「ミレニアルですがなにか」ゆとりですがなにか インターナショナル 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ミレニアルですがなにか
団塊、しらけ、新人類、バブル、就職氷河期、団塊ジュニア、つくし、ミレニアル、さとり、ゆとり、Z、α…。
世代を細かく分別するとこんなにある。
ちなみに私はミレニアル世代らしい。
1980年代に生まれ、2000年代に成人。デジタルを使いこなし、仲間意識が強く、個性を重視し、働き方にこだわる…んだとか。
へぇ、そうなんだ…。自分に当てはまってるかな、いないかな…?
よく聞くのは、団塊やバブルやそしてゆとり。最近はZも。
ゆとり世代と言うと、協調性ナシ、上昇志向ナシ、マイペース。社会が始めたゆとり教育もあるが、甘々に生きている。
前の職場にゆとりド世代がいて、迷惑事はのらりくらりと回避、説教とかもテキトーに聞き逃す、そんな奴いたっけ…。劇中のように「これだからゆとりは…」なんて言われ、そいつはそいつで「上の世代はいちいち面倒臭い」。そんなそいつも今や結婚して、結構厳しいパパしてる。
正和、山路、まりぶ。ゆとりド世代の3人の男のあれこれを描いたTVドラマ。
脚本はクドカン。最近も昭和とのカルチャーギャップを描いたドラマが話題に。
ゆとり世代も今や30過ぎ。
色々言われたゆとり世代だが、コンプライアンス厳しくなった今の時代をどう生きる…?
その後を描いた劇場版。
あ、勿論TVドラマは未見。なのでまず、登場人物の把握を。
正和。会社を辞め家業の酒蔵を継ぐも、契約打ち切り寸前。おまけに夫婦仲は倦怠期。これを岡田将生が演じる。
山路。小学校教師。女性経験が無く、未だに童貞。それらに関しミョーな価値観やこだわりを持っている。これを松坂桃李が演じる。
まりぶ。11回目で悲願の大学合格。中国へ。が、事業に失敗し、帰国。現フリーター。これを柳楽優弥が演じる。
ここにさらに、安藤サクラ、仲野太賀、吉岡里帆らが加わる。この劇場版では木南晴夏も参加。
ゆとり世代(…と表していいのかな?)の実力派たちの百花繚乱。
ちと神経質な岡田、コミカルな松坂、オラオラな柳楽。いつもながら存在感光る安藤。
彼らのやり取りが見てるだけで楽しい。さすが実力派たち。それとも素…?
個人的には木南晴夏が印象残った。演じたのは韓国人。この多様性時代、日本人が韓国人を演じる。ハリウッドだったら非難の的だろうが、日本語、韓国語、英語を使いこなす巧みさに免じて。
作風は本当にクドカンらしい~。
テンポのいい会話や展開、ついつい笑ってしまう。おバカさも含めて。
3人のバカ友の友情や似たようなシチュエーションから分かる通り、『クリフハンガー』…じゃなくて、『ハングオーバー!』。
何でも松坂桃李が『ハングオーバー!』を見てて通じるものを感じ、クドカンとの雑談から始まった劇場版の企画。
そんな緩さもさることながら、コロナ禍でリモートでやり取りし完成した、意外や労作でもある。
クドカン印は笑いだけじゃない。現代社会への問題提起や風刺、シリアスや人情たっぷりのドラマも。
働き方改革、テレワーク、YouTube、多様性、LGBTQ、グローバル化、日本の停滞、Z世代、女や妻の不満や訴え、ハラスメントやコロナ禍を経てなど、あらゆる“今の時代”と直面する。
またまた個人的に木南晴夏絡み。セクハラ場面に出くわした彼女が、韓国での悲しい出来事、不条理さを語るシーンは胸に染みたな…。
3人の人生の岐路。社会との問題、個人の問題、家族問題…。
正和の家業や夫婦仲の一大事。家業の方は酒蔵ながらノンアル新開発で何とかなったが(←これも現代らしい)、とにかくピンチは夫婦仲。不倫を疑われ、酔って覚えていないけど、俺やっちゃった…?
誤解が解け、改めて気付いたI Love My Wife!
ラブ&ハートフルなハッピーエンドもクドカンらしい。
ゆとりの上の世代や社会と色々あったが、ゆとりの下の世代や社会とも色々。
って言うか、ゆとりの考え自体、もう古い…?
本当に時代の移り変わりは忙しい。やっとその時代に定着したなと思ったら、もう変わる。
古い、新しい、価値観や考えは様々。
どちらが正しいかなんて答えはない。
古い考えも分かる。ズレている。昔は色々ブッ飛んでいた。
新しい考えも分かる。時折理解出来ない。最近驚いたのは、マルハラ。
古い考えだから、今の考えに理解出来ないからと、一方的に非難するのは良くない。
理解する。理解し合う。受け入れる。そういう努力をする。
人の考えも社会も絶えず移り変わっていくのだから、その中で生きていく私たちも変化していかなければならない。
でないと、言われちゃうよ~。これだから○○世代は。
言い返せるほど、理解し受け入れよう。
○○世代ですが、何か?