドラマのきっかけとかにはなるがそれ自体は別に主題じゃない。
ところがこの映画は全編が悪夢といって良い。ボーが体験するすべてが抜かりなく悪夢である。悪夢を力技で繋ぎ合わせて一本の映画にしちゃったという感じがする。
映画の最初の方の悪夢の例を上げると
・扉の隙間から騒音の苦情のメモを入れられる。身に覚えはない。メモはどんどん入り苦情のトーンもだんだん高まる。
・絶対に水で服用しなければならないくすりを飲んだら断水する。向かいの店のペットボトルを買いに行きたいが鍵を盗られ外に出られない。
・外に出たら今度は建物に入れなくなる。そのうち路上にいた人たちが部屋に入り込み好き放題しているのが外から見える。
体調が悪い時とかに実際に我々も見てしまいそうな、悪夢あるあるネタを次から次へ繰り出してきているという感じがする。
これが映画が中盤にさしかかると、精神を病んだ元兵士が何処までも追いかけてくるとか、森の舞台で別の人生を経験するとか、悪夢がエスカレートしてくる。
子供の頃、再会を約束していたエレインがボーの目の前に現れる。これでボーも救われたかと思いきや、それもまた次への悪夢に繋がるという念入りなことなのです。
子離れできない母親、親離れできない子どもの関係が映画の軸にあって、最後で一応の決着がつくのだが、これだけ主役に悪夢を体験させるしつこさ、ねちっこさがこの監督の持ち味っていうことなんでしょうね。

あんちゃん