「この映画が伝えてくれたことは沢山あるけど、それを言葉にして説明するのが無粋に思えるほど、 静かで繊細で濃密な122分間だった…。」青いカフタンの仕立て屋 山田あゆみさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画が伝えてくれたことは沢山あるけど、それを言葉にして説明するのが無粋に思えるほど、 静かで繊細で濃密な122分間だった…。
この映画が伝えてくれたことは沢山あるけど、それを言葉にして説明するのが無粋に思えるほど、
静かで繊細で濃密な122分間だった…。
妻として、夫として、それ以上に1人の人として、
好きな人を愛する自由を、だれもがもっている。
今年の忘れられない一作に違いない。
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夫婦が互いをどう労り、どう敬い、どう愛するのかということはやはり夫婦間しかわからないことだと思う。(夫婦という形に捉われないパートナーとしても。)
私は結婚して8年目ですが、また10年、20年後…40年後にこの映画を観ると感じ方が変わるかもしれない。
病気で余命わずかな妻ミナが、決して可哀想な存在としてではなく、凛とした強さと脆さの両面をもつ存在として、生き生きと描かれているのが本作の魅力のひとつでした。
自分の人生を誰のためでもなく、自分のために生き、自由を失わない。そして、夫を理解しているミナ。
それに反して自分のことを認められず苦悩する、夫のハリム。
常にミナに寄り添い続けたハリムが選んだ"あること"には胸を打たれました…。涙が止まらなかった🥲
美しいラストカットにしばらく立ち上がれなかったです。
また、愛情と性愛とが絶妙なバランスで、描かれていたのも印象的でした。リアリティありつつも過剰に見せすぎない。
監督曰くあえてセリフで書かず、あえて映さなかったことが多いとか。演出力すんごい…
同性愛が犯罪とされ、宗教色の濃いモロッコで自由に生きることの困難と希望を描いたとてつもなく尊い作品でした。
色とりどりのモロッコタイル、瑞々しいオレンジ、
砂っぽい土壁、大浴場の天井から差し込む光、
ぐつぐつ煮立ったタジン鍋の湯気。。
行ったことのないモロッコに思いを馳せ、守り続けてほしい伝統と、変わるべき因習を考えさせられる価値ある一作です。