PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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東京・渋谷区17カ所の公共トイレを、世界的な建築家やクリエイターが...
東京・渋谷区17カ所の公共トイレを、世界的な建築家やクリエイターが改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」に賛同したドイツの世界的映画監督『ベンダース』 と日本の至宝『役所広司さん』の描く芸術は役所さんをカンヌで日本人2人目の主演男優賞に導く。
とても静かに淡々と映画は流れ、どこにでもいそうな?孤独な?過去に影を持つ寡黙な老年男性の毎日変わらない日常を描く。ドキドキもしない、ハラハラもしない、といってお涙頂戴でもない。
でも染み染み心に刺さる物語。ふと東京を散歩したくなった映画。
23-147
木漏れ日のように、
人生と人生がゆらゆらと混じり合う。
平坦な日常の中を、
ほんの小さな変化が通り過ぎる。
混じり合う影は濃くなる。
変化がないなんて、そんな訳ない。
石川さゆりの歌🎤
良かったですねぇ。
いろんな生き方があるけど、これはひとつの理想の生き方
いつもの日常を充分と感じつつ口角を上げて過ごす。目の前のことをきちんと果たす。そして、出会った人にやさしくする。ひとつひとつのことは誰でもできそうなことだし、安アパートに住むレベルなら誰でも手が届くこと。でも、主人公平山のような生き方はなかなかできない。その意味でPERFECT DAYSというタイトルは、なるほどと思った。
今は禅の修行僧のような生活をしているけど、そこに至る人生にはいろいろことがあり、悲しいこともあったのだろうという深みも感じた。平山の妹を抱きしめた後の涙や、エンディングの涙目は胸に迫って来る。涙の理由をあえて説明しないで、観客の想像に任せているので、深みが出ている気がする。
場面場面でスカイツリーが写される。お金や評判を気にする普通の生き方を象徴しているのだろうと思った。平山のすぐ隣にもそういう世界があるけど、平山はそっちには行かない。同僚のタカシのような、目の前のことをきちんとやらずに欲求はあるという人がいても、そっちに流されない。缶コーヒーやカエデの若木などの小さな幸せを楽しむ。「こっちは誰でもできますよ」「目の前の普通ことを充分と思うこと」ということなのかもしれない。
男優賞の役所広司はもちろんだけど、姪のニコ役の中野有紗、タカシの交際相手役のアオイヤマダ、タカシ役の柄本時生らも良かった。
海外映画の気がしない
ヴェンダースは抽象度が高く難解な作品のイメージが強く敷居が高ったがとてもドイツ人が作ったとは思えないものだった。
『パリ、テキサス』にハマったライ・クーダーのBGMのようにアニマルズに始まるオーティス・レディング、パティ・スミス、果てはあがた森魚のギターに石川さゆりが歌う浅川マキは凄かった^ ^
ちょい役の研ナオコも凄い。
人間くさくて、たどたどしくて、愛さずにいられない
やるべき事をこなし、居心地の良い時間を過ごす毎日。
なのに、幸せそうじゃない。そうするしかない、ような。
自ら積極的に人と関わらないが、誠実に向きあい、関わる人たちに心が波打ち、ほどけていく。
自己完結出来るほど、世界は単純じゃない。
ビターもスイートも、どっちも味わい深い。
クリスマスに役所広司に逢いに行く…⭐︎
カンヌの主演男優賞をとってから、いつ公開されるかと楽しみにしていた作品をようやく鑑賞。
おそらく台東区あたりのオンボロアパートからトイレ掃除に向かう役所広司演じる平山の
「パーフェクト」と言えるルーティンの日々を淡々と描いていく。
冒頭、出勤のシーン。
(玄関?)ドアから出て、まず空を見上げる。
そして、これまたボロっちい自販機で缶コーヒー(やはりBOSS(笑))を買って軽自動車に乗り込んで
最初の聞くカセットテープ(カーステレオがカセット式)が、アニマルズの「朝日のあたる家」!
東京の夜明けと相まって渋い。
ここですっかり映画の中。
全編に渡って洋楽が流れるが(日本の曲も一曲あり)、知らない曲でも何だか引き込まれてしまう。
毎日のルーティンの中の何気ないエピソード。
銭湯、浅草の一杯飲み屋、石川さゆりがママのスナック。
(石川さゆりが日本語で「朝日のあたる家」を熱唱するのは笑ってしまった)
そんな全てに丁寧に向き合っているような平山が愛おしく感じる。
大きい動きがなく2時間余りの映画なので、隣の女性はオヤスミされていた。
しかし、やはり映像が美しく 空と木々の木漏れ日が何度も描かれて
それに見入ってしまった。
ラストシーン、仕事に向かう平山が車の中で何か込み上げて来るものに本当に
本当に悲しいような、それ以上に幸せそうな泣き笑いの表情にこの映画の
全てがあるように思う。
…で、この作品がパルムドールではなく、主演男優賞なんだと改めて感じた。
人は完璧な歯車になる冪だ
名匠ビム・ベンダース監督作品を、まだ見た事が無かったので、本作を鑑賞しました。
主人公は下町(浅草)に住み、都会(渋谷)で仕事をする。
よって、映画から醸し出す空気に"ハイカラな渋谷区の住宅地"はなく、あくまで浅草だ。
その浅草に住む主人公の部屋にあるのは、沢山の 本とカセットテープ
彼は"かってのインテリ人間"だったようだが、イレギュラを避ける生活の中で、まるで機械人間の様に
ルーチン化した 穏やかな日々 をおくり
姪が来たとき以外は、部屋に鍵を閉めない程 不用心な事さえ、ルーチン化してしまったようだ。
それは、"空き巣に入られる"といった イレギュラな事さえ ないものとして、生活ルーチンは組立られている。
即ち、几帳面すぎたり、繊細だから、ルーチン化したのではないということ。
彼の日課のひとつは 公園に行って、ファインダーを観ずに、アバウトに"木漏れ日"の写真を撮る。
アナログカメラだからこそ、とうぜん失敗も成功もある。
だが、その失敗を、微妙に改善する事が、唯一の”許された変化”であり、「失敗もしたけど、気付いた時に、微妙に改善した」ていう完璧なルーチンの中で 出来事である。
そして、当たり前に蓄積された カイゼンの結果は捨てずに証拠として、保管する。
これは彼の 日常生活の記憶・記憶の確認であり、日々見る夢も同じであろう。
主人公は まったく 人との関わり合いが嫌いなのかと言うと、そうでもない。
週に1度 洗濯をした帰りに、スナックに立ち寄り、話をする事を日課とし、
姪が訪ねてきた時も、スナックママの前夫と面した時も 表情豊かに、歓迎した。
彼が無口なのは「会話の内容ルーチンがない」からだ。
無駄な会話は不要と言う事。
実妹の「まさか、本当にトイレ掃除しているの?」と言うセリフから、
おそらく、主人公は かって"真逆な生活"をしていたのかもしれない。
その"きっかけ"を、垣間見れるヒントが映画中にあれば、主人公をもう少し 掘り下げる事ができて、映画に深みが出たのだと思う。
でも、主人公は 裕福な会社経営者 ではなく、「すばらしき世界(2021)」の前生活のように、
自分で何かを 自由に、能動的に起こす ラッセル車のような 生き方 をしていたのだと僕は推測する。
かって社会は"機械の様に生きる"ことを揶揄したが、AIに 人間のポジションを奪われつつある現代では
社会の中で けして「代えがたい人間・歯車・社会の部品」として、完全な形に成る事こそ
社会から"必ず必要とされている人間"なのだと、主人公は悟り
主人公は孤高の人として、懸命に働き続けたのだと僕は演繹(えんえき)する。
この映画を 観ている最中「おくりびと(2008)」の方が、
日本人が創った故に、"日本人の職人気質"=孤高の人 が観れると想った。
トイレコレクション
浅草の飲み屋良かったなぁ…、あれは通うわ。あ、めっちゃヴィム・ヴェンダース映画でした。俳優役所広司を観に来た先輩方からは"聞こえる欠伸"が連発されてましたね。ホントに勘弁して頂きたい(その割にマナーは有り難い感じだった)。
無口に対する違和感(映画の場面の為にしか見えなかった)と当然な飲酒自転車を除けば、50オーバー(バツなし)独り身としては結構シンクロするところもあり、印象的な映像共々楽しむことが出来ました。「普通」を切り取る目的(目的なので普通ではない)なので、其々のエピソードや結末に消化不良な方はいらっしゃるかもしれませんが、変に説教臭くないので「これから辿り着くかも知れない場所」としては、良い映画だったんじゃないかなと思います。欠伸しながらノンビリみましょ♪
追記:トレイン・スポッティング世代としては平山さんのあの部屋の紫外線ライト…ヤバくね?って思いましたね笑(隠喩としてはロックストックトゥー・スモーキング・バレルズのアレですが)
そういった意味でもいわゆる"邦画"ではないんでしょうね。
心地いい映画だった
淡々と流れるような日常風景や仕草、モノクロの木漏れ日、車から流れるカセットの音楽、全てが心地よく飽きない。
主人公に何があって今の生活を送っているのか謎だが、思い入れのある音楽を聴きながら運転している顔が人生を物語っているようで切なくなった。
人生を磨く
行間が多く、セリフは少ない。大きな出来事が起こるわけでも、明確なメッセージがあるわけでも無いのに、なんだろうこの胸のざわめきは。当たり前だと、めんどくさいと思っていた毎日は、こんなにも美しくて素晴らしいものだったのか。なんと言い表せばいいのか分からないが、一生心に留めておきたい、今年ベストの映画だった。
〈こんなふうに生きていけたら〉のキャッチフレーズ通り、平山の人生はすごくカッコイイ。玄関前に必需品を並べたり、毎朝空を眺めたり、小さな照明の下で本を読んだり、どれもこれも自分の日常に取り入れたいものばかり。世界中が生きずらさを身体で感じた、2020~2022。1人で生きることが辛い、苦しいと誰しもが思ったはず。しかし、そんな世界で小さな幸せを見つけるというのは、ある種の生きる術であり、孤独を感じない唯一の方法じゃないだろうか。そんな空白の3年間を経験した我々にとって、主人公の平山は憧れの生き方をしている。無論、その"空白"は今なお続いており、いや、あの病気が進行させてしまったと言った方がいいのか。人の目を気にしたり、孤独を抱えながら生きる世の中で、この映画の世界は一筋の希望であり、この世界で生きることを肯定してくれたような気がした。
主人公を寡黙な人物にすることによって、主人公もその他の登場人物も、全員魅力的で輝いて見える。〈ほとんどの時間が無言の演技で支配している〉と予告で流れる感想にあるように、役所広司はほとんど口を開かない。それでいて、観客の心を震わせることが出来ている。ラストカットなんてすごい表現力だ。大好きなシーンは数え切れないほどあるけど、特にお気に入りなのは三浦友和との影踏みのシーン。日本映画界の重鎮2人が、意気揚々と子どもみたいなことしていて、すごく微笑ましかった笑 2人って共演したことあるのかな。もしあったら作品名教えて頂きたいんですけど...、記憶にないくらい珍しい組み合わせで、海外の監督だったからなし得たことだな〜と思ったり。役所広司と三浦友和の役柄が逆でも、めちゃくちゃいい感じになっていた気がするな。逆パターンも見たい😁
日本を舞台にしているのに同じ日本に思えず、ドイツの監督なのに、日本人監督が描く日本よりもリアルで鮮明に描かれていた。トイレや居酒屋、スナック、コインランドリー等のロケーションのセンスも抜群にいい。ヴィム・ヴェンダースは日本のことを日本人以上に理解している。この国の善し悪しどちらも絶妙なバランスで作品に取り入れているし、なんたって日本を舞台にした作品なのに70年代の洋楽がピッタリハマっている。ヴィム・ヴェンダースが監督だけど、一応本作は邦画という扱いでいいのかしら。もしそうだったら、これまでの邦画で1番音楽が輝いている作品だと断言していい。ここ2日間はプレイリストをリピートとし続けています。
フィルム映画のような縦横比もまたいい。エンドロール後だってカッコよすぎる。本作でしか味わえない養分がたんまり。思いっきり抱きしめたくなるほど、全てがたまらなかった。もう言いたいことがありすぎるけど、ひとつ言いたい。この映画は今を生きる全ての人に送る、最高の人生賛歌作品だ。
世界に生きている全ての人の姿に重なる物語。(1ヶ月後の再鑑賞を追加して)
素敵なロマンスはない。
友情も出会いもない。
しかし普通の人間はいる。
その人は朝起きて、支度をし、仕事にゆく。
仕事が終わり、自分の時間を楽しみ床に着く。
そして次の朝が来て、支度をして仕事にゆく。
毎日その繰り返しだが、幸せに満ちている。
眺め、発見し、生きがいを感じる主人公。
主人公の平山は自分のペースで生きている。
いつもと何かが違うと、ちょっと窮屈に思う。
平山は何故このような生活をしているのか?
カセットテープで音楽を聴く1980年前後の世代、
そこで平山の時間は止まったままなのか?
淡々と進む物語の中に、明確な答えはない。
感じること、見えること。
それは、世代や性別、職業に関係なく、
観ているみんなが「平山」なのだと気が付く。
彼と同じ毎日を送っていることに気が付く。
楽しみや悲しみを持っていることに気が付く。
彼の後ろ姿は自分の後ろ姿なのだと気が付く。
ラストシーンの顔。
彼の心にある感情。心に刺さった傷跡。
家族のこと。仕事のこと。求めるもの。
幸福感。喪失感。重ね合わせた自身の姿。
平山の夜。
誰もが感じる夜。
※
「再鑑賞後に … 」
この作品と長く付き合えるのか?
そう思い、再鑑賞をしてみた。
見えなかった部分が浮き上がり
前回よりも強く「そばに在るべき存在」
そう感じるようになった。
特に「小さな音」は「光の揺らぎ」と同等に
そこにあり、大きな存在を感じた。
※
淡々と生きることが最高の幸せである!
この映画の極論は、人生は100%完璧で幸福だということでしょうか。つまり今が不幸せだから足りないものを求めて希望や夢だと言って足掻くことなどに意味がなく、今生きていることの幸せを享受し淡々と生きていくのが美しくてパーフェクトな人生なのだということなのでしょう。設定ではトイレ掃除といいう職業です。職業に貴賎はありませんが、行う人にとってはある意味プライドを捨てた職業かもしれません。それをまるで宝の時間のように役所広司は淡々とやり抜いていくのです。もちろん悲しいことや辛いことがあって泣いたり苦しんだりしますが、その全てが満面の笑みに変わっていくのです。生きることの幸せは日常にしかないと高らかに歌っているようです。人生はあるがままが一番幸せなのだとつくづく思いました。劇中いろいろな金言が囁かれます。「変わっていくのが人生であり、変わらなければならない」「今と今度は違う」「木漏れ日は刹那である。一度しかないものである」。役所が木にすごい執着を持ちますが、きっと生命の不可思議を感じているのでしょうか。私は、毎日の日常の繰り返しに眠ってしまうかもしれないと危惧していましたが、最初から最後まで人間の日常を深く描く魅力に取り憑かれたようになって、あっという間に観終わった気がします。ありふれた姪との別れでさえ涙が滲んでくるのです。この作品は間違いなく多くの人の心を打つと思います。それは私たちの日常の美しさを隅々まで描いているような気がするからです。
追記 江東区、墨田区、台東区、そして隅田川の背景が心に沁みます。仕事などで何度も足を運んだ故郷のような場所です。
昨日は丁度
友人の帰国と共に開催された対談企画にお邪魔していた。その席で彼が対談していた相手は、超紐理論で一躍一斉を風靡した素粒子物理学者の橋本幸士先生だった。この橋本先生に僕は企画実施前に話しかけ、アインシュタインとボーアの論争について質問を投げかけていた。その会話の延長で、存在とエネルギーと何物も逃れられない力、重力について気付きを与えて頂いた。それは全てにおいて、量子のなせる世界だったのであるのだが。
本作はその対談の翌日に観た◎
それ故に描かれている世界が非常にわかりやすく伝わってきた。そしてこの映画を描いたヴェムベンダース監督の力と、素粒子の如き役割に徹した、役所氏に心の底から敬意を送る気持ちになれた。特に、素粒子でありながら見えるが故に感情移入し易い人間と言う生き物の心の変化を具に浮かび上がらせ時に迫ってくる演技に驚嘆を感じた!
まさにパーフェクトデイである(^^)
そして最後に本作を観るきっかけをくれた
僕の大好きな曲の一つであるルーリードの
パーフェクトデイに感謝したい🙆
ありがとう。全てが一つへと戻るまでに!
石川さゆりママのスナックに行きたい
役所広司がカンヌ国際映画祭の男優賞を受賞した記念すべき作品が、満を持して日本公開となりましたので、早速観に行きました。冒頭役所広司扮する主人公・平山が住むアパートが出て来ますが、木造2階建ての古びたアパートで、ここに一人で暮らす主人公。直ぐに頭に浮かんだのが、同じ役所広司主演で2021年に公開された「すばらしき世界」。あちらは刑務所を出所したばかりの元ヤクザを役所広司が演じたお話でしたが、あの作品でも主人公の住処は確か木造2階建ての古びたアパートだったと記憶しています。「すばらしき世界」の方にはカーテンがあって物語にも深く関わっていましたが、本作のカーテンは端っこに括られた状態で夜も締めずにいたのが違いと言えば違いでしたが、中年男性が木造2階建ての古びたアパートに一人で住んでいるというシチュエーションが共通していて、何となく本作の主人公・平山も、その筋の人なのかしらと連想。だとすると結構賑やかというか動的な作品なのかと思いきや、全く逆に極めて静的で、大事件どころか小事件の一つも起こらないような非常に穏やかなお話でした。まあ予告編とか前評判からすれば予想通りなんですが、平山の部屋の様子から、あらぬ想像を働かせてしまったところでした。
さて内容ですが、平山は極めて寡黙な男で、最初は喋ることが出来ない人なのかと思ったくらい。そんな平山の感情を、表情だけで観客に伝えた役所広司の演技は流石というところ。下町(多分亀戸)に住む平山が、渋谷区にあるデザイナーズトイレの清掃をする日常を淡々と描くストーリーでしたが、登場人物の多くは、男女に関わらず寡黙な彼に惹かれる人が多く、話が進む毎に観ているこちらも平山の人間性に魅せられていくという不思議な創りになっていました。その要因は、平山という人物が、何があっても泰然自若とし、心穏やかに暮らしている姿に、周りの人間が心洗われる思いをすると同時に、一種の憧れを感じたからではないかと感じたところです。唯一彼が感情的になったのも、仕事の相棒であるタカシ(柄本時生)が突然退職してしまい、タカシのシフト分をカバーしないといけなくなった時だけでした。これは、体力的な問題もさることながら、変わらぬ日常が壊されたことに対する怒りだったように思えました。
そんな平山ですが、一体どんな人物なのか、読んでいる本や聞いている音楽から、結構インテリっぽい感じであることは察しが付きましたが、後半姪っ子(中野有紗)やその母親(麻生祐未)である妹が登場し、何となく概観が分かるに至り、尚のこと彼の存在やその日常が愛おしいものに思えてきたところでエンディング。いや~、年末に良い作品に会えて非常に幸せでした。
そう言えば、劇中平山が通う小料理屋というかスナックが登場します。ママは石川さゆり。お客が弾くギターの伴奏で石川さゆりが熱唱するシーンがありましたが、こんな店があったら毎日通うよなって思いました(笑)石川さゆり以外にも、細かいところまで豪華なキャスティングをしており、気付かなかったところでは研ナオコまで出演しており、エンドロールで彼女の名前があったのにビックリしました。
平山が今話題のダイハツ・ハイゼット カーゴのカセット(!)で聞く音楽の選曲も絶妙だったし、キャスティングも微に入り細を穿ったところまで気を配っており、ホント非の打ち所がない作品でした。
そんな訳で、評価は★5とします。
退屈な映画なのでお薦めはしませんが
せっかくの冬休みですから、家族や友人たちと映画を楽しみたいならば、『SPY×FAMILY』や『翔んで埼玉』とかのほうが良いかもしれません(私は観てないのでよく知りませんが)
逆に今作『PERFECT DAYS』は、独りで静かに、自分の人生に照らして観ると味わい深くなりますので、やはり若い世代には向かない気がします
ネタバレになるのであまり詳しくは書きませんが、「今度は今度、今は今」「影が重なってるのに何も変わらないなんてないでしょう」などの台詞が、最後の朝焼けに照らされる主人公の涙目(涙は見せない)につながります
プロフェッショナルな製作スタッフ・俳優さんたちの、本物の映画を堪能したいという方は、ぜひどうぞ
すばらしき世界
彼は誰の目にも止まらない、さながら透明人間
住む世界が違うのだ、世の中にはそんな世界が多くあると彼は言う
誰がどう決めるのか?
何が違うと世界が変わるのか?
そこには何の意味があるのか?
分からない事だらけだ
違う世界との繋がりは何も無いわけではない、薄らとその影は重なっている
そしてきっと重なる影は濃くなるはずなのだ
どちらかが欠けても成り立たない世界
民さんが優しく踊る、彼の世界も繋がっている
交わることはなくても繋がっている
作品を見て思い出した詩があります
ご存知の方も多いことかと思います
改めて今一度読んでみるとやはり心にズシリときます
もう、何十年も前の詩ですが色褪せず今も変わらぬメッセージが届きます
きっとその頃と今と何も変わらぬ世界がここにあるのでしょうね
この映画や詩を作らなければならない世界
そんな世界も今の一部なのですから
『便所掃除』 濱口國雄
扉をあけます
頭のしんまでくさくなります
………………
まったりと違う生き方を観る映画
先に言いますと所謂 勧善懲悪で結論が
分かりやすい映画ではありません
全ては観る人に託されて人それぞれに
感じとって欲しいという映画です
そのため、人生を長く経験の多い人には
ささるとは思いますが
若い子でこれがささるのなら結構な作品を
観てきた子なのでしょう(本、映画など)
特に何かが起こる訳でもなく
1人の人生の一部を垣間見る様な感じです
本編の中にも出てきますが
同じ世界だけど別の世界という事なので
凄く忙しい生活して生活には困らないが
何か満ち足りないという人にはささる気がします
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