愛にイナズマのレビュー・感想・評価
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前半苦しく後半楽しい
母の不在の実相を父に問いただしもしないまま思い入れの強い脚本を書いてしまうwikipediaに項目がある主人公、プロデューサーと助監督が必要以上に小悪党に描かれているなど物語の前提にいくつも腑に落ちないところもあるが、後半の家族+1の合流からは単に芸達者な演者達を楽しむ場となってきてまあこれも良いかな、と思い直す。複数の話題に登場する金額が常に1500万とかナカノ親子のすれ違い共演とかも微妙に面白い。
ただですね、特殊詐欺グループを見かけたなら殴り込まず通報すべきだし、殴り込んでやられるならそのまま開放にはならず勝っても負けてもあの程度の傷とカメラ故障では済まないだろう。
雷の日に再確認した家族愛
折村花子は幼少時からの夢だった映画監督デビューを控え、気合いが入っていた。そんなある日、彼女は空気を読めない男性・舘正夫と地下の飲み屋で出会った。しかし、ようやく映画が撮れると思ってた矢先、花子は卑劣なプロデューサーと助監督にだまされ、監督を解任されてしまった。失意の花子を励ます正夫に、彼女は泣き寝入りせず闘うと宣言した。花子は10年以上音信不通だった、どうしようもない家族、のもとを訪れ、父や2人の兄たちを撮影し、映画作りを始めた。そして父や家族の秘密が明らかになり・・・てな話。
これは家族愛の物語なんだと思った。
逃げた女、と自分の母親を題材に映画を撮り始めたが、嘘が多いことに気づき、理想を求める花子を演じた松岡茉優が素晴らしかった。
嫌らしい助監督役の三浦雄大とプロデューサー役のMEGUMIも流石だった。
松岡茉優の事が好きな窪田正孝、家族役の池松壮亮、若葉竜也、佐藤浩市も良かった。
布石回収がしっかりされてる作品はスッキリして良い。
面白かった。
月とは一転、明るい陽転家族のお話
意外に家族ってお互いのことを知らないんですよね。親は子にあまり細かいことは話さないし、子も親には細かいことは聴かないしで、結局誰かが心の導火線に火をつけなきゃならない、今回、その導火線が窪田正孝になってます。会話が微妙に食い違って事態が堂々巡りになって笑えました。でも言葉とは裏腹に互いを気にかけている姿はやはり家族という特別な関係性を感じざるを得ません。
業界ネタは石井監督の実体験をトレースしたのでしょうか、仲野太賀が役を降板させられた後に中野英雄が出てきたり小ネタも効いてて140分間楽しめました。親子を共演させるのではなくニアミスさせるとことか細部に渡って家族の関係性について画いてるのは安定の石井節 笑
じわっとして、映画だからこそ!
このキャストでなければ、こんなにじわっとしなかったと思います。
映画の中で映画を撮りつつ、スクリーンサイズが変わることも多いけれど、気にならず。
サスペンスも甘ったるい恋愛も、偏りすぎた家族でもなく、それでも引き込まれる感じがしました。
佐藤浩一の父、汚れたジーパンも似合いつつ
窪田正孝には、サイコパス役をやって欲しい。
実家の家が、家族の象徴だったかな。
演者全員が魅力的
たまたま『月』観てから、こちらだったんだけど、
あー、同じ監督だー!ってことに、先に驚いてしまった。
わたし、石井監督の作品、原作が誰かのやつより、
脚本から、この人のほうが、好きかも。
ストーリー自体は、家族の愛をこれでもか!と見せてくれて、
大人になってギシギシしちゃってたけど、
実際は、お母さんの一件で、深く繋がっていた家族だよね。
真実が判って、より深まったという、
そんなに珍しいストーリーではなかったし、
そこに、小さいマスク(ちょっとしつこかったけど...)とか隠蔽とか、
社会のディスりの小ネタも、そこそこ響いた。
花子が、東京と実家では、ぜんぜんキャラが違うのも
地方からの上京者としては、とても理解できる。
ある意味、東京もディスってるよね 。
でも、ストーリーよりも、何が良かったかって、
とにかく、キャスティングと演出が、ハマってて面白い!
今回も、出演者全員が、本当に魅力的なんだよなー。
窪田さんのキャラは、ちょっとやり過ぎかな...と思うところもありましたが...
佐藤浩市さん、今まで観たことある作品の中で、いちばん良かった!!
こんなに素敵な俳優さんだったんだ!って気づかされました。
で、そんな猛者の中でも、今回は、益岡さんが、いちばん良かったです。
最初から、なんで、この人はお父さんに、こんなに親身なんだろう...って、
ずーっと思っていて、海辺のレストランのシーンで、
その理由を語っている時の益岡さんのお顔が本物で、
そこが一番泣けました。
タイトルなし
松岡と窪田君の過去サイコーの演技だったかも。窪田君は、意地悪で悪い役もできちゃう人なのに、こんな役もやれるところがすごすぎる。池松君も良かったけど、池松君は他にもあるかもしれない。とはいえ、ペコペコしたり、長男としてまとめようとしたり、恐竜博士になったり、本当に演技がサイコー。
コメディとしてもサイコーの映画だった。
あべのマスクが赤く染まって国旗みたいに見えてすごいと思った。
赤がこのファミリーのトレンドカラーなのは、正義感に血がたぎるからなのか。
プロデューサーと助監督は、石井さんが本当に見聞きしている現実かも。リアリティあった。ムカついた。助監督が後で家に来て、セクハラしに来る感じ、ほとんど説明ないけど、怖かった、わかった。
指でカット、なかったことにするという仕草もリアリティあり。
自殺をけしかけるようなことは現実にありえないと助監督が否定したことと、佐藤浩市が妻のことで詐欺するなどありえないと食って掛かるシーンが共鳴していた。精神分析の否定の例が最も当てはまる例だ。
食堂の親父が、ペラペラあと一年と喋っちゃう脚本は見事だ。
石井の映画を久々に見たのだけど、こんなふうに結構パラノイア的だったかとびっくり。
コロナによって突発的なことが起こるとするモチーフ。その時の気分だったのだ。子どもが大人に注意し排除するシーンも怖かった。
『月』でオダギリジョーが、バイトの上司にひどいというより冷徹な言葉を投げつけられるシーンを想起した。
バーテンダーの俳優さんいい。太賀くんもとても良かった。
ウィキの使い方もいい。
このきょうだいが羨ましかった。
イナズマは、カメラと等価で、隠されたものを浮かび上がらせる。
池松君はインテリなので、映画評的確。また、石井常連俳優として作品を支えている。一番伸び伸びやってる感。
佐藤浩市さんは、あんなにたくさん映画に出ている人なのに、カメラの前でカメラに居心地悪そうにし、茉優ちゃんに、クソだと言われるシーンはすごい。茉優ちゃんが、窪田に指摘されるように、家族の前では、ボロクソに家族を罵るシーンは、彼女の甘えがあって、前半のシーンとの対比でとてもいい。茉優さんは、意外とひねくれた役が多かったのかも。こんな真っ直ぐな役こそできる人なのだ。
家族たちが罵り合うシーンのテンションはすごかった。
そして、家族が認め合い、ハグし合うのを、ニヤニヤ見ている佐藤浩市さんの表情はサイコーだった。佐藤浩市は、シャイなシーンがいい。みんながハグするのを見てニヤニヤしているシーンは映画史上サイコー。前半で娘が電話に出ないと言ってるシーンと重なっていいのだ。あれは父親の視線だったのに、俺もしとけばよかったという気持ちが出てくるところ、それを演じられるところもすごい。
ブルーシートや石で覆われている家の形象もすごい。
英語のタイトルはmasked heart。どちらのタイトルもいいかも。
緩急凄い・・
出だし、三浦貴大とMEGUMIに退場しようか?と思い、コロナ禍のムードも凄く嫌だったのだが、後半お涙頂戴と笑わば笑え。ずいぶん気分が良くなっていた。アベノマスクで横並び、スローモーション最高でした。
高良社長のくだりは正直不要。「月」は今、ちょっと観たくない気分。
ワザとでしょうが、学生映画サークル作品を思わせるような、コマ割り...
ワザとでしょうが、学生映画サークル作品を思わせるような、コマ割り、アングル、間延び感をあえて演出することで、主人公・折村花子や正夫、花子家族の不完全さ、純粋さを終始感じさせてくれる作品でした。平行して、キーワードとなる「赤」。映像に赤を載せたがる花子が助監督荒川に理由を問われ上手く答えられずにいますが、「車のストップランプ」「背の高い鉄塔」「工事現場に置かれた三角コーン」が示すように、何もかもか埋もれがちなこの世の中で、気がつかないといけない、気がつかせるための色であり、花子は無意識に「消えた女」=失踪して生きているのかさえわからない母への「存在」を示す配色をしていたのかもしれません。それがやがては「父の在り様」を示す色になり、花子の再起の色になっていく、そんな気がします。題名の「イナズマ」がドカンと何か変えそうですが、そんなことはなく、静かに熱く、感性に溢れた映画でした。
適当感があるくせにめっちゃ笑って泣いた
映像も内容もかなり自由で、法則性なんて微塵も感じなかったけれども、台詞とか細かなねたとかで、かなり笑えました。それでいてかなり泣けたし─。
正直、適当感はかなりあった気がしますが、その根底にある作品意図のようなものは明確に感じられたので、全体的な緩さみたいなものも含めて楽しめました。
「月」も見ていたので、本当に同じ監督が撮っているのかと思わずウィキっちゃいました。
タラレバの組合せこそ人生
娘が父親に10年ぶりに電話して始まる物語
なぜそうしたかというと、足元の生活で直面した理不尽に葛藤したから、だから或は何か一つでも掛け違ってれば、電話しない、もう二度と話せない未来もありえた訳で
結局、それぞれの今の人生っていうのは色んなタラレバの唯一つの組合せ、錯綜する思いが描き出した本作帰結は、決して悪い組合せではなかったんだろうと思う
七章立てサブタイトルに纏わって感情が動く、松岡茉優他皆さん素晴らしすぎる、なんとも上質な作品
誰一人と漏れずに役者陣がお見事です
混濁した社会の生きづらさから家族劇へと。
結構ぐちゃぐちゃした構成で訳わかんなくなりそうなところ、意外と見終わった後はすっきりといい余韻。
なんだろう。
思い返すと「なんだったんだあれは」ということも多く、まとまりも怪しいのだけど。コーエン兄弟の作品を見た後みたいな。リアルと物語の隙間のような。結論、面白かったし、良かった。
何が?と言われると少し悩むけど。
池松壮亮と佐藤浩一が前に出てきたあたりから、ストーリーが生き生きとしてきます。そこから終わりまで良い感じに駆け抜けられたのが良かった。役者陣は皆、本当にお見事。日本にはいい役者さんがたくさんいます。こんなに揃えられてすごいなーって思う。
役柄やセリフの裏に監督の想いや主義主張が濃い目に透けてることが多々ありますが、映画ってまぁそういうものですし。衝動が先走ってますが、力があるのは確かなので、こういう監督さんが邦画界をリードしていけると、いい事だなぁと思います。
最後エレカシが流れまして。
あぁ宮本さん的なね、と腹落ち。
(こういうかの助監督みたいな、クソみたいなものの言い方は良くないな…)
演技が下手な演技
10月公開作品で1番に楽しみにしていた本作。予告の出来が完璧であるために、多少の不安はありましたが、、、はい。とんでもなく面白かったです。石井裕也監督の「町田くんの世界」が大好きな私としては、本作も好きにならないわけが無い。しかも、映画作りの映画かつ、お仕事映画必須の松岡茉優とカメレオン俳優・窪田正孝のダブル主演。映画ファン歓喜やで、こんなの...ずるいもん。
冒頭はひたすら三浦貴大とMEGUMIにイライラ。信じられないほど、イライラ。これがリアルなのかもしれないけど、そのシーンがあまりに長すぎて、結構見ているこっちもストレスが溜まった。かなりキツイ。もう分かったから、これ以上何も言わんといてや。ここまで腹立たしい助監督とプロデューサーを完璧に演じれるなんて、誰かモデルが居るんだろうな〜。とにかく見ていられない場面、というだけなのでここの尺はもっと短くても良かったのかな。
そんな2人とのいざこざがあり、そんなこんなで家族と再会。ここからがべらぼうに面白い。松岡茉優×窪田正孝のタッグの時点で、めちゃくちゃ笑って既に刺さっていたのに、佐藤浩市・池松壮亮・若葉竜也という、主演を張れる強面メンツが家族役で登場し、完全にノックアウト。こんなのね、やっちゃだめ。演技が下手な演技が上手いって、マジどゆこと。「みんなのことが大好きだ」と棒読みで言っちゃう佐藤浩市に、腹痛くなるほど大笑い。松岡茉優と池松壮亮の殴り合い寸前の口喧嘩も耐えられないし、途中でdisられる若葉竜也もたまらない。何だこの家族、最強で最高じゃねぇか。
タイトルやポスターからして勝手に恋愛映画を想像していたけど、本作は完全に家族愛を描いた映画。バラバラになった家族が、とある出来事を通して元通りになるという何ともシンプルな話だが、名優たちの力もあって全く普通じゃない。〈家族の映画〉と〈空気の読めない男〉が家族の絆を取り戻す。「人間はみんな演技をしている。だから、人間は全員役者だ。」これまで多くの映画を見てきて、こんな見方をした人間ドラマは無かった。嘘をついて生きてきた家族。死んでも会いたくないはずだった家族。だけど、やっぱり家族なんだ。ラスト際の一致団結するあのシーンは、何度見ようとも涙で溢れると思う。
鑑賞後は全力で走り出したくなるような映画。
今年の「ハケンアニメ」枠。仕事と家族、両方描くには尺が足りていなかったけど、あの作品同様、すごい熱量。これだよ、これ。日本映画のいいところが詰まっている。上映館はそれほど多くないけど、超オススメです。是非、家族とご一緒に。
余談
同日公開の「唄う六人の女」とポスターの構図が全く同じ。流行りかな?
久里浜からフェリーに乗って金谷に着いた
自身が監督/脚本を務めた
〔ぼくたちの家族(2014年)〕
〔茜色に焼かれる(2021年)〕
〔アジアの天使(2021年)〕で、
家族のありようを描いてきた『石井裕也』が
ここでもやや風変りなカタチを提示。
コメディタッチを風味付け程度に盛り込みながら展開される独特の流れは
本作でもいかんなく発揮。
もっともその前に、更に印象的な
導入部があるのだが。
『折村花子(松岡茉優)』は、
名前を検索すればウイキペディアにも表示される
一部では名の通った映画監督。
企画・監督の新作〔消えた女〕は、
自分の家族の物語。
しかし、その制作にあたって、
プロデューサーや助監督と衝突を繰り返し、
ついには全てを体よく奪われてしまう。
世間、あるいは会社あるあるも、
伏線として彼女を振り回す
業界の慣習やディテールへの意味付けは
当初から仕組まれた罠であったよう。
憤懣やるかたない『花子』は、
自身の家族を使い〔消えた女〕を撮ろうとするも、
事態は期待したとは異なる方向に転がり出す。
赤い服を着て〔消えた女〕=彼女の母親が出て行った理由。
その原因と思われる父親が自暴自棄になったわけ。
主人公が赤色にこだわるようになった原体験。
そうしたことがすべて明らかになり、離れ離れになった家族は
再び絆を取り戻す。
とは言え、1,500万円との金額が頻出し
それに振り回される主要な三人の登場人物。
この共通項には唐突感を覚え、
首を傾げる側面はあるものの
父親がおかされた病の伏線もあり、
最後にはハートウォーミングな世界が現出。
業界のあり様を描いた強烈な前半部に比べれば
後半部はややステレオタイプな展開。
とりわけコメディチックな演出は
空回りをしているよう。
が、それを補って余りあるのが
役者陣のとりわけ『松岡茉優』の素晴らしさ。
硬軟取り混ぜての演技の柔軟性は
〔勝手にふるえてろ(2017年)〕以来の出色の出来。
イナズマがココロのままを照らし出す
前半理不尽な展開が続いて苦しくなるけどマスクに覆われたコロナ渦まさにそんなイメージ。監督の経験などがベースありそうだけど少し軽いタッチに描かれている印象。後半家族に会いに行ってからが正に怒涛の展開で笑って泣けてまた笑って演技派の俳優たちの演技の応酬だけどさすがにそれを思わせない自然なやり取りにこころが激しく揺さぶられる。これは観た人じゃないと分からない感情だし、ここに書いてしまうのがもったいない面白さなので劇場で体感して欲しい。イナズマが起こす停電の暗闇の中に普段表に現れないそれぞれのホントの気持ちが照らし出されているのかなと感じる作品でした。帰って家族をハグしたくなりました。
家族とは…
家族とは何かを、問い掛けている作品(それだけではないが…)10年も連絡すらとってない家族が、父親の胃ガンをきっかけに(それだけではないが…)再開し…
この中で日本映画業界のヒエラルキーみたいなものが出てくるけど、本当に未だにこんなことが現実であれば、日本の映画業界に明日はない 韓国、フランスなどに比して秀でられないファクターになっているのかも
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