「祈り」キリエのうた ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
祈り
路上ミュージシャン、キリエの絶叫。
キリエの守り神のようなイッコの呪文。
キリエの兄貴分夏彦の号泣。
キリエをほっておけない教師フミの献身。
小さな祈りは 暗くて巨きな時の中に
かすかながらもしっかり燃え続けようと 今 炎をあげる。
谷川俊太郎の『祈り』の一節である。
映像の根底に流れるのは、祈りなのだと実感する。
みんなが祈っている。そして敬虔なクリスチャンのキリエは、祈りの中で守られている。
震災の津波にさらわれた、キリエの姉の影をひきずりながら。
都会の雑踏、震災後の瓦礫。たとえ暗くて巨きな時の中であろうと、祈り続けるのだ。
炎をあげるまで。そんな映像。
祈りがある限り人は生き続けられる。どんな十字架を背負おうとも。
キリエとイッコが、あたり一面雪の中大の字になるシーンで、その思いは最高潮に達する。
それは、岩井作品の『Love Letter』と重ね合う、珠玉の雪のシーンである。
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