ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻のレビュー・感想・評価
全5件を表示
王様と私
ヘンリー八世については、シェイクスピアの戯曲もあるが、この劇作家が生まれたのは王の死から17年後で、現代の我々からするとコスチューム・プレイだが、シェイクスピアにとってはほぼ同時代で、随分とらえ方も違っていただろう。ただしシェイクスピアの作が扱っているのは、6人の妻のうち2番目のアン・ブーリンまでということ。映画「1000日のアン」や「ブーリン家の姉妹」もアン・ブーリンが中心の話で、キャサリン・パーが題材になるのはおそらく初めてと思われる。男女の愛憎というよりは宗教の問題が根深く、当時の苛烈な宗教弾圧が全編に暗い影を落としている。そもそも中世のイギリス王室は血塗られた歴史の連続で、ロンドン塔で露と消えた王族の数たるや…。
ラストの王殺しのくだりはフィクションらしい。あの状況で死んでいたら犯人は王妃しかあり得ないはずで、何のおとがめもなかったのは不思議な気がする。
暴君の近辺にいる人々は四六時中ピリピリしていなければならないので大変そうだ。自らを王様になぞらえているらしいトランプ大統領の取り巻きも、推して知るべし。
衝撃のラストありきで作られたに違いない。
何かさー、この時代のコスチュームプレイものって、面白い映画、少なくない?エリザベス ゴールデン・エイジは面白かったけどさ?
ジュドー・ローの特殊メイク?が凄い!ラッセル・クロウにしか見えないのだ!
じゃあ、ラッセル・クロウにやらせればいいwのだが、ギャラが高すぎる筈だから、ジュドー・ローになったに間違いなかとです。
劇中で、ジュドー・ローは人を殺すくらいのDV気質で恐れられている。DV気質の奴って、愛情表現が下手だよね?
知り合いにDV気質で離婚した人がいたけど、俺たちに見せる顔と、嫁に見せる顔がダンチで、何故、自分が嫁から嫌われているのかが、全く、分かっていない。ニンゲンとして、欠陥品だな?アイツらは?
だからといって、あんな惨めな死に様とは...。これは、フィックションであると冒頭で説明はしているものの、歴史を改変してしまうのはどうかと思う。
ラストシーン、王を564て、王座に就いたキャサリンが画面に向かって、薄気味悪く微笑む。END
何だ、このヒッチコックのサイコみたいなラストシーンは?後味悪い映画だなぁ?
DV気質のパートナーがいる人には、見て欲しくない映画。ジュドー・ローのファンだけにお勧めの映画です。
悪臭漂う宮廷密室ドラマ
中世ヨーロッパモノが大好物ですが、予備知識を入れずに観に行きました。
結論として、ちょっと物足りないかな‥。
ストーリーはほとんど宮廷の中とその近所で進みます。合戦や処刑のグロいシーンはなく、セリフでの説明が多く、途中ちょっとウトウトしました。そのせいで、この人、どういう関係?って、
私が寝不足のせいもありますが‥。
グロいのは王の脚の壊死の描写。終始画面を通じて悪臭が漂ってきそうでした。
陰謀渦巻くとキャプションにありましたが、周りの人物の個性がイマイチで、そんなに渦巻いてもない。
心理の駆け引きがサスペンスとしての見どころなのでしょうが、ヒロインが毅然としすぎてて、そんなにハラハラドキドキはしません。
すみません、私のウトウトのせいかもしれません。
エンドロールのどぎつい色使いと現代風の音楽は、歴史ドラマとの違和感をあえて狙ったところなのでしょうか。
ここまで★3つ程度なのですが、皆さんのコメントどおり、ジュード・ロウの別人ぷりがとにかく凄い。暴君の孤独を上手く演じていました。特殊メイクか役作りがわかりませんが、その役者魂にプラス0.5で。
醜悪
グロテスクな映画でした。醜怪極まりなく、見ていられないシーンもありました。
でも、女性として何故か自己肯定感が上がる不思議な作品で、セレンディピティを感じたので、自分の中での評価は、星4にしました。オープニングで「あくまでフィクションですので」というニュアンスの断り書きがあってからの、あの結末でした。
それにしてもの作品でのヘンリーは観客のヘイトを集める装置として秀逸すぎました。
歴史映画としても価値ある作品だと思って観ていたのですが、ヘンリーの言動が強烈すぎてそちらに引っ張られてしまいました。
全体として音楽が良かったのですが、エンドロールでの曲が特に気に入りました。
一曲目は、PJ Harvey さんの To Bring You My Love です。
もう一曲は、わらべ歌風の歌詞で映画のその後を暗示していて、いかにも、ヘンリー8世の時代の音楽といった感じなのですが、曲調は現代風のアレンジで、その取り合わせが面白かったです。オリジナルなのか、英国ではよく知られている曲なのか…不勉強ゆえに曲名が分からないので、配信に回ってきたらShazamにかけてみようと思いました。
やっぱりイングランドはいいですね~。
英国留学とかしてみたかったな~。
迷ったら負け、真実はカラフルなインコだけが知っている
2025.2.18 字幕 TOHOシネマズ二条
2023年のイギリス映画(120分、R15+)
原作はエリザベス・フリーマントルの書籍『Queen‘s Gambit』
実在の人物キャサリン・パーのヘンリー8世との結婚時代を描いた伝記映画
監督はカリン・アイヌーズ
脚本はヘンリエッタ・アシュワース&ジェシカ・アシュワース&ロサンヌ・フリン
原題の『Firebrand』は「扇動者」「火付け役」という意味で、原作の「Gambit」は「優位に立つための先手」という意味
物語の舞台は、16世紀のイングランド・テューダー朝
暴君として名高いヘンリー8世(ジュード・ロウ)は、これまでに5人の妻を追放、処刑などを行なって、次々に取り替えていた
1番目の妻との間にできた長女メアリー(パッツィ・フェラン)、2番目の妻との間にできた次女エリザベス(ジュニア・リース)、3番目の妻との間にできた長男エドワード(パトリック・バックリー)は侍女たちに支えられてきたが、6番目の妻キャサリン(アリシア・ヴィキャンデル)が来たことによって、彼女が面倒を見ることになった
キャサリンはプロテスタントで、カトリック教会の司教ガーディナー(サイモン・ラッセル・ビール)は快く思っておらず、彼女自身もトマス・シーモア(サム・ライリー)と言う恋人がいて、この結婚は不本意なものだった
ある日のこと、ヘンリーが出かけている隙を見て郊外に出たキャサリンは、そこで旧友のアン・アスキュー(エリン・ドハティ)と会うことになった
アンは急進派と呼ばれる宗教家で、ラテン語の聖書を英語に翻訳して、誰もが直に聖書とふれあえるようにしたいと考えていた
神と自分の間に人が入ることで、それは純粋な神の言葉ではないと考えていて、それは教会を貶める思想だと思われていた
司教はアンとキャサリンの関係を疑っていて、宮廷内にもその思想を持ち込むのではと恐れていたのである
映画は、ヘンリー8世の横暴ぶりを強調し、それに耐える妻と言う構図になっていた
これまでの前妻への所業を考えれば、いつどんな理由で殺されるかわからない
そんな折、トマスとキャサリンの関係がヘンリー8世の耳に入り、「身籠った子どもは誰の子だ!」と激昂され、それによって流産してしまう
さらにアンとの関係を示す証拠も見つかり、キャサリンは逮捕されてしまった
だが、ヘンリー8世の病状は次第に悪化し、最期の時が近づこうとしていたのである
どこまで史実を知っているかで評価が分かれる映画で、ラストの「アレ」は物議を醸しそうだなあと思った
彼は55歳で亡くなっていて、肥満によるものと、馬上槍試合における負傷の悪化とされているが、「アレ」は結構斬新な解釈のような気がする
訳もなく殺すなら、訳もなく殺されることもあるわけで、キャサリンは生き残るための「覚悟」を持っていた
ヘンリー8世がそれを持ち合わせていたかはわからないが、有無を言わせずと言うところもあって、その瞬間を「アレ」にしちちゃうのは中々「覚悟」があるなあと思った
いずれにせよ、暴君極まれりと言う感じで、忠誠を尽くす方がすごいなあと思うものの、権力にしがみついていた方がお得な時代だったのかもしれない
その後、彼の娘たちが結構なことをやらかしているので血は争えないと思うのだが、そのあたりは別の映画で確認しても良いと思う
華奢に見えるキャサリンに「アレ」ができるのかは置いておいて、人はその気になれば何でもできるんだなあと思った
全5件を表示