愛にイナズマのレビュー・感想・評価
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ハグと日本人
何十年振りに実家に帰省する家族。
主人公、花子は駆け出しの映画監督。自分の感覚で生きているから理由や説明が出来ない。
そして仕事に対してはっきり言えない自分がいる。
バーで知り合った正夫。赤を好む花子は赤い自転車に乗る、彼を観ていた。食肉加工業に勤務する、空気が読めない青年。
花子の兄、誠一。ホテル社長の秘書。常に長男と発する恐竜オタク。もう一人の兄、雄一。カトリック聖職者。父も招き入れた。
父は過去に障害事件をお越し、そのあと母が失踪。話す機会を見失った家族は過去を知っていく。まるで全身にイナズマが走ったように。
前半は花子を取り巻く、嫌な助監督、プロデューサーの社会的理不尽の不満。その中ながら、芹澤さんがグラスを2回割るシーンの表情は癒された。
後半は実家に繰り広げられる愛おしい家族の押し問答。誠一が登場したら一気に加速した。まるで竈門炭二郎の長男だからを口走るように。
社会に出ると同じ感覚で共感してくれるのも稀。
良いところ取りしたい人は沢山いると思う。
脚本、論文、本、曲、料理等々勝手に使われる
事もあるんだろうな。どの世界でも。嫌だけど。
アベノマスク、携帯解約不可、1500万円の価値と使用方法、仕事への理不尽、意味と理由を求める上司、何かつけて若いからの口癖先輩、長男だから等々社会批評をコロナ禍と絡めていてエネルギッシュに演出。日本の気持ち悪さもチクりと。後半はパワーをかなり消費したのでは。
母が失踪しても父が携帯代を払っていた。いつか
子供達が話すかもしれないの考えは素敵。
最後は話せなかったけど、どのような状態か知れて良かったのでは。悲しいけど、ある意味スッキリした感じ。正夫が不思議な立ち位置で心地好いスパイス感を家族に振り撒いてた。存在しなかったら成り立たない。
あんなぎくしゃくしてた家族が急にバグって
照れ臭いよね。特に私達は習慣化してないから。
色々な謎と鬱憤が弾けたし、家族っていう
実感が湧いたからハグしたくなったんだろう。
熱演、お疲れ様でした。幼少から赤色を自然に身に付けてたら意味も理由も、理屈もいらないよね。エネルギッシュな家族の形。家族にイナズマでした。
スピーディーな時代反映
お仕事ものと思わせておいての、家族の話。
人を騙すクズばかりという嘘にまみれた世の中で、昔、家族がバラバラになった理由はよかれと思って父がついた嘘や、家族全員が黙っていたため。
だから、それを真っ向から否定したい主人公たち(松岡茉優・窪田正孝)の、心の真っ直ぐさに、心撃たれます。
口はめちゃくちゃ悪いけど。
池松壮亮のお兄ちゃんが、ほんとお兄ちゃんで、結構好き。
作中の映画プロデューサー役と助監督役は「死ねばいいのに」と思わせてくれた熱演ぶりで、これは監督も役者も、こんな酷い連中にたくさん出会ってきたんだろうなぁ、と(ある種のメタな恨み節的な暴露ネタかと)
アベノマスクすら笑いに使う、監督のスピーディーな時代反映&映画製作姿勢には感嘆。
AKY
映画監督の花子は、初監督作品がパァになったが、正夫という良き理解者を得て、再起を図って故郷の実家へ。最低の父親と薄情な兄たち、と思っていたのに、実はそうでもないと分かってくる。
伝えるって難しいけど大事、としみじみ思ったお話でした。
コメディ部分も面白かったです。ガーゼマスクが血で汚れて日の丸みたいなシミになっちゃうんだけど、要らない人に沢山もらえるから大丈夫、とか、やたら1500万円が出てくるとか、窪田正孝さんに「殴るという選択肢はありませんでした」と言わせるとか。中野英雄さんと仲野太賀さんが、レジェンド俳優と無名の新人というのも面白いです。そして、なぜ赤なのか(笑)
花子は時に卑屈な愛想笑いで理不尽に耐え、時にはずけずけと物を言うけど、肝心の本音は中々話しません。生き方が不器用だという点では親近感が持てるんですが、正夫にもあまり心情を吐露しないので、ちょっと共感しにくいキャラクターでした。
則夫さんの海鮮料理屋での男たちの会話のシーンは不快でした。あれは本物の犯罪者で、一発殴ってあースッキリした、という相手ではありません。何より、あんな話を聞かされる則夫さんの気持ちを考えたら、一発殴られる覚悟で、「すいません、その話止めてもらえませんか」と言うのだったら分かるんだけど。
章立てになってると集中力が途切れるので、私としては無い方が良かったですが、画面の幅が変わったり稲妻の効果音は良かったです。
赤
演技陣は良かった
鑑賞動機:松岡さん8割、予告2割。
前半の演技の下手な(本音を隠していること自体を隠せていない)不器用な人物像から、一回爆発した後はもう容赦ないと言うか、のびのび生き生きずけずけ思ったままを口にするように様変わりする松岡さんを、たっぷり堪能した。マーライオン最高です。
窪田君や家族の面々はもちろん、脇役陣も良かった。佐藤浩市さんの下手な演技している父親の自然な不自然さとか。脇役といえば三浦貴大の悪辣助監もかなりのインパクトだった。人間は〇〇、みたいな決めつけ/レッテル貼りはまだいいとしても、その途端に思考停止して、それ以外が存在しないかのように切り捨てる考え方には虫唾が走る。洗脳ってこんな感じでされるのかも。
後半の「病気」「母親」「ハグ」などのサブエピソードの
絡め方や、ミステリのような種明かしにも引き込まれた。
難をいえば終盤の殴り込み(?)に行こうとするエピソードは、やや作為が強い感じがしてすわりが悪いと思った。何かうまいやり方あっただろうか。
名画を撮る映画という点では、実際の撮っている状況の組み込み方は好き。ただやっぱり完成させて、もう一段引き上げて欲しかったかなあ。
本作で何らかの賞を取る事を祈る!!
個々気になる点はあるが良い作品。おすすめ以上。
今年373本目(合計1,023本目/今月(2023年11月度)5本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
多くの方が書かれている通り、ストーリーは大きく分けて2つあり、1つが「映画監督として作品を作るのか作らないのか」といった話、もう1つは「その主人公に隠されていた家族の秘密」にあてられるようになります。
ただ、この映画ちゃんと見るとわかる通り、どちら一方だけでは「足りない」のが確かで、その意味でこの長さになるのは機械できますが、多くの映画のチョイスにおいて120分をある程度のラインで見る方もいると思うので、そこの配慮は欲しかったです。
いろいろな考え方はあると思いますが、広い意味での「知る権利」がテーマになっているなど憲法論的なこともテーマになっていて(あるいはもちろん、コロナ事情のもとにおける表現の自由、営業の自由ほか)良かったなといったところです。
多くの方は「監督編」「家族編」の2つで見られると思いますが、映画内ではそれとは違って第1~第8章だったかそんな感じで出てきます。どちらでみても変わらないかなというところです。
ややキリスト教文化について知っておくと有利な部分が後半あります。
採点に関しては以下を考慮しました(4.4を4.5に切り上げ)。
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(減点0.3/いわゆる「お葬式」についての考察が雑)
お葬式は誰がやらないといけないといったことは、実は現在2023年の民法にさえ記述されていないことがらです。遺言で示される場合もあれば地域の風習によるところもあるので、これらを尊重する必要があるからです。
しかし、この「お葬式」は誰かが喪主になりますが、日本の実務上「喪主負担説」(名古屋高裁ほか)をとります。つまり、「喪主が会場の大きさやプラン等を決められるのだから、その本人が負担すべし」という考え方になります(この場合、連帯債務になったり、不当利得の話には(ただちには)ならない)。
ところが「お葬式」自体は実は行う必要のない行事で墓地埋葬法による火葬等をすませておけばよいだけです(こちらの違反は行政法規上で罰せられます)。したがって、トラブルになるような「お葬式」はまずかったのではなかろうか…といったところです(ただ、いつまでも放置するわけにもいかないし、日本の習慣的にお葬式が住んでいない場合散骨などできないはずです(お葬式は形式的なものであっても)
※ ただ、日本においては当然、宗教感情というものも考慮されるので「誰もお葬式をしないんですね?」ということを確認したうえで行政が代行してもらえるところもあります。
(減点0.2/携帯電話の解約について)
戸籍謄本でもたりますが、一般的に「火葬許可書」や(お葬式をした場合の)「パンフレットの写し」などでも認められるのが普通です(少なくともキャリア大手3つは)。
特に戸籍謄本は変に利用するとトラブルになるだけですので、ここはちゃんとしたケアが欲しかったです。
(減点0.1/ウィキペディアがどうこうという話)
ウィキペディアを否定するものではありませんが、「いい大人」が情報収集のソースとして「まずウィキペディアなのか?」はかなり気になりました(リアルで夜中など図書館等に行けない場合に「まず」調べてみるというのは否定しないが、本来的には紙媒体の百科事典や論文などを見るべきもの)。
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不思議な満足感
ミニシアター系の映画を豪華キャストでシネコンで見た感じ?笑
監督、そんな弱気で映画撮れるんですか?ってくらい監督らしくない松岡茉優さん。場面場面で顔つきが別人のように変わってしまう演技の振り幅、さすがです。
そういえばアベノマスクが送られてきたときなんか笑っちゃったよねとか、店閉めてるだけでお金もらえる友人がやたら羨ましかったりとか、コロナ時代を思い出しながら色々と詰め込まれる小ネタの数々、セリフの数々がいちいち面白くたっぷり楽しめました。
そしてこの俳優陣だからこそこれだけ面白い映画になったのは間違いない!
この後にドミノ見たら組織の制服が赤一色だったんだけど、そうか、ロドリゲス監督も赤使いたかったのねとなんか納得。笑
何というか
みんないるか!?
嘘か真かわからない。
自分の手で触れて実感がなければわからない。
“ハグ”ってそういうことを確認できるためにあるのかなと思った。
一体何をみんな考えて、心に据えて生きてるんだ?
何が狙いなんだ?とわからなくなった。
社会の不条理によって腹が立つシーンが非常によかった。
真っ直ぐな生き方
消えた女と消えない男
個人的にはいい映画でした。
世の中って平等じゃない、理不尽なこともいっぱいある。残酷なほどに差のあるいろんな1500万や、とにかくムカつくやつら(主に三浦貴大、笑。MEGUMIも、、趣里もなかなか)。。ただそれだって彼らの世界観から見たら正しいことなんだろうし、思いなんてものが通じるほど世の中甘くないんだろう。それでもこのなんか不器用だけど熱い家族のほうが好きだし、グッとくる。いっぱい自分じゃない自分を演じないと生きづらい世の中でも、譲れないところは譲らない、そうしないと生きてる意味がないんだろうな。
俳優陣が豪華でみんな良かったです。おかげさまで感情を揺さぶられました。さすが。松岡茉優大好き。
アベノマスクってあんなちっちゃかったけな、、笑。
石井流の大復活!本作はコメディーで、見かけは正反対でも実は表裏一体。隠してしまえばなかったことになるというゴマカシを、真っ正面から否定します。
タイトルがいい。勢いがあります。そして映画自体も、水を得たようにピチピチと跳びはねているのです。監督は石井裕也。公開中のもう一つの監督作「月」は重厚ものの、気負いすぎる印象を持ちました。その点、こちらは軽快で、石井監督らしいコメディーです。
今の社会を予見したかのような”アフターコロナ”の“現代”が舞台。社会の理不尽さに打ちのめされた恋人同士の花子と正夫が、10年ぶりに再会したどうしようもない家族の力を借りて反撃の狼煙を上げる、愛と希望とユーモアに満ちた痛快なストーリーです。
●ストーリー
26歳の折村花子(松岡茉優)は気合に満ちていました。幼い頃からの夢だった映画監督デビューが、目前に控えていたからです。自分の家族を題材に脚本を書き、撮影を準備していました。しかし物事はそううまくはいきません。滞納した家賃は限界で、強制退去寸前。プロデューサーに押しつけられたベテラン助監督の荒川(三浦貴大)からは、花子の若い感性をあからさまにバカにし、業界の常識を押し付けて、考えをことごとく否定されます。さらにはプロデューサーの原(MEGUMI)にもだまされて、直前で解任され、企画も奪われて、夢は頓挫してしまうのです。
失意の花子に反撃を持ちかけたのは、空気の読めない青年・舘正夫(窪田正孝)でした。花子は以前から赤色が好きだと言い、たまたま赤い自転車に乗る男が気になり、その後たまたまその男が路上での喧嘩に巻き込まれて殴られるところを目撃し、さらにたまたま寄ったバーでその男正男と出会ったのでした。
失意のどん底に突き落とされた花子を励ますように正夫が問いかけます。「夢をあきらめるんですか」「そんなワケないでしょ。負けませんよ、私は」静かに怒りを滾らせ闘うこと誓った花子が頼ったのは、10年以上音信不通の家族だった。妻に愛想を尽かされた父・治(佐藤浩市)、口だけがうまい長男・誠⼀(池松壮亮)、真面目ゆえにストレスを溜め込む次男・雄二(若葉竜也)。そんなダメダメな家族が抱える“ある秘密”を暴き、自分にしか撮れない映画で世の中を見返してやる!と息巻く花子。突然現れた2⼈に戸惑いながらも、花子に協力し、カメラの前で少しずつ隠していた本音を見せ始める父と兄たち。修復不可能に思えたイビツな家族の物語は、思いもよらない方向に進んでいくのでした。
●解説
作品を貫くキーワードは「なかったことにしたくない」だと思います。飛び交うセリフは時に不快で理不尽だが心に刺さり、感情を揺さぶることしきり。石井監督は怒りと祈りを内包した「茜色に焼かれる」で、コロナ禍の底辺で苦境にある主人公の生命力を活写しましたが、今作では人のおかしみと信頼の尊さ、強い思いの力も映し出しました。花子と家族の対立の間で緩衝材となった正夫が、ある意味、天使のような存在感です。一気呵成な後半の展開は作品の心意気であり突破力になっています。
本作はコメディーで、見かけは正反対でも実は表裏一体。隠してしまえばなかったことになるというゴマカシを、真っ正面から否定します。前半ではデビューのためにとひたすら我慢していた花子の、暴走気味の大逆襲、痛快ではあります。
●感想
まず気になるのは終盤を引っ張りすぎていることと前半の業界人の描写があざとすぎるところでしょうか。
序盤は、若い女性の花子が偉そうな助監督やいいかげんなプロデューサーにさんざん振り回されます。事実そのものではないが、要は自分たちのほうが映画のことをよく知っているんだから言うことを聞けとか、業界の常識を守れということで、助監督の決め台詞は常に「君はまだ若いから」というものでした。そんな映画業界のパワハラ、セクハラ、理不尽な解雇。若くしてデビューした石井監督の「もっとひどかった」実体験が基というのです。助監督のあざとさにはややうんざりですが、それだけ石井監督も苦労したということでしょう
そして、ウソくさいイナズマが盛大にとどろく中で展開する花子と正夫の恋。石井監督のオリジナル脚本の物語はテンポよく進み、花子の家族が集まるあたりから疾走し始めます。
撮影しながら、とげとげしい言葉を延々と家族に放つ花子。やがて家族は本音をぶつけ出すのです。ののしり合い、反発し合いながら一つになっていきます。その姿は滑稽で笑えますが、同時に温かい感じました。
冒頭、街を撮影する花子はマスク姿。正夫も奇妙に小さな「アベノマスク」を着けています。コロナ禍の世界が舞台です。石井監督は、マスクつけろという同調圧力に余程反発を感じていたことなのでしょう。
若々しく思えるのは、コロナ禍の世の中に対する石井監督の怒りが、ストレートに表現されているからではないでしょうか。映画が「不要不急」とされたこと。アベノマスクの下に、本音が隠されたような世界。もはや何事もなかったかのように忘れ去られようとしている過去の現実。それらは、古い価値観を押しつける映画業界への怒りとも重なっていくのです。
反撃の武器はイナズマです。電光が見せるのは、若者たちの恋と、バラバラになった家族の再生。ウソくさい世界と戦う手段は、映画というウソなのです。反撃の結果は。ラスト近く。暗闇の中、雷鳴に浮かび上がる一瞬の 「真実」に、ご注目ください。
役者
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