PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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日常劇場
まるで歯医者の診療椅子に身を預けながら眺める環境動画のような、取り立てて何かが起こることもない日々の暮らし振りがスクリーンに描き出される。
でも人間って大体そんなもんだろ。燦燦と降り注ぐお日さまの下に立ち続けるのは疲れちゃうし、影に影を重ねて暗から黒へ沈んでしまうのは怖くてしようがない。
木洩れ日の下、目を細めて見上げるくらいが身の丈に合って丁度良い。そんなことを想わせてくれる作品でした。
樹を愛でる、ひとっぷろ浴びて仕事の疲れを癒す、流した汗は馴染みの店で「お帰り」と声を掛けられ、喉から流し込んで補給する。
このように好意的に受け入れられる要素は沢山有りました、その反面、夜瞼を閉じてから映し出される残像のような振り返りのシーン、登場人物たちがふとした瞬間浮かべるけげんな表情、そして流す涙の意味がもう一つ理解足らずでおいて行かれるような気分も多少なりともありました。
そうは言っても、ワタシには馴染みのある江東・浅草(それも銀座線浅草駅のカオスな地下街!)・渋谷などの風景に「そうそう、アソコだ!」と心躍ったり、田中泯さんの素敵な踊りに物凄い存在感を感じたり、胸に染みる作品でした。
観る人によって受け取る感情は千差万別、評価が分かれるかもしれませんね。
何が始まるでもなく、何が終わるわけでもないが
幸せは自分で決めて良い
10のうち10の生活
徹底してデジタルを排除した生活
単調な繰り返しに近い生活
煩わしい人間関係を避けた生活
でもそこには、アナログの温かさがあり、モノトーンな時の流れとは違い、何かたしかなつながりが実感できる暮らしぶりが見えました。
それはまさに理想的な生活に見えました。
ヒラヤマさんは、「分からないことばかり」で終えることになる人生で全く正反対な生活を送っていたかもしれないところ、何かを覚悟した上で単純で単調なように見える生活を選んだんだと想像します。
単純で単調に暮らすことは、特に今の時代には決して簡単なことではないはずですから。
「何も変わらないなんてありえない」ことも理解して、そんな生活を大事に楽しんでいるように見えました。
似たようなリズムでの生活が続くなかでも、当然、静かながらも喜怒哀楽があり、決して同じ表情で過ごしていくということはなく、その一つひとつの表情にみせられました。
木漏れ日を見上げる表情、無機質な高速道路を見上げる表情、そんな細やかな違いでヒラヤマさんを表現されていたのが印象的でした。
それにしても、東京にはいろんなかたちのトイレがありますね。
生活音と詩のような気持ち
トイレ清掃員の何気ない日常を描いた作品。 本年度ベスト級。
楽しみにしていた作品だったけど、自分にはあまり刺さらなかった感じ。
だけど清掃員の平山を演じた役所広司さんの演技には引き込まれた。
起床→木々の水やり→支度→缶コーヒー購入→トイレ清掃→飲み屋で一杯→銭湯→読書→就寝。
こんな繰り返しの中でも毎日違った出来事が訪れる感じ。
平山が就寝した後、モノクロの意味不明な映像は平山が見ている夢なのか?
その夢の意味がよく解らない(笑)
東京の美しい景色と洒落た洋楽が印象に残る。
驚いたのは公衆トイレが美しい(笑)
今の公衆トイレって凄いな!
ぶっちゃけ退屈な感じでお尻が痛くなる(笑)
睡魔も襲って来たけど何とか鑑賞。
あまり刺さる内容では無かったけど役所広司さんの演技には大満足。
平山が出掛ける時、家の鍵をしないのが気になりました( ´∀`)
ささやかな感動作
1人の男の日常を淡々と描いたなんとも退屈な映画?寝てしまうのを覚悟に観ていた私は退屈どころか、いつの間にかその世界に深く引き込まれてしまいました。私の地元の比較的地味な場所がロケ地だったからなのか?自分の年齢のせいなのか?何故か心に滲みる映画でした。
小津安二郎をリスペクトするベンダース監督らしく、往年の邦画を思わせる様式美に満ちた静の世界ではあるものの、微妙に変化する一日一日を短編小説の様に丹念に切り取った脚本と編集が素晴らしく飽きさせません。そして、ひたすら無口な男を演じる役所広司の抑制の効いた演技力が、ややもすると単調になりがちかな物語を強く支えています。
「ゴジラ−1.0」「鬼太郎誕生」等の大ヒットの裏で、この様なささやかな感動作に出会えた事の喜びに浸りながら映画館を後に、年末の寒空に自転車を漕ぎながら私はこの映画の主人公の様に幸せな涙を流すのでした。
役所広司すげー
あるトイレ清掃員の完璧な日常‼️
あるトイレ清掃員の日常‼️近所の老女の箒の音で目を覚まし、布団をたたみ、歯を磨き、ヒゲを整え、植物に水をやり、ユニフォームに身を包み、ドアを開けて笑顔で空を見上げ、缶コーヒーを一本、そしてお気に入りのカセットを聴きながら仕事のトイレ清掃へ‼️お昼に公園でサンドイッチを食べ、仕事が終わると銭湯へ、地下の居酒屋へ行き、眠くなるまで本を読む‼️休日はコインランドリー、写真の現像、古本屋、そして休日だけ通う居酒屋のママの歌声‼️映画は主人公・平山のそんな日常を繰り返し活写していく‼️セリフもほとんどなく、まるでドキュメンタリーのような地味な展開かなと思わせる‼️しかしカーステレオから聞こえてくる音楽は毎日違うし、平山が清掃するトイレは世界的な建築家がデザインした、芸術品と呼べるモノばかりで、同じはずの日常のルーティンに異なる彩りを与えている‼️ホントにトイレを見ているだけで楽しい‼️そしてそんな平山の日常に訪れる思いがけない出来事‼️同僚の恋愛沙汰、孤独を抱える同僚の恋のお相手、家出してきた姪っ子、わだかまりがある妹、平山が密かに恋心を抱く居酒屋のママ、ガンを患っているママの元夫・・・‼️もうホントに全編がヴェンダース監督の優しさに包まれているし、役所さんの名演が常に寄り添っているような名作ですよね‼️毎日同じことの繰り返しのようでも、一日一日違った喜びや悲しみがあり、新たな刺激がある‼️平山が毎日カメラで写す木漏れ日のように‼️時折挿入されるその木漏れ日のカットが、この作品をより美しく、より詩的にしていると思います‼️そして、平山のカセットテープから流れるストーンズやヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ヴァン・モリソンなどの名曲の数々も、サントラが絶対欲しくなってしまう素晴らしさ‼️ヴェンダース監督の最高傑作ではないかもしれませんが、最高傑作の一本である事は間違いないですね‼️
「この世界には、たくさんの世界がある。つながっているように見えても、つながっていない世界がある・・・」‼️
街と人と道路とトイレの素晴らしい時間
まったく素晴らしい時間だった。役所広司演じるトイレ掃除のおっさんの最初の1日のルーティン観てるだけでグッときてしまった。何を大切に、何を感じ、街を眺め、街の中に生き、街の中に見つけ、そんな一日。ベンダースの今がそうなのか。こういうのは日本的なのかと思ってたのが、ベンダースから提示されるとは。
孤独ではあるが寂しさと違う。距離を置いているけど離れてない。「今度は今度今は今」ではないけど、その境界線を大事に生きる人生の断片。その日常を少し掻き乱す人たちの断片から想像できるその先の世界、主人公の想像を良き方に超える、想像外の小さなサプライズが嬉しい。同僚の柄本時生とその彼女、改札脇の飲み屋、行きつけのママさんとその男の話、役所広司のリアクションが本当にいい。ラストのドライビングシーン、その表情が素晴らしかった。
過去の作品に比べて軽やかであるが、やはり映画と街と人、とりわけ道路の景色がとても沁みた。
これでいいのだ〜
独身の末路、日常
高すぎた期待よりは下回ったかな?
あの箒の音もいつか聞こえなくなる
何故トイレの清掃員になったのか?
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