劇場公開日 2024年2月16日

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「仲良しや"好き"が普通な距離感の近さを疑え」ボーはおそれている とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0仲良しや"好き"が普通な距離感の近さを疑え

2024年2月17日
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こうした解釈が合っているかは分からないけど、個人的には相反する感情を抱く家族や友人への気持ちを少し思い出した。例えば会いに行くのは面倒くさいとか思って、会いたくない嫌な理由を些細なものから挙げても、そうした重い腰を上げて実際会ってみると記憶で思ったより楽しめてその場はまた会いたくなったり(けどバイバイすればまたなかなか会わない期間が続いたり)、逆も然り会いたい会いたいと会うことが普通になってても案外心ではそれほどでなくて実は邪険・面倒に感じていたり。身内への愛を試す映画。
意外性に富んだファーストカット。仕事描写がないのにクレジットカードを持っていて、セラピーにも通っている独身一人暮らしの中年男性。住んでいる地域は、というか家の前が無法地帯ヤバすぎる"ゴッサム"。一度家を出たらおしまい、帰宅も命がけ?絶望したよ、そんな通りです。そうした家の周辺を舞台とした一連のくだり流れはテンポよく楽しめたし、素直に笑えた。あんなのビックリ!
が、そこからがワケ解らなくなっていく…アスター節迷宮に迷い込んでいく。それらはまるで仕組まれた"ゲーム"のように不条理極まりなく哀れなる目に無惨にも遭っていくボウ。行く先々で、様々な要素を内包しているのを感じるカオスに見ているうちに思考停止してしまった感。前作までより更に間口を狭くして観客を選ぶように、面白さはまだ分からないけどアリ・アスターらしさは全開?!
終盤のネタバラシパート(?)で主人公の上述したような謎のバックグラウンド理由と共に『トゥルーマン・ショー』トゥルーマン・バーバンクばりに(??)人生切り売りされていたことが明らかにされる。あと、まさかの父親の正体!『ヘレディタリー』のアレックス・ウルフ君の気持ちで恐る恐る屋上に乗り込んだコッチの立場と気持ちよ。バカらしくなった(笑)!!
いや〜体感時間しっかりと長かった…!今回も人の状態を厭〜な形で突き詰めて観客を突き落とす、色んな意味で"悪魔"的だ?正直、個人的には同監督の長編作品前2本(『ヘレディタリー』『ミッドサマー』)のほうが好きだった。けど、ホアキン・フェニックスはこのよく分からない作品の中でも流石の存在感で頑張っている。そして、劇場での鑑賞体験としては、昨今で言えば『アステロイド・シティ』ばりの"お洒落"観客のキョトン顔を期待できそうだ。

勝手に関連作品『ゲーム』『オールドボーイ』『トゥルーマン・ショー』

とぽとぽ