「慈悲と断絶とうた (追記+ネタバレ解除)」キリエのうた mrkc7さんの映画レビュー(感想・評価)
慈悲と断絶とうた (追記+ネタバレ解除)
楽しみにしてた作品をやっと観れた喜びが強いことを前提に。
アイナ・ジ・エンドのうたと演技によって支えられた作品であることは間違いないが、2人のキリエがトランスに近い感覚を演出していた事が深みを増した。
キリエを取り巻く人々の優しさ、それでも起こる断絶が哀しくもあり突き刺さる。キリエがキリスト教徒である描き方が絶妙だと感じた。教会や讃美歌、そこには慈悲と「うた」が存在している。悲劇の中でも優しさに包まれた光が見えるような優しい作品でした。
アイナ・ジ・エンドの絞り出す様なセリフ回しと歌声は一貫性があり、この人本当に喋れないのでは?とさえ思わされた。素晴らしいキャスティング。脚本よりキャスティングが先では?しばらく情報遮断してきたので、この後記事、動画、パンフレットで作品をしゃぶり尽くしたいと思います。
映画の構成は時間が行ったり来たり、その中でアイナが2役やったりで都度頭を切り替える必要があったが飲み込みやすい作りになっていたので問題は無かった。逆に良い感じで頭の中を掻き回された感覚が良かった。
【11月22日に2度目の鑑賞】
関西での公開最終日。初日と最終日に観たのか。
2回目の鑑賞は、1回目に見落としたり追いつけなかったところがしっかり埋められたのでその点が良かった。特に時間が前後する作品なので追いきれなかった、観てたのに覚えて無かったところが確認できた。また家庭教師のシーンで夏彦が「ずるいよな」を歌ってたのは、完全に抜け落ちてたので補完出来たのは作品の更なる深みとなった。あとは年齢感覚がハッキリした。とは言え、アイナの2役のためスンナリ入らない不思議な感覚は残ったまま。
何回見ても楽しめそうな予感はするので、Blu-rayが出たらプレーヤーと合わせて買おうかと思ってます。DVDは出ないんだろうな、最近出してくれないからな。
【余談】
楽しみにしていた理由は岩井俊二の作品であることの他にもいくつかある。アイナ・ジ・エンドのTHE FIRST TAKEでのオーケストラを聴いて心を掴まれた。
そこからしばらくして映画制作の発表前にTwitterでエキストラ募集があり参加希望を出した。岩井俊二監督の作品は元々好きだったが「リリィシュシュのすべて」のDVDの特典映像で見たエキストラを集めた撮影に興味があったので参加出来たことはとてつも無い喜びでした。
そこからまたしばらくして発表された映画のキャストにアイナの名前があった。私は大阪での参加のためアイナの出演は無かったのですごく驚きました。
大阪天王寺公園での撮影は七尾旅人さんの子供の頃のキリエのシーン。エンドロールで流れた2人のうたは撮影時に歌われたもので現場で堪能させてもらいました。
ということで大好きな岩井作品に自分が映り込んでるのでは?という期待も楽しみにしていた理由です。結果は始まって数分後に本人じゃないとわからないレベルで映ってました。単純に嬉しいw