PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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下町ジモティーの喜び
公開初日の鑑賞から既に二週間近く。年末年始に数本映画を観たけど、やはり本作の余韻が大きいので、あらためてレビューを書きます。
鑑賞前に見た予告編で「桜橋」やスカイツリーが出てくるので、渋谷のトイレプロジェクト絡みの話なのに何故?という疑問は映像を観始めて直ぐに氷解しました。常識的には毎日の首都高使っての車通勤は考えられないけど、ヴェンダース監督は下町と渋谷の対比で現代の東京を表現したかったのだね。
スカイツリーとの距離感や行きつけの銭湯「電気湯」が登場することから、平山さんの住所は墨田区押上3丁目近辺かと推測します(因みに私は2丁目)。帰宅後のルーティンとして電気湯の一番風呂に浸かり、桜橋を自転車で渡り、メトロ銀座線浅草駅改札横の焼きそば屋
でチューハイを嗜む日々。半径700㍍くらいの行動圏。休日のささやかな愉しみと云えば、古本屋での文庫本の仕込み(購入した本への女店主のひと言が至高)と裏観音辺りと思しきスナックでの一杯。さゆりママがリクエストで歌声を披露なんて・・そんな贅沢な店があったら誰でも行くわなぁ。ママに淡い恋心を抱く平山さんの前に元亭主(三浦友和)が突然現れ心ざわつくも、余命幾ばくも無い彼から「ママをよろしくお願いします」と云われ困惑。無心に二人で影踏みをするシーンには涙が出ました。
押上・向島・浅草界隈が随所に登場するので、錦糸町のシネコンでは終映後、ジモティー達は嬉しくなって拍手喝采でした。同じ下町周辺を山田洋次が『こんにちは、母さん』で撮っていたけど、余りに定型的で面白くなく、個人的にはドイツ人監督の感性の方がしっくり。
鑑賞した翌日だったか、NHK・BSで小津安二郎監督の遺作『秋刀魚の味』を偶然見たけど、ヴェンダース監督の行間ならぬ映像間を味わう楽しみとは、このことかと再認識しました。
評価は分かれるのでは。
平山のトイレ清掃の日常をただただ描くだけで、劇的な話はない。
それをつまらないと評価する人もいるだろうし、
ホントに言葉の少ない平山の表情を読み取りながら、裕福な家庭→父親の確執から一人で生きていくということを問う、という深い内容だと評価する人もいるだろう。
ただ、自分にはあまり響かなかったかな。
疑問点。
・父親との確執とはどんなものだったのか。トイレ掃除に至る大切なところだが描かれていない。
・途中何回も回想シーンのようなものがあったがそれは父親を思い出しているのか。
・影が濃くなるというのは何を意味しているのか。人生の深さ・重さなのか。
いろいろなことがある、それがパーフェクトデイズ。
日々挟まれる夢が、詩のような印象。
主人公がとて無口で日常においてほとんど語らないせいでもあるが、その夢は、同じような繰り返しに思える1日1日でも決して同じ一日はないということを思い出させる現実的な句点の役割も果たしていた。
公衆トイレ掃除が決して簡単なものではないだろうけれどそこは多くは語らず。
木漏れ日を見上げ、モミジの稚樹を、きちんと折りたたんで作った新聞の小箱に土ごと入れ(それも自分で購読しているのでなく、掃除に使う事務所の備品だろう)アパートの部屋に並べてきちんと水を吹きかける。仕事ぶりも仲間からそこまでしなくてもと言われるほど律儀で丁寧。ただ、仕事以外の生活の中では、強く大きな音を伴う、少し投げやりにも感じる動作ひとつひとつに、かつて持っていた力と失ったものの大きさを感じた。それにしても運転手付きの妹、健在な頃には会えなかったお父様。去る車を見送ることもできずうつむき慟哭する彼に、何があったのだろう。
繰り出される音楽と小説も平山のバックグラウンドを想像させる素敵なカードになっていた。
がんの転移によって自分の未来を諦めた三浦友和が、日常生活のいろいろを諦めたような男に、小さな責任を頼む。かげふみで寄り添おうとする平山。重なる影が濃くならないはずはない、というセリフは、さもない毎日を積み重ねている自分への言葉のよう。最後の長いクローズアップは、涙を流すようなこらえるような、悲しみと希望がせめぎ合うような。その場に居合わせた全ての観客は目を離せなかったはずだ。
無常の人生と不変の人間の本性、性格
カンヌ映画祭で役所広司が主演男優賞を受賞した作品なので2024年映画鑑賞初めとして鑑賞した。トイレ清掃員としてルーティン化された清貧生活を送る主人公の姿を通して、人生の無常と人間の不変性を浮き彫りにした秀作だった。
台詞を極力減らすことで、ドキュメンタリーのような、主人公の日常を切り取った雰囲気を出している。台詞の密度が高く意味深で人生訓のように心に響く。
本作の主人公は平山(役所広司)。彼は、東京でトイレ清掃員として寡黙で規則正しい毎日を過ごしていた。通勤時に車の中でお気に入りの音楽を聴き、常時携帯しているカメラで木漏れ日を取り、休日に買った古本を読み、馴染みのスナックでママ(石川さゆり)と何気ない会話を交わし、彼の毎日は小さな喜びに満たされていた・・・。
平山は過去を捨てて清貧生活を始めた。彼の過去は謎だが、姪と、母親=平山の妹の登場&台詞で、かなり裕福な環境にいたこと、父親と確執があったことが推察できる。経済的環境の激変は精神的にかなり厳しい。しかし、冒頭から平山の表情に気負い悲壮感はない。自然体であり開放感がある。父親との確執の壮絶さを物語っている。
故に彼は父親の件を踏まえ、濃密な人間関係を避け寡黙になる。最小限の人間と最小限の会話を交わし最小限の人間関係を作り人間関係の長所を捨て短所を消そうとする。暫くの間、この彼の思惑は成功し細やかながら満たされていく。
しかし、親族の登場で小波が起こる。そして、相棒の若手社員(柄本時生)の突然退社、スナックのママの元夫・友山(三浦友和)の登場で、平山の思惑、頑なに守ってきたルーティンは崩れる。
“結局、変わんないですよね”という友山の台詞が心に強く残る。人生は無常だが、人間の本性、性格は変わらない。人間は無常の人生を変わらぬ性格で生きていく。その辛さをラストシーンで役所広司が泣き笑いだけで表現している。
本作はフィクションだが、平山の人生の好転を祈らずにはいられない名演技だった。
PERFECT DAYS感想文
主人公平山のいち日を何度も繰り返し繰り返し観る映画。
休日以外は毎日同じ繰り返し、休日も毎回同じ繰り返し。
でもおもしろい。
平山の過去は父親と何かあったんだろうと匂わせるくらいでそれ以上は語られないけどそこがいい。
役所広司すごく良いけどイケオジだから不自然。
平山と同じ境遇でもあれなら彼女2〜3人くらいいるだろ。
あと、「こんなふうに生きていけたなら」ってキャッチコピーはクソセンスないね。
まぁとにかくおもしろかった。
でもこれをサブスクで観たいとは思わないなぁ。
映画館で観ないと意味ないでしょ。
2023年最後の映画館での映画鑑賞。
2023年最後の映画館での映画鑑賞。渋谷区在住だし、17あるデザイントイレの2つにはお世話になったこともあるし、家内も観たいと言っていたので2人で行ってみた。ヴェンダースは40年前僕が大学生だった頃既に大物監督と言われていたのでまだ現役だったことに驚いた。映像は彼の作品らしさを感じることができた。台詞とかエピソードはあまりに日本的なのでとてもヴェンダースの考えとは思えず、恐らくは共同で脚本を書いた日本人によりものなのだろう。役所広司の演技は流石だし(姪役の女の子も良かった)、良い映画だとは思うが、絶賛されるほどか?とも思う。主人公が今のような状態になるまでどういう人生を送ってきたのか、親との関係はどうなのか?自分の家族を持ったことはないのか?色々疑問に思うが全て観る人のイマジネーションに委ねるというのは少し無責任と思うのだが?今まで以上に公衆トイレを綺麗に使おう、と思った。
カンヌ映画祭の男優賞受賞作品です。(((o(*゚▽゚*)o)))♡。
本日TOHOシネマズシャンテにつ鑑賞しました。
カンヌ映画際の男優賞を役所広司が受賞したので楽しみにしてました。
ここからネタバレをします。
前半は、淡々と東京の渋谷のトイレ🚽
掃除🧹🧼のシーンがありますが、
これはこれでお尻洗いのノズル洗うシーンなんか感心しました。
テーマは、木漏れ日でした。
姪っ子、仕事仲間、音楽、古本、カセットテープ、フィルムカメラ、写真、植物🪴、
飲み屋、etcを通して、
人生は、溢れ日のように揺れながら時間が過ぎて行きます。
正直わからないところもありました。
(>_<)🥹🥲😆。
新聞紙を濡らして畳の上にまき
掃除するシーン。
カセットテープ。
陰ふみ、マルバツゲームなど懐かしいシーンが良かったです。
音楽に関しては、、、ごめんなさい🙏🙇♀️
でした。
今回は、なんと言っても
三浦友和、など出演者が素晴らしい方
ばかりで感心してしまいました。
٩(^‿^)۶。
この映画の関係者の皆様お疲れ様です!!
ありがとございます。
(((o(*゚▽゚*)o)))♡🤗。
言わずもがながまかり通る
朝、道を掃く篲の音で目が覚める。起き上がり準備をして仕事に出る。寝る前に読む古書と、カセットテープから流れる音楽に心をみたし、木漏れ日のような陰影と微睡みを浮かべて眠りにつく。当然同じじゃない毎日を同じように生活する無口な主人公、その想いは見る人によって言わずもがな。。。
ここ最近みた物の中にはあえて視聴者に問いかけるような、想像におまかせします的な省き方(省いてるように感じる)が見られて逆に入れなかったが、今作品は何も言わなくてもただじんわり入り込んでくる。語彙力がないのでこれ以上表現出来ないが、これが監督の違いなのか、国の違いなのか分からないが、非常に良かった。
ただ賛否別れるかな?
自分は凄く面白かったです。
役所広司凄い‼️
ありふれた日常の中から、美しさや些細な幸せを見出だして、PERFECTな一日一日を
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
さて、2024年一本目。
本当は昨年中に観ようと思っていたのですが、仕事や休みは年末年始の雑務などで都合が付かず。正月休みにゆっくり観ようかと。
元日劇場は久しぶり。小さい頃は元日劇場は毎年恒例でした。(平成ゴジラvsシリーズなんかを)
昨夜は紅白などを見て(ポケビ&ブラピが良かった!)少し夜更かししましたが、頑張って早起きして正月の気分を感じつつ、隣町の映画館まで行ってきました。
静かながらもしみじみ染み入る“日本映画”の作風が正月にぴったりでした。
日本人が撮ってこその日本映画。それは勿論。
しかし時に、外国人が撮って改めて知る日本もある。例えば、リドリー・スコットが『ブラック・レイン』で撮った大阪のネオンギラギラのインパクトなんて、日本人だったら普通撮らないだろう。
本作は外国人から見た異色の日本ではなく、日本のありふれた光景や日常を美しく浮かび上がらせる。まるで小津安二郎監督のように。
それもその筈。本作の監督は、ヴィム・ヴェンダース。
言わずと知れたドイツの名匠。日本映画に造詣が深く、殊に小津敬愛者。
そんなドイツ人監督が描く、日本。
これが何の違和感もないほどの日本映画になっている。周りの日本人スタッフのバックアップもあっただろうが。
異国の街の片隅の、一人の男の日々の営みを見事描いている。
独り身の中年男性、平山。
朝早く起床。綺麗に布団を畳む。
歯磨き、髭剃り。植物に水をやる。
出勤の準備。着替え、用具、決められた所に置いた鍵や小銭を持って。
二階建ての古いアパート。目の前の自動販売機から缶コーヒーを一本買って飲んでから、車を走らす。
車内では必ずカセットで主に洋楽の懐メロを流す。
仕事はトイレ清掃員。東京都内の公衆トイレを幾つか周り、綺麗にする。
仕事ぶりは言わずもがな。実直、真面目、几帳面。便座の裏とか縁の陰とかウォシュレットのノズルとか、そんな所まで!?…って所まで丁寧に磨く。
黙々と。一切無駄がない。
仕事ぶりから分かるように、寡黙。無口。
でも、頑固で気難しい性格ではないようだ。
トイレに一人でいた子供に声を掛ける。ちなみに平山の第一声はこのシーン。その優しさにじんわりした。
トイレの使い方が分からない外国人に仕草で教える。
一方的に喋る若い後輩とも全く会話はないが、慕われてはいるようだ。柄本時生が演じるこのいい加減な青年が絶妙なウザさ。
昼休憩。コンビニで主にサンドイッチ。
仕事は夕方前には終わり、家に帰ると今度は自転車で近くの銭湯へ。
その帰り。駅地下商店街の古びた居酒屋でいつもの。
夜。就寝前に読書。
こうして一日が終わり、また一日が始まる。巻き戻したような同じ一日が。
端から見れば、何と特色も楽しみも面白味もない平淡過ぎる毎日。
休みの日も決まっている。行く所は、写真屋~古本屋~コインランドリー~行きつけの飲み屋。美人ママが“平等に”相手してくれる。
でも私、この平山さんの日常が分かる気がする。
自分の決めた日々のルーティンを崩したくない。違う事すると、何かちょっと調子が狂う…。
私もほぼ決まったルーティン。日々の仕事、休みの日の過ごし方(映画鑑賞)。たまの発散も時にはあるけど、基本変わらない。
平山さんも趣味はある。読書。カセット。カメラ。昼休憩の時、よく木々を撮る。苗木なんかを持ち帰り、育てる。
外国のありふれた日常がどんなものか分からないが(それともあまり変わりはない…?)、日本や日本人の…と言うより、誰の身にも置き換えられる人一人の何気ない日常。
その決め細やかさが秀逸。
それを体現したのは、言うまでもない。日本が世界に誇る名優。
本当に役所広司には、いつもいつも驚かされる。一体、幾つ引き出しを持っているのか。
数々の名作での名演。シリアスや自然体含め。
三谷作品なんかでは真面目そうな雰囲気が生み出す抜群のユーモア。
ダークな役だって。『孤狼の血』での荒々しさ、激しさ。
個人的近年ベストは『すばらしき世界』。
アニメ映画の声優も上手く、昨年は話題になったTVドラマ『VIVANT』で圧倒的存在感。
しかしそこにもう一つ、代表作と名演が加わった。
まるで役所広司に当て書きされたような平山という男。
本当に人柄や性格が滲み出る。と言うかこれは、役所広司のドキュメンタリーを見ているのか…?
本作での役所広司の台詞量はどれくらいだったろう。だが演技は、台詞を覚えて喋るより仕草一つ表情一つの表現の方が難しいと聞く。
あのラストシーンを始め、役所広司は本作で、演技をすると言うより、人一人を生きるという事を魅せてくれた。
トイレ清掃員という仕事への着眼点。
何でもヴェンダースが日本に来て、日本のトイレの素晴らしさ、心を込めて綺麗にする清掃員に感嘆したとか。
日々、当たり前のように使う日本人の我々こそ気付くべき。
印象的なシーンも。トイレに一人でいた子供とのエピソード。すぐ母親が来て、“トイレ清掃員”と握っていた子供の手を拭き、礼も言わない。トイレ清掃員って、こんなにも“汚い”と思われているのか…?
そんな私はどうだ? トイレのみならず清掃員やバキュームカーとか。職業差別ではないが、ハッとさせられる描写だった。
でも、親切にされた子供は忘れない。手を振る。優しきその人も笑みを浮かべて手を振り返す。
にしても、東京の公衆トイレには驚き!
お洒落な内装。極め付けは、普段はスケルトンだが入ってドアを閉めて鍵を掛けると中が見えなくなるあのトイレ…! 本当にあるんですか…?
トイレだけじゃない。我々が気付かぬ日本、東京という街の美しさ。
そびえ立つスカイツリー、橋やマンション街、その夜景。
その一方、住宅街や路地裏。昔から変わらぬ風景が今も残っている。
そんな大都会にもある自然。
すぐ身近に、こんなにも美しい風景がある。
やっぱり日本人の我々が気付かないだけで、外国人から見たら日本って美しいんだなぁ…。
気付かせてくれて、ありがとうございます、ヴェンダース監督!
私も住んでる周りから見つけてみよう。
美しいのは風景だけじゃない。
美徳。心。
平山さんの人となり。
ウザい後輩だが、知能障害の幼馴染みへのナチュラルな接し。
平山さんの微笑みが語っている。案外いい奴じゃないか。
その後輩がモーション掛けている若い女性。見た目は今時ながら、カセットからの音楽を気に入る。ちゃんと平山に返す。
馴染みの店、顔馴染みの人たちとの何気ない交流。
ある時姪っ子が転がり込んでくる。何か訳あり…。やがておじと過ごす内に…。
○✕ゲーム。
終盤、ある人物と影踏み。中年男二人で子供のように。
それら一つ一つが静かに心に響く。
まるで平淡な日常から些細な幸せを見出だすかのように、私もこの作品から些細ながらも温かい幸せを見出だしていた。
本当に人生はそうだ。
私にだって欲はある。宝くじが当たって、いい家に引っ越して、豪華な旅行して、美味しいものを食べて、悠々自適に暮らしたい…。
その一方、今のこの平淡な日常から些細な幸せを感じる時も。
それが感じられた時、しみじみと充実や満足が心や身体を包み込む。
人間って不思議。両極端の望みや幸せがあるのに…。
どちらが本当に幸せか…? それはその人だけの感じ方。
見てて、『男はつらいよ』の中からのある台詞が自然と浮かんだ。
ああ、生きてて良かったなぁ…と思う事何べんもあるだろ。その為に生きてるんじゃないか。
平山さんにだって不満や悲しみや切なさある筈だ。
私にだって。皆さんにだって。
こんな日の当たらない陰みたいな人生…。
本作、陰/影が印象的な描写を残す。
平山さんはトイレの“陰”まで綺麗に清掃する。
小説の中の“陰”という言葉。
よく夢で見る幻影。
影踏み。
陰が薄いとか、存在感がないなんて言葉がある。
断じてそんな事はない。
私たちは一人一人、存在している。生きている。光と陰を持って。
変わらぬ毎日…? いや少なからず、毎日何かが違う。
だから毎日毎日が美しい。
その一つ一つ、一コマ一コマ。
一瞬一瞬の美しさ。木漏れ日のように。
新年一発目、いい映画を見た。これも幸せ。
是非とも、米アカデミー賞(国際長編映画賞や願わくば役所広司の主演男優賞)にノミネートされて欲しい。
私や皆々様にとって、2024年が一日一日、“PERFECT DAYS”になりますよう。“PERFECT YEAR”になりますよう。
追記。
…と思っていたら、新年早々大地震が…。
東日本大震災以来の地震、津波、惨状に衝撃…。
命だけ充分守って下さい!
本当に難しい映画
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トイレを掃除して回る仕事をしてる役所。
その周囲で色んな出来事が起こる。
それをダラダラと映すだけの映画?
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評価が高かったので見に行ったが、今ひとつ分からなかった。
特に最初の30分なんて、役所の日々の生活を映すのみ。
読書して寝て起きて歯磨きして着替えてトイレ掃除・・・
帰りに一杯飲んでアパートに帰る・・・だけ。
無口過ぎて、口をきけない人の役なのかと本気で思ってた。
開始30分くらいでようやく、話せるって知ったからなw
それ以降も同じ感じで、小さなエピソードが起こるだけ。
・よく面倒見てた後輩が退職、その彼女に急にキスされる
・トイレに置かれた紙で見知らぬ人と○×ゲームをする
・姪っ子が家出して来て、なつかれるが、親に連れ戻される
・飲み屋の女将の元旦那がガンになり、女将を託される
地味ながら真面目に生きてる役所に共感はできたんで、
見てて退屈ってことは無かった。最初の30分以外はw
ただ何を伝えたい映画なのか最後までよく分からず。
何故こんな仕事を一生懸命するのか後輩が不思議がってたが、
最後までその理由が明かされることも無かったし、
勤続年数や前職など、どんな生き方をして来たのかも不明。
映画って難しいなと思わされる作品。
静かに語りかける、最高でした!
クラシカルでマインドフルネスに通ずるものを感じた。
役所演じる平山の生活は必要最小限のシンプルライフ。
物も必要最小限で携帯もガラケーでスマホを持たない。
「住んでいる国が違うんだよ」というセリフの通り、現世に多いスタイルとは一線を画す生活だ。
それでも平山は単調な日々に感じる感情の流れを素直に楽しんでいる。
「今度は今度、今は今」のセリフにもあるように今ここに集中して時間軸や概念にとらわれていない。
今あるものにフォーカスしつつ、自然体であるがままを受け入れている。素晴らしい。
そしてこの平山の魅力が劇中周りの人たちを巻き込んでいく。
洗礼されたシンプルの美しさについても最高のカメラワーク、展開で表現されており
開始20分間のほぼ平山の所作だけで作られている構成は圧巻でした。
情報過多でノイズの多い現代において取り入れるべき部分が多い。
タイトルであるPERFECTDAYSの解釈はひとそれぞれであるがこの映画で描かれる平山のクラシカルなそれは広告、スクリーンタイムの多さによって刺激される令和時代においてかなり価値のあるものだと思う。
木漏れ日の刹那を大事にしていきたい。
また脇役らの演技も最高で映画を邪魔することなくうまく調和していた。
劇中にでていた歌や小説らを聞いて見てからもう一回見たいと思う。
うーん、いまひとつスッキリしない。
ヴィム・ベンダースが描く外国のシーンはなんかオシャレで好きです。
が、日本人なので今回の作品はいまひとつスッキリしませんでした。
作品の合間に定期的に流れる夢なのか木漏れ日なのかよく分からない映像。
神社から持ち帰った苗に毎朝水をかけてるけど、苗がそんなに成長してないリアリティの無さ。
缶コーヒーのプルタブを開けるのが早すぎるとこ。
三浦友和が河川敷に突然現れて「私は癌です」と告白した後、平山と影踏み遊びをする不自然さ。
ニコを迎えに来た妹を平山が唐突に抱きしめるシーンはそこはあえて抱きしめない方がよりリアリティがあったのではなかろうか?
と、つらつら細かいことを挙げて批判してきましたが、全体としては良作だと思います。
飲み屋の大将の仕草や古本屋の女性店主のコメントは思わずほっこりさせられました。
音楽と東京の風景も良かったです。
あと、最後に一言だけ。
トイレ掃除する時、マスク着用は必須ではなかろうか?
え?「お前はいろいろうるさい」って😆
光と影にこだわったカメラワークと何気ない日常を映画として描く監督の力量
トイレ清掃員の日常という、一見地味なテーマも、監督の力量でこんな素晴らしい作品になるんだなーというのが率直な感想。
まず、光や影、日常の何気ない風景の中のきらめきというか、美しい瞬間を、役者の演技とともに切り取るカメラワークが素晴らしい。
何気ないけど、相当考えて撮ってるんだろうなと思わせられる。ヴィム・ヴェンダースが東京を撮ると、こうなるんだ、という目線で見るのも面白かった(余談ですが、首都高の走行シーンって、海外の監督は好きですよね‥)
ただカメラワークだけじゃなく、ストーリーも良かった。
近所のおばちゃんの竹ぼうきの音で毎朝目を覚まし、トイレ清掃の仕事をしながら、趣味の読書や写真、そして音楽、銭湯、行きつけの飲み屋に通う日々。
孤独だけど、ちゃんと生きる楽しみを持っている主人公と、それに関わる人達。トイレ清掃の仕事の後輩、姪っ子
、そして妹との関わり。
なぜ今のトイレ清掃の仕事に行き着いたのか、その根本に、父との確執があった事を匂わせるシーンがあって、涙が‥
ほとんどセリフの無い役所さんの演技が素晴らしい。
誰が相手か最後までわからないけど、トイレの鏡の隙間に挟まれた紙の上で日々、○×の陣取りゲーム?が繰り広げられていくという、サイドストーリー的な要素も良かったし、
それと飲み屋のママ役が石川さゆりと、豪華!ママの生歌が聞けるなら、そりゃ通っちゃうよね〜。
見ていて暖かい気持ちになれる良い映画でした。
生きること自体アナログだ
仕事納めの日にTOHOで
終業と同時に年末最後の挨拶もそこそこに
18:05開始の回に滑り込み
鑑賞ポイントが6個たまってロハが嬉しい
ヴィムベンダース監督の作品は
大昔に観た夢の涯てまでも以来
人が寝ている時に視る夢を映像にするといった話
東京国際映画祭に絡んでいて
当時ノリノリだった監督で期待されたものの
酷評されて興行的にも大コケしたような記憶
で本作は結論としては今年観た中では上位に入る良作
アナログ男の真骨頂
序盤に繰り返される男の日常
(平日)
・外の道路を掃くほうきの音で目を覚ます
・歯を磨く
・髭を剃り整える
・霧吹きで盆栽に水をやる
・仕事着に着替える
・玄関でカギと小銭を持って外に出る
・空を見上げる
・自販機で缶コーヒーを買う
・車に乗り込む前に蓋を開けて乗ったらグビリ
・車でカセットを聞く
・仕事のトイレ掃除を真面目にやる
・昼休みに神社のベンチでサンドイッチと牛乳
・木漏れ日をオリンパスのフイルムカメラで撮る
・ときどき新芽を盆栽用に持ち帰る
・銭湯に行く
・駅地下の一杯飲み屋で酎ハイとつまみ
・床に着いて文庫本を読みふけって眠る
(休日)
・作業着をコインランドリーで洗う
・古本屋で1冊100円の文庫本を買う
・DPE店で写真を受け取りフイルムを出し
代わりのフイルムを1本買いカメラに装填する
・出来上がった写真を観て気に入ったものだけ缶に入れて
残りは破り捨てる
・小料理屋で女将と話しながら一杯飲る
こういうのが幸せだよなぁとしみじみ共感
そういうルーティンが乱れる
・同僚に金を貸す
・姪が家出してきて自分のアパートに泊まる
・同僚が突然辞める
・同僚の後任が来る
・麻生祐未とか三浦友和
それによって生じる心の揺らぎも拒否しない
全編に流れるアナログ愛
スクリーン画面の縦横比が3:4のブラウン管仕様だし
カセットテープとかフイルムカメラとか
いまの世の中でアナログでいることは実は結構贅沢で金もかかる
DPE店で2~3千円くらい出していた
主人公が就いた仕事がトイレ清掃であることもアナログだ
デジタルだなんだといってもものを食べて排泄する行為はなくならない
生きること自体アナログだ
普通はトイレ清掃人に浴びせられる心無い言動や蔑視を殊更クローズアップして
怒りや憐みを喚起する表現をしそうなものだがそうならない
主人公は穏やかに微笑む
主人公が目覚める前に視る夢のような映像は
不穏なようで実はそうでもないような
夢の涯てへのセルフオマージュのような気がした
実は名家の跡取りでオヤジと仲違いして家を出たような過去を示唆
結婚しているのか 子どもはいるのか
最後の涙の意味もよく分からなかった
分からなさ加減も気にならない 色んな人の解釈を聞いてみたい
エンドロールの最後に木漏れ日についての説明が出てくる
二度と同じものは見れないと あぁなるほど
余白が多いいい映画だ これから気づくことがまだあるかもしれない
(ここから映画と無関係の記録)
終了後はドンキで第③ビール2本を買い込み駅のベンチでグビリ
屋根があり風がしのげて大層気分よし
家に戻って風呂に入って2次会 仕事納めはいい日になった
布団を畳む所作だけで心に刺さる映画
東京の公園のトイレ清掃業務を生業とする男の毎日を描く。
朝目覚めからの一連のルーティーンだけで心に刺さるものがあるのは
この映画がはじめて。
布団を畳む所作が美しい。いや、彼のすべての所作が美しい。
住んでいるアパートもはっきり言ってボロだが、
部屋は整然としている。
彼の毎日を淡々と描きながらも、
少しだけいつもの違う、心がゆれる出来事が起きるのだが、
最後は穏やかな形で終わる。
同僚の男にお金を貸したことと、その彼が別の少年に好かれていること。
カセットテープを盗まれながら、返してもらい最後はキス。
突然の姪との同居と、妹との再会。
同僚の突然の退職による多忙なシフトと、翌日のヘルプの女性。
居酒屋女将の元夫の出現と、彼との影踏み。
1つ1つのエピソードが優しい形で終わる。
そして、映画を観て、優しい気持ちになれた。
これかなり好きだわ
同じような毎日にちょっとだけのゆらぎ。平凡な日常を繰り返し見せられているのに、なんでこんなに時間を忘れて観入っているんだろうな?と不思議な気持ちになる映画でした。
それにしても役所さん演じる平山氏のなんて可愛らしい事。やけ酒チューハイ3缶と吸い慣れないタバコ買う姿にキュンとくるわ。
私は家事のマイルールが強すぎて、「起きてすぐ布団をたたんで重ねると湿気が…」とか「顔拭いたタオルがヨレてるの直したい」とか「畳の掃除の大雑把さ…」と、どうでもいいところで気になってしょうがなくなり集中が欠ける事多々あり。
平山氏も私とはまた違う強いマイルールがあるんだろうな。彼の過去に何があったのか具体的にはなんの説明もなかったけれど、生きづらさを抱えてきた人である事はよくわかる。
今年最後の映画をこの作品で締められたのはとても良かった。
贅沢な余白…静かに残る余韻
これは夜に観たい作品。
これを見て、余韻に浸って、ベットに横になって眠りにつきたい、劇場からの帰り道そんな風に感じた。
ヴィム・ヴェンダース監督はこれまでも東京の風景を作品に収めているが、これまでで一番優しく映しているように感じた。(ここまで東京にスポットをあてた作品が初めてだからかもしれない。)
誰にでも秘密や問題を抱えている…だけどそれを解き明かすのではなく、そっと日常を追う。
それがどこか心地よい所以かもしれない。
日本ではごく普通の初老男性の日々...
想像するに若い人や海外の方々から見るとこの生き方は物珍しく新しく見えるのかも知れない。還暦をとうに過ぎて年金貰いつつそれでも働き続けている身にとってこの主人公の生き方はいわばデフォルト、多少の差があれ似たり寄ったりの生活、文庫本を古本屋やブックオフで買うか図書館で借りるか、カラオケスナックのママなのか食堂のママなのか、毎日のレモンハイか自宅での一合の酒か、皆とは言わないが誰しもが何らかの埋めきれない喪失や敗北感を抱えつつも音楽、世代的にはロック、で鼓舞しながら生きていく。この映画の救いは姪っ子の存在とスナックママとの微かな希望。なんと言っても役所さんだからどう転んでもモテない訳が無い。そこにまだ希望が有る。さて我々一般初老の男達はどうか?と言うと皆さんそれなりにUpgradeしながら満喫されていますよ、大きな喪失をたとえ抱えながらでも。何故ならそれが生き残って居る自分の宿命で有るから。
足るを知る男の日常
都内の公衆便所を清掃する男の日常をただひたすらに切り取った映画。
スクリーンを通して映し出されるこの映画にはドラマチックな脚本や展開などはない。
そういう意味ではこの映画はこれまで鑑賞してきたような映画とは全く一線を画すと強く思った。
なのにも関わらず込み上げてくるこの幸福感は何だろうか。
ただ自分の生活に満ち足りた男の生活の様子を眺めているだけなのに何故だろう心から"羨ましい"と思った。
どこにでもあるようなこの日本人の日常を外国人の監督が見事な芸術作品に昇華させたこと自体に脱帽。
年の瀬にこのような作品に出会えたことに感謝。
また観たいと思う。
平山さん
人生の豊かさ、普通の生活、人との関わり
無口な平山さんは言葉は少ないが目と表情で
表現する。もしかしたら、若い頃何かしらが
あり自分らしく生きる為にトイレの清掃業
を始めたのかもしれない。
朝早く自然の時間で起床し職場への準備をする。
苗木に水をやり、コーヒーを買い車で出発。
今朝の気分で好きなカセットテープで音楽を聴く。空をいつも見上げている。
毎日同じようにしてるが、一瞬一瞬が違うから
大切に生きて感じてるんだろう。
都会で働きながら、彼だけ森の中でゆったり
過ごしている感じもする。
古書店、銭湯、カメラ屋、行きつけの飲み屋
彼らしい満足の日々に少しずつ色々な人が紛れ込む。その交差具合も絶妙。
役所広司さんと三浦友和さんの影踏みは
ほっこりする。水際の水音も心地良い。
姪っ子ニコが『あの木はおじさんの友達?』
は心優しい豊かなセリフは好きだったなぁ。
平山の『この世界には沢山の世界があるが
繋がっているように見えて繋がってない世界がある』の言葉は深い。
アニマルズ、オーティス・レディング、パティ・スミス、ヴァン・モリソン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニーナ・シモン、ルー・リードの劇中曲は最高であった。最後のフィーリンググッドが流れた時の平山の表情。
目頭が熱くなり目が真っ赤に高揚する演技は
素晴らしかった。このラストシーンがこの作品の
全部を物語っている。
幸せは人其々。比べる物でもなく、選ぶ物ではなくその人が感じる物。
エンディングのルー・リードの歌声とピアノ伴奏もしっくりきたなぁ。
久々に身体の奥底からじわーっと温まる映画でした。
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