「愛することを恐れないで」青いカフタンの仕立て屋 komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
愛することを恐れないで
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自分の伴侶は自分で決め、我侭な客は例え権力者の妻に対しても「夫は機械ではない」「他の店に行け」と啖呵を切り大切なものを守る。そして自らの生死も自ら決めて受け入れる。そんなミナの強さに圧倒される。
特に、自らの死を受け入れ嫉妬からも開放されてゆくミナ。周りから不謹慎と思われる様な奔放で自由な言動を見せる。それは自己抑圧的なハリムに、自らを許し開放させる為のステップだったのだろう。そして、ユーセフとのことも受け入れ、ハリムへ愛することを恐れるなと伝える。
そうしなければ、父から受けたトラウマにより、ミナの死を自分の罪としてハリムが背負ってしまうことを分かっていたのだろう。
ハリムがミナの思いを受け止めた証として、ミナに着せた青いカフタン。そしてユーセフと二人だけの葬列のシーンの美しさは言葉にし難い。
作品上、文化や宗教の違いや、性的嗜好にとらわれててしまいそうになる。その為、台詞で語るより映像で魅せることに徹したのだろう。人の強さ、愛情、寛容さのつまった普遍的でとても美しい映画だった。
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