劇場公開日 2025年2月14日

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「【”私達は二人で地獄に行くのよ。”今作は暴君ヘンリー8世と6番目の最後の妻キャサリン・パーの関係を新解釈で描いた歴史サスペンスである。アリシア・ヴィキャンデルが演じると説得力ある作品でもある。】」ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【”私達は二人で地獄に行くのよ。”今作は暴君ヘンリー8世と6番目の最後の妻キャサリン・パーの関係を新解釈で描いた歴史サスペンスである。アリシア・ヴィキャンデルが演じると説得力ある作品でもある。】

2025年12月2日
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鑑賞方法:VOD

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ー ヘンリー8世ほど、映画で描かれた英国王はいないのではないか、と私は密かに思っている。それは即位後は賢明な王と言われていたが、一方では今作で描かれるように猜疑心が強く、又、時代的に権謀術数が横行していたために、周囲からの様々な諫言、進言、噂により、エリザベス一世の母である2番目の王妃であったアン・ブーリンや5番目の妻であったキャサリン・ハワードを姦通罪などで断頭台に送っているからである。
  今作は、映画で言えばナタリーポートマン主演の「ブーリン家の姉妹」と、ケイト・ブランシェット主演の「エリザベス」シリーズの中間に当たる時代を描いている。
  ヘンリー8世が描かれる映画としては、トーマス・モアとの確執を描いた逸品「わが命つきるとも」も、観ておきたいモノである。
  あとは、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーW主演の「ふたりの女王メアリーとエリザベス」だろうか。ー

■16世紀の英国。5人の前妻を容赦なく切り捨てた暴君・ヘンリー8世(ジュード・ロウ)と望まぬ結婚をした6番目の妻、キャサリン・パー(アリシア・ヴィキャンデル)。
 イングランド国教会を設立した事で、バチカンの正カトリック教会と対峙したヘンリーに反して、キャサリンはプロテスタントの信念に基づき国を光ある未来に導きたいと願っていたのであるが、ヘンリー8世は周囲の諫言も有り、キャサリンは”異端”のレッテルを貼られてしまうのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・ジュード・ロウ演じる晩年のヘンリー8世の、糖尿病による足が腐敗しているさまの描写や、ヘンリー8世が老いと共に、当時の女性としては珍しく書物から得た知識も含め、聡明だったキャサリン・パーを信頼し、自身が遠征の際には政治を任せている姿が前半は描かれる。

・今作でのジュード・ロウの怪演は、ナカナカであり且つての美青年の面影は特殊メイクも有り、全くない。ベッドシーンも含めて醜悪ですらある。

・元々、猜疑心が強かったヘンリー8世が、周囲の諫言により信頼していたキャサリン・パーの姦通や、彼女の信仰心を”異端”と考え、彼女の部屋の書物を調べるシーンで、キャサリンたちが、キリスト教改革を進めていたマルティン・ルターの本を隠すシーンは、正にカトリック教会からプロテスタントを切り離す宗教改革を指示していたキャサリン・パーの思想を表しているシーンである。

・今作では、多数の登場人物が描かれる。史実に名を残す人が殆どであるが、火炙りとなった伝道師の女性アン・アスキューなどは実在が不確定であるし、可なり当時の歴史背景や人物相関が頭に入っていないと、少し厳しいのではないかと思いかけた時に、あのビックリ!ラストシーンである。
 けれども、演じているのがアリシア・ヴィキャンデルというところがキャスティングの妙で、”彼女だったらやっていたかもしれないな・・。”と思ってしまうのである。

<今作は、暴君ヘンリー8世と最後の妻キャサリン・パーの関係を、新解釈で描いたサスペンスなのである。ビックリ!>

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