「観たい度○鑑賞後の満足度◎ 3人が肩を寄せ合い踊るシーンに涙が溢れた。モロッコから届いた、愛と許しと償いと勇気とを、金糸に縁取られた青いカフタンに縫い上げた愛しい物語。」青いカフタンの仕立て屋 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
観たい度○鑑賞後の満足度◎ 3人が肩を寄せ合い踊るシーンに涙が溢れた。モロッコから届いた、愛と許しと償いと勇気とを、金糸に縁取られた青いカフタンに縫い上げた愛しい物語。
①気持ちの良いペースで進む演出の流れに先ずは大変好感がもてた。
②下世話な話だが、イスラム圏の映画で男女と男性同士(こちらは足だけで表しただけだが)とのセックスシーンを観たのは初めて。
③イスラム圏では基本的に同性愛はタブー。でもサウナに個室があるなんて日本の(ゲイの人がよく使う)銭湯みたいとこ有るんだと知ったし、フロントでも変に詮索なんてしないところを見ると公然と黙認されているんだな。
WHOの統計でも世界の10人に1人は同性愛者だしクィアの人を入れるともっと多い筈。
だからイスラム圏にいても少しもおかしくはないわけだけれども、何せイスラム教では認めてないので地下に潜るしかないわけだ。
ただ、イスラム教徒がみんな厳密に戒律を守っているわけではないことはシンガポール駐在中に知りました。まあ、シンガポール・マレーシアはどちらかというと戒律の緩いスンニ派の国だけれど。
④腕の良い勤勉なカフタン職人のハリムは、そんなイスラム圏の国モロッコで自分がバイセクシャルであることを隠して生きている。
でも時々抑えきれない欲望に突き動かされてサウナを利用する。
終盤、ミナがハリムとユーセフとにサウナに行くことをけしかけるシーンで、サウナがそういう場所であることを女性も知っていることが分かる。
⑤しっかり者で口の達者な妻ミナは、夫が同性愛者だと感づいていながら、それを表に出さず仕事でも家庭でも夫を支えている。
夫がどういう性癖を持っていても夫を愛しているのがよく分かる。
⑥この夫婦のお互いへの思いやりを大変丁寧に描いている事がこの映画の美しさの第一の要因。
同性愛が(表向きは)タブーである国に生き、夫が同性愛者であることを分かりながら一途に愛し尽くす妻を描くことで、相手がどうであれ人を愛することの美しさが余計に胸を打つ。
⑦本作がこれまでの同性愛を描いた映画とは少し違うユニークなところは、同性愛者当時者だけでなく奥さんの視点を加えている、というか乱暴にいうとある意味奥さんの視点から夫と夫の恋人になるだろう若い職人との関係を見つめ最後に受け入れるところまでを描いていること。
⑧モロッコでは同性愛者として裁かれれば禁固刑に処される。
ミアとしては夫をそんな目に会わせたくないから、新しく入ってくる職人に目を光らせていたのだろう(新しい職人がすべてゲイかバイとは限らないけれども)。
ユーセフの夫を見る目から察した時、ミアはユーセフを追い出すことまで画策したかもしれない(ピンクのサテン事件)。
しかし、ユーセフの人間性を理解するにつれミアの中で何かが代わって行く。
⑨死を間近にしたミアにハリムは初めて真実を語り謝罪し許しを請う。
それに対してミアが応える“愛することを恐れないで”という言葉に心打たれる。
⑩3人の要と云うべきミア役のルブナ・アザバルの名演。
それなくして本作の成功は無かったかもしれない。
⑪出来上がった青いカフタンを見てミアは“こんな美しいカフタンを着て結婚式を挙げたかった”という。
ミアの葬儀でハリムはイスラム教の葬儀の戒律・規定を破ってミアに青いカフタンを着せて埋葬する(劇中で、イスラム教の教えに乗っ取った白い布でまとわれ粛々と嘆きの中で行われる様子を見て、ミアが“彼女、町一番のダンサーだったのに(こんな陰気で辛気臭い葬儀はイヤだろうに)”といったこととも呼応している。)。
こんな自分を愛し理解し尽くしてくれたミアを、ハリムは勇気を出して愛するミアに自分が一針一針丹精を込めた青いカフタンを着せて送り出す(イスラム教では土葬が当たり前で、それは死は終わりではなく生まれ変わる為のものだからだそうだ。そうするとミアは青いカフタンを着て生まれ変わるのだろうか)。
敢えてイスラム教の戒律・規定を破ってミアの葬儀をたラストに持ってきたことで、この映画のテーマは更に明解なものとなる。
⑫劇中でミアが作ったご馳走というモロッコ料理(名前忘れた)を食べてみたいな。
もーさん。こちらこそ遅くなりました
返信、どちらに書いてたかしら?と探してる間に時間が経って。(笑)
femme fatalはむか〜しあがいてた時代につけたmixiのハンドルです。今となっては小っ恥ずかしい(笑)
ロマンだけでは生きられません。現実はコロコロしたおばちゃんですが、やっぱり私の中には別の私がいるようで、映画見てる時だけが
もーさん。わざわざあちらにコメントありがとうございます。
たくさん観ても想いがとっ散らかって、長いレビュー書ける人尊敬します。メモとかとっておくんですか?
鳩おいしかったっけ?骨だらけだった気がする。(笑)