「理由などなく存在を確かめずにはおれない。」愛にイナズマ N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
理由などなく存在を確かめずにはおれない。
普段、選んで見ない類の作品を選んで鑑賞。
トレーラーからでは松竹人情喜劇風な雰囲気を受け取ったが、かなり現代風、ポップなファミリーものだったと感じた。
家族だろうと隠し、隠され、みなバラバラというのが人間だ。
だがそんなお互いだろうとも、互いが互いの存在を確かめ合おうとする、のが家族。そう振り返る。
「理由はあるのか」という言葉も多用される本編。そんなもの確かめてどうする。理由などさておき、それは家族だからだ、と言わんばかりに。
モロ、コロナ禍というのも映画作品としては初めて見る設定で、
当時をとおして観るとなお興味深い。
不意の断絶と、理由なく存在を確かめずにはおれない人々。
群れで暮らす人の、なにか原初を垣間見るような、ワイルドでどこか懐かしくも不思議な1本だった。
ただ前半はハナコ(映画業界)中心も、後半は長男(まとまりゆく家族)中心に切り替わる所がどうしても作品としての一貫性が、ラストショットも含めて観ると説得力が欠ける? ブレる? ような気がしている。
家族の中では唯一、他人の窪田さんのキャラが、あり得ないのに馴染んでいてこの作品の華だと思った。
追記)
そうか、前半部分の作り手の葛藤に「月」とだぶるなと思えば、同じ監督だった!
まさに陰と陽、合わせて撮るのが精神衛生上もよさそう。
しかし監督、色々詰め込み過ぎだよう。
なるほど。
全く異質なようでいて、乗り越えて一筋の光をみせる…そんなところはおっしゃる通りだなと思いました。
そして窪田さん、このキャラクターのなりきり様が素晴らしいですね。
あ、なるほど。途中でカメラも壊されてしまいましたしねぇ。。。
踏まえると、編集まではこぎつけなくとも、ラストショットは「再生」の意味があったのかな、とふと閃きました。返信、ありがとうございます。