青いカフタンの仕立て屋のレビュー・感想・評価
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愛することを恐れないで
自分の伴侶は自分で決め、我侭な客は例え権力者の妻に対しても「夫は機械ではない」「他の店に行け」と啖呵を切り大切なものを守る。そして自らの生死も自ら決めて受け入れる。そんなミナの強さに圧倒される。
特に、自らの死を受け入れ嫉妬からも開放されてゆくミナ。周りから不謹慎と思われる様な奔放で自由な言動を見せる。それは自己抑圧的なハリムに、自らを許し開放させる為のステップだったのだろう。そして、ユーセフとのことも受け入れ、ハリムへ愛することを恐れるなと伝える。
そうしなければ、父から受けたトラウマにより、ミナの死を自分の罪としてハリムが背負ってしまうことを分かっていたのだろう。
ハリムがミナの思いを受け止めた証として、ミナに着せた青いカフタン。そしてユーセフと二人だけの葬列のシーンの美しさは言葉にし難い。
作品上、文化や宗教の違いや、性的嗜好にとらわれててしまいそうになる。その為、台詞で語るより映像で魅せることに徹したのだろう。人の強さ、愛情、寛容さのつまった普遍的でとても美しい映画だった。
職人らしい
せっかく仕上げたカフタン、依頼主に渡さず奥さんのお葬式に使ってしまって・・・
奥さんきっと、『はぁ?』って怒ると思う。こーゆうとこ職人ぽい。
作業の過程でカフタンの全体像が出てくることが少ないので残念。
ソウルメイト
仕立て屋ハリ厶は、ミシンを使わず、手作業でカフタンを作る。手先は器用だが、口下手だ。接客は妻ナミにお任せ。ナミは面倒な客もいなしてしまう、強い女性だ。しかし、やはりひとりでは仕立てをこなしきれず、人を雇うことに。新たに入ったユースフは若くイケメン。普通ならミナが心ザワつくのだろうが、ドキドキしちゃってるのはハリムの方で…。 病で死期が迫るミナ。それでも彼女は、夫と共に寄り道したり、タバコを吸ったり、外から聞こえる音楽に合わせて踊ったりと、できるだけ明るくする。ハリムは献身的に妻の世話をする。みかんをむき、着替えを手伝う。しかし、上半身が露わになる時は、着終わるまで後ろを向く。最初は、奥ゆかしいからそうしてるのかと思ったが、そうではなかった。気を使わなければならない事情があったのだ。 男性が好きなハリムだが、ミナのことは精神的支柱として、崇めているように思う。ソウルメイトなのだ。だから、美しく装飾した青いカフタンを着せて見送る。たとえ世間から眉をひそめられても。気品のある青が、ミナにすごく似合ってて、きれいだったなぁ。 イスラム圏って同性愛は禁止されてるんだっけ? しかし、ユースフの目が甘やかで艶っぽくて、あれじゃ誰が見ても恋してるって、バレバレなんじゃない? 見つめ合う視線のレーザービームが熱すぎて、ヤバいよ、ヤバいよ! 鮮やかな色の滑らかな生地が、丁寧に飾られ、ゴージャスになっていくのが素敵。手仕事ばんざい。自宅や店内の撮影が多く、あまりモロッコの町は映されないが、浴場やカフェ(?)とかはなかなか見られないので興味深い。でも、男ばかり。女性は気晴らしするところなさそう。宗教的理由はあるのだろうが、男女ともに過ごせる場所が、自宅以外にもあるといいよね。
モロッコの片隅で
代々受け継がれてきた職人による手縫いのカフタンは効率化により機械縫いに置き換わりつつあります。ミナがお客に「主人は機械じゃない、職人よ」と言っていましたが、ミナのこのセリフは職人だけに限らず、働く全ての者達の気持ちを代弁しているようでした。
作品は、職人の伝統には誇りを持っているものの、イスラムの戒律には懐疑的に表されていました。それは、ミナの言動、ラストのハリムの行動から分かると思います。イスラム社会での女性の生きづらさがリアルに感じられたのも、女性監督というのが大きいですね。ハリムの同性愛よりも私はミナという女性に興味がいきました。カメラが美しくて、初期ルコント作品を思い出してしまいました。
青
しなびた蜜柑のなかから食べられそうなのを選ぶシーン,手術痕をなぞるシーン,三人で踊るシーン,そして「貴方の妻でよかった」で心の汗が… 青という色には心理学的に(というのも大袈裟だが)自由とか寛容とかを連想させる効果があるらしい。だからあのカフタンの色はブルーでなくてはならかった。 そういえば,女性同性愛者を描いた「アデル,ブルーは熱い色」で当初片方(レア・セドゥー)が髪を青く染めていたのが段々脱色していくにつれ仲が破綻していたのを思い出した。
余命短い妻は、死の直前まで仕立て屋の妻として、自分らしく生き抜いた
美しい青いカフタン。街の有力者の妻から注文を受け、仕立て屋の夫(ハリム)は青いカフタンに金色の豪華な刺繍を施す。注文主に仕上がりが遅いとクレームをつけられた時、妻(ミナ)は夫がどれだけ端正込めて作業をしているのかを説明するが、理解してもらえず、早い仕上げをさらに要求してくる注文主に妻は激怒する。その刺繍に関しては夫と若い使用人ユセフとの共同作業によるものだった。
死期を悟っている妻の心は病を抱えながらも生気に満ち溢れている。夫(ハリム)の性癖(同性愛)も解ったうえで、夫を心から愛し信頼している。話の中心はこの仕立て屋夫婦と若い使用人(ユセフ)との三角関係なのだが、話は少しも険悪にはならない。妻(ミナ)もユセフもできた人なのだ(妻の夫への愛は深い)。店の商品であるピンクの生地がなくなってしまった時、妻は使用人のユセフに疑いの目を向ける。これは妻の心の葛藤と苦悩の現れと僕は理解したが、ユセフはとくに反論もしない(ユセフのハリムへの愛もまた深く、妻ミナへの配慮も深い)。その後、紛失の原因がユセフではなく、ミナ自身にあったとわかったときも、ユセフはその顛末を知って怒ることもなくスルーする。まるで自分の罪の重さと秤にかけているかのように。
妻は死の直前に夫とユセフに対し公衆浴場に二人で行くよう、けしかける。それは、まるで自分の死後、夫(ハリム)をユセフに託す決意のようにも思えた。
最後に妻は亡くなる。その亡骸に、夫(ハリム)はあの美しい青いカフタンを着せる(イスラム教の戒律では白装束でなければならないはずだが)。そして、台の上に乗せられた妻の遺体は、ハリムとユセフの二人によって墓場へと送り出される。
私もアレ着たかったな~
自分はLGBTはおまけ程度だと感じた。むしろ、貧しい(検査代でさえ勿体ないと遠慮してしまうくらいだ)ながらも、お互いをいつくしみ合う夫婦の物語だと思った。モロッコの公衆浴場「ハマム」(イスラム式サウナ)の個室をハッテン場として使ったりと、まあどこでもあるのだなあ。かみさんはおそらく旦那の性癖にも気づいていて、でも旦那が大好きだから、若い弟子にヤキモチ焼いて、ちょっときつく当たったりする。旦那も病弱なかみさんを蔑ろにせず、大切に扱っている。
かみさんが、出来上がった青いカフタンを見て、私もああいうの着て見たかったなあという。女性なら結婚式で綺麗な姿になりたいのは、日本なら白無垢とかウェディングドレスとかに憧れるのと一緒なのだなあと。
最後の晩の着替えで、手術跡すらいとおしく手で触ってあげるシーンや、翌朝ベッドサイドで打ちひしがれている旦那とその横でイスラム式祈りをささげる弟子のシーンは泣ける。
イスラムの葬儀など、普段日本では目にすることが少ない場面が見れるのも、見どころのひとつか。
精緻に紡がれる情愛の物語
「マイノリティの苦悩」「終活」と最近目立つテーマを盛り込んだ本作。この設定には食傷気味と感じる観客も多いだろうが、本作は新規性を追うタイプではなく、ムスリム圏であるモロッコでこのテーマを取り扱い、現地で制作・公開したことに意義や意味がある作品なのだろう。 またこのテーマへを夫婦だけの物語にせず、ユーセフを加えることで疑似家族のような普遍的な大きな情の物語に仕上げたこと、そして衣装の制作というもう一つの縦軸を加えたことで、物語の味わいが深くなっていると感じた。 紡ぎ続けた絆の裏側と終わりを受け入れることで、登場人物達の表情が変わっていくところが哀しくも美しい。
とっても深〜いお話でした❣️
人生って、人それぞれに辛い事、悲しい事があり、皆それを頑張って何とか乗り越えて、生きていくものですね。 色々な意味で、とっても深〜いお話でした❣️
昔堅気な職人気質な店(強気)。
モロッコの伝統衣装を仕立てる夫婦の話。
母から娘へと次の世代へ受け継がれる伝統衣装カフタンドレス、カフタンドレスを仕立てる店を営む妻ミナと旦那ハリム、そんな妻が病に...。後から入った若い職人ユーセフを交えた三人のストーリー。
仕事の合間に送る視線...(男から男へ)
仕事の合間に見つめ合う二人...(男同士)
仕事の合間に抱きしめ合う二人...(男同士)
ドレスが仕上がり大衆浴場へ...
見つめ合う二人...(男同士)
触れあう手と手...(男同士)
奥さん病気でヤバいのにこの描写がチョイチョイ間に入るから全く感動が出来ませんでした(笑)この男同士のゲイ要素って必要だったのかな?(笑)逆に男同士の描写がツボで笑いそうでした。
窓の外から聞こえてくる音楽、その音楽で踊るミナ、ハリムもユーセフもミナから踊れ!と強制ダンス!後から踊ったユーセフが肩小刻みダンスで一番ノリノリだった!(笑)
伝統衣装のカフタンドレス、金の刺繍のデザインは素晴らしかったし根気のいる作業だなと思いました。
本当に愛するとはどういうことか
青いカフタンが仕上がるまでの、仕立て屋夫婦と弟子の物語。 夫婦の愛は真実ながら隠しきれない想いもあり、愛と裏切り、想いと現実。本当に愛するとはどういうことか、深く考えさせられる。愛と思いやりの本質とはなにか… 主役三人の芝居は本当にスゴい。誰もみな本当に存在し生活している人としか思えないほど。 特に妻のミナ役のルブナ・アザバルさんの役作りは心配になるほど。夫役のサーレフ・バクリさんもちょっとした表情の変化や視線に微妙な感情を乗せて、最後の着地もこれ以外考えられないほどの出来。 一つだけ苦言を呈するなら、カメラが寄り過ぎ。顔がスクリーンからはみ出すほど寄る必要はないと思うし、それは不快だった。撮影自体は良いのに… でも、最高に良い作品よ…
青き衣
モロッコの町にて仕立て屋を営む夫婦と1人の青年が織り成すドラマ作品。 とにかく夫婦仲の良いハリムとミナ。観ているこちらまで笑顔になってしまうような微笑ましさ。 う〜ん、いつまでも仲良しの夫婦…ワタクシも築けたらなぁ。。 さておき、そんなハリムには秘めたる想いが。そしてミナも病に倒れ…。 終始、BGMらしいものもなく静かな展開。絵面もあまり変わり映えしないものの、寂しくも美しいモロッコの雰囲気や登場人物たちの魅力で飽きが全くこない。 序盤から何となくそんな雰囲気が見え隠れし…でもそういう作品ではないだろうと思いつつも、ミナも最初から気づいていた…⁉ …からの、恐れないで、はグググッと来ましたね。なんやかんや、そんな想いにハリム自身もずっと迷いがあったのかな。背中を押すミナの心に涙。 いつまでも続く深い夫婦愛と悲哀、そして少しの希望を感じさせてくれるような作品だった。
この映画が伝えてくれたことは沢山あるけど、それを言葉にして説明するのが無粋に思えるほど、 静かで繊細で濃密な122分間だった…。
この映画が伝えてくれたことは沢山あるけど、それを言葉にして説明するのが無粋に思えるほど、 静かで繊細で濃密な122分間だった…。 妻として、夫として、それ以上に1人の人として、 好きな人を愛する自由を、だれもがもっている。 今年の忘れられない一作に違いない。 *. .・🧵🪡🧵🪡 *. .・🧵🪡🧵🪡 *. .・ 夫婦が互いをどう労り、どう敬い、どう愛するのかということはやはり夫婦間しかわからないことだと思う。(夫婦という形に捉われないパートナーとしても。) 私は結婚して8年目ですが、また10年、20年後…40年後にこの映画を観ると感じ方が変わるかもしれない。 病気で余命わずかな妻ミナが、決して可哀想な存在としてではなく、凛とした強さと脆さの両面をもつ存在として、生き生きと描かれているのが本作の魅力のひとつでした。 自分の人生を誰のためでもなく、自分のために生き、自由を失わない。そして、夫を理解しているミナ。 それに反して自分のことを認められず苦悩する、夫のハリム。 常にミナに寄り添い続けたハリムが選んだ"あること"には胸を打たれました…。涙が止まらなかった🥲 美しいラストカットにしばらく立ち上がれなかったです。 また、愛情と性愛とが絶妙なバランスで、描かれていたのも印象的でした。リアリティありつつも過剰に見せすぎない。 監督曰くあえてセリフで書かず、あえて映さなかったことが多いとか。演出力すんごい… 同性愛が犯罪とされ、宗教色の濃いモロッコで自由に生きることの困難と希望を描いたとてつもなく尊い作品でした。 色とりどりのモロッコタイル、瑞々しいオレンジ、 砂っぽい土壁、大浴場の天井から差し込む光、 ぐつぐつ煮立ったタジン鍋の湯気。。 行ったことのないモロッコに思いを馳せ、守り続けてほしい伝統と、変わるべき因習を考えさせられる価値ある一作です。
大きな愛の物語。最後にタイトルの意味が腑に落ちる
乳がんを患い、余命わずかの妻・ミナと仕立て屋職人の夫・ハリム。
2人で営む伝統あるカフタンの仕立て屋に、若い青年・ユーセフが現れ、雇うことに。
ハリムは次第にユーセフに惹かれていく。
時折通う公衆浴場にて、個室にお気に入りの男性を連れ込み性欲を満たすハリム。ハリムは同性愛者でもあった。
だけどそんなこと、ミナは知っていた。
それを含めて夫を愛していた。そんなハリムも妻を愛していた。
性欲は男性に向くけれど、心はきちんと妻にあることが劇中でも描かれていて、胸が締め付けられそうになった。
性欲と愛は違うんだと。
夫婦愛を超越した大きな愛の物語のように私は思えた。
そして、ミナが次第にユーセフを許し、受け入れるところ、迎え入れる描写に涙が溢れる……。
3人でダンスをするシーンは悲しくて美しかった。
そしてラスト、ようやく腑に落ちた
“青いカフタン”の意味。
大きな愛と優しさに包まれた作品だった。
人間愛を描いた映画ではあるが、モロッコの伝統や音楽、料理も劇中に随所に描かれていてモロッコの文化を楽しめる作品にもなっている。
カフタンに施された細かく華やかな装飾や、サテン、シルクの生地にはウットリ、ため息が出る。
ミナを演じた女優さんは、『モロッコの朝』に出演していた。前回はパン屋で今回は仕立て屋。こういったシリアスかつ人間愛に溢れた作品が似合う女優さんだ。
ただ、今月観た新作3作品のうち、偶然にも2作品が同性愛がテーマに組み込まれている(事前情報見ずに行ったので知らなかった)。またか……と、ちょっと食傷気味。
青く美しいカフタン
カフタンって何?伝統服なんだ。とても綺麗で職人の技が生きている。モロッコってどこ?中近東あたり?いやいや、北アフリカ辺りだった!初めて知った!無知の知!いろいろ勉強になった。ミナの壮絶闘病の跡や痩せ細っていく背中、女の業をまざまざと見せつけられるのは、圧巻。
妻の大きな愛の話ってだけではない
同性愛が犯罪となる国で、夫がゲイであることをミナはいつから知ってたんだろう。ハリムがミナを人として愛しているのは本当だけど、ただ女として性的にみることができないからセックスのシーンはとても苦しそうで見ていてもつらかった… もちろんミナの愛はすばらしいけど、美しい面だけではなくて嫉妬も妬みもするドロドロした感情も包み隠さず表現している点がよかったと思う。 三角関係のピリピリした状態が、ミナの病状の悪化により3人の関係が言葉で簡単には言い表せないほど深く強固なものになっていく過程がとても丁寧で、ミナのやせ細り変わり果てた姿を見て感情の行き場をなくして泣き崩れるユーセフの姿は胸にくるものがあった。3人で踊るシーン、本当に大好き。この瞬間が永遠に続けばいいのに、って初めてかみしめるように思った。
夫婦愛の結晶
モロッコの民族衣装カフタンの仕立職人ハリムとその妻ミナの夫婦愛を描くドラマ。 ハリムは実はゲイなのだがイスラム社会のモロッコではそれを大っぴらにすることができず、ずっと胸に秘めてきた。そんな2人の店に若い職人のユーセフが現れ、2人の関係が揺れ動くが…… ミナは重い病を患っているが、高額な治療費を嫌い、何もせずこれも神の御心と粛々と受け入れている。 夫はそんな妻を女性として傷つけてしまってきたことを悔やみつつも、献身的に看護し続ける。そんな静かな夫婦の形がじんわりと胸を打つ。 ミナはカフタン職人としての夫を尊敬していて、夫の仕事を安く買い叩こうとする客には毅然とした態度で追い返すことも。 そんな夫が心血を注いだ見事な青いカフタンの行方が、この作品のクライマックスでもある。見事な夫婦愛の結晶として結実する様は感無量。
色んな愛が感じられる仕立て屋を題材にした作品。 本年度ベスト級。
美しい映像を期待して鑑賞。 出だしの民族衣裳のカフタンの生地の美しさに引き込まれるものの、思ってもみない方向に進むストーリー。 終わってみれば愛に溢れた素晴らしい作品だった。 登場人物はカフタンの仕立て屋を営むミナとその妻のハリム。 その仕立て屋で働く事になるユーセフの3人。 この3人それぞれの愛が感じられる。 仕立て屋の妻、ハリム。 自分的にハリムは全ての事はお見通しだった感じが切ない。 仕立て屋の旦那、ミナの妻に対する献身的な行動も良かった。 この3人が仲の良さを表現する食事や、肩を動かすダンスのシーンが印象に残る。 ラストで3人だけで歩くシーン。 カフタンを着た姿に泣けた。 その後の本当のラストシーン。 これからどうなるのか? 気になります( ´∀`)
柔らかな色彩、カフタンの光沢
ミカンのオレンジ色、土色の街。 いろんな質感の中で、すべすべとしたカフタンの生地が美しく艶めく。 カフタンが丁寧に紡がれ、仕立て上げられていく時間と同じだけの時間をかけて、いろんな形の愛情が、絆が、穏やかに紡がれていくのをじっと見守っているような鑑賞時間。 ミナはどんどんやつれていくのに、笑顔が弾けるように明るくお茶目で、だんだん神々しく見えてくる。 自分ならどういう感情になるだろうかと、推測するしかできない描写に困惑し頭を巡らせていると、ふいに3人それぞれの決意と選択がまっすぐに伝わってくる。 理解する、ということそのものを追体験しているような気持ちになる。 笑顔は相手のためにできる最大限の愛の形なのかもしれない、と思った。 生々しくも美しい作品だった。
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