「大きな愛の物語。最後にタイトルの意味が腑に落ちる」青いカフタンの仕立て屋 あささんの映画レビュー(感想・評価)
大きな愛の物語。最後にタイトルの意味が腑に落ちる
クリックして本文を読む
乳がんを患い、余命わずかの妻・ミナと仕立て屋職人の夫・ハリム。
2人で営む伝統あるカフタンの仕立て屋に、若い青年・ユーセフが現れ、雇うことに。
ハリムは次第にユーセフに惹かれていく。
時折通う公衆浴場にて、個室にお気に入りの男性を連れ込み性欲を満たすハリム。ハリムは同性愛者でもあった。
だけどそんなこと、ミナは知っていた。
それを含めて夫を愛していた。そんなハリムも妻を愛していた。
性欲は男性に向くけれど、心はきちんと妻にあることが劇中でも描かれていて、胸が締め付けられそうになった。
性欲と愛は違うんだと。
夫婦愛を超越した大きな愛の物語のように私は思えた。
そして、ミナが次第にユーセフを許し、受け入れるところ、迎え入れる描写に涙が溢れる……。
3人でダンスをするシーンは悲しくて美しかった。
そしてラスト、ようやく腑に落ちた
“青いカフタン”の意味。
大きな愛と優しさに包まれた作品だった。
人間愛を描いた映画ではあるが、モロッコの伝統や音楽、料理も劇中に随所に描かれていてモロッコの文化を楽しめる作品にもなっている。
カフタンに施された細かく華やかな装飾や、サテン、シルクの生地にはウットリ、ため息が出る。
ミナを演じた女優さんは、『モロッコの朝』に出演していた。前回はパン屋で今回は仕立て屋。こういったシリアスかつ人間愛に溢れた作品が似合う女優さんだ。
ただ、今月観た新作3作品のうち、偶然にも2作品が同性愛がテーマに組み込まれている(事前情報見ずに行ったので知らなかった)。またか……と、ちょっと食傷気味。
コメントする