PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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ノマドランドのような感覚
観終わって…この何とも言えない感覚は何だろうと考えていましたが「ノマドランド」を観た時に感じた感覚に似ているような感じがします。
日常が繰り返されて、でも少しずつ変わっていくような…
エンターテイメントとは対極に位置するような作品ですが、私は主人公の行動に共感しまくりました。
映画版「時代おくれ」
素晴らしかった。
何もない日々、いつもと同じ日々の中の
喜怒哀楽、嫉妬、不安や恐怖、
きっと満ち足りてない完璧じゃない日々の
結集がパーフェクトデイズになるんだと
人生の一本級に感動しました。
役所広司1人を撮ってる時はとても日本人的で
なんでこんなに日本人を日本人らしく撮れるんだ?
と思ってたら、
他のキャラクター、柄本時生の狙ってる女の子や
姪っ子、三浦友和と絡むと急にファンタジーっぽく
なるところもヴィムベンダースらしいなと思いました。
私も毎日仕事場と家の往復の毎日だけど、
それをつまらない人生だなと思うのではなくて、
一つ一つを丁寧にやって行く事で人生に深みが増して
愛せて行けるのかなと思いました。
(そんな説教臭い映画ではないけど)
すぐ影響を受ける僕は
近くに公園があって、銭湯があって、飲み屋もある。
すでに良い人生を送れてるじゃない!
と思ったのと、アパート借りようかなと思いました。
とにかく素晴らしかった。
ヴィムベンダースにオファーした人に心からの拍手を
送りたいです。
わりとこんな風に生きてます。
12月は忙しくてほとんど休めず、日銭稼ぎに都内や横浜市内を行ったり来たり。仕事の準備なんかもあって映画もあんまり観てません。そしてずーっと気になってたこの映画を、漸くできた休日、今日大晦日に漸く観てきました。
ヒラヤマさんが流す音楽がストライクです。朝日のあたる家、ドックオブベイ、そしてパティ・スミスのカセットテープから流れる音楽(題名わからん)、懐かしい。ヴァン・モリソンの茶色の目をした女の子、ルー・リードの名曲パーフェクト・デイ、最後はニーナ・シモン姐さんのjazz numberフィーリンググッド(気持ちいい!サイコー)。そして東京の美しい映像。僕もこの風景の中で生きてます。パーフェクトでした。一年の締め括りに佳い気分になれました。
日銭稼ぎながら、軽く一杯やって、音楽聴いて、古本読んで…。これって僕のこと?そう思って観たおじ(い)さん沢山いますか?
※アヤ、姪っ子のニコ、ホームレスのじいさん、スナックのママの元夫、いかにもヴィム・ベンダースの映画っぽい登場人物でしたね。
何で解るの〜?!かんとく〜?!
60代女、ダブルワークで清掃業をしています。
50代でこの業界に入ってから約10年、毎朝4時起き。トイレ清掃も必須。家を出る時は平山さんと同じく空を見上げます。星が綺麗。今日も行ってくるかと決意しながら。職場に着いたら作業着に着替え缶コーヒー、これも同じ。
もれなく汚い仕事だと人は言うでしょうが、私は「人の心ほど汚いものはない」と思っているから。
休みの人がいるので今日はトイレ5フロア。4時間で男女5フロアはキツイ。平山さんの様に連日だったら死ぬ。本社に泣きつけば人を何とかしてくれる。助かった!!ここもしっかりと描かれていた。
14階からの夜景と富士山が綺麗。平山さんは木漏れ日と風、等感じられるから公園トイレ清掃を選んでるんだよね。
便器、洗面台をガッツリ清掃するとピカピカになるし、達成感ハンパない。心の垢とホコリを拭って、釈迦仏の一弟子、周利槃特の境涯になれる。
平山さんが眠りにつくときユラユラと影絵の様に今日あった出来事を夢見てる。私もよくある。眠りが浅いんだよね。朝起きれないかもという不安からかぐっすり眠れない。使う人がいる限り、トイレ清掃は連日続く。ラストの平山さんの悲喜交交の表情。
毎日ハンドルを握り、清掃道具を積んで現場に向かう。清掃は道具が命。
トイレ清掃の毎日が全て中心。何があっても。
こんなに素敵な映画をつくって下さってヴィムベンダース監督、スタッフキャストの皆様、有り難うございました~又リピートします。
細かい描写、美しい映像、素晴らしい演技をもっと見つけたいです〜✨
ラストシーンの凄味
サニーアフタヌーン
久々のヴィム・ヴェンダース監督作品。渋谷のトイレプロジェクトを映像化する企画から、一本の長編劇映画に発展したとのこと。
60年代・70年代のロックナンバーを使用するのは、ヴェンダースならではの持ち味だが、今作での選曲も絶妙。特に、主人公自身の選曲という形で、早朝出勤途中の「朝日の当たる家」、休日午後の「サニーアフタヌーン」(お馴染みキンクス!)、ラストの朝焼けでのニーナ・シモンと、まさしくシーンにぴったり合わせているのが面白い。
単調に繰り返される日々の行いを丹念に描いているが、ちょっとした出来事や人との触れ合いで、全く同じ日というものはない。
ヴェンダース作品では、小津安二郎からの影響をよく言われるが、今作では特に、「死の影」の存在について共通するものが感じられた。さらに言えば、小津安作品では酒場シーンも見どころだが、今作での石川さゆりの歌唱シーンは、日本の観客へのサービスとも言えるだろう。
ラストの役所広司の表情は絶品。カンヌでの評価を決定付けたのもこれだろう。
東京の原風景を優しさで映す
正にわびさびの世界
中年男・平山の日常を淡々と綴る物語は平板で面白みに欠けるが、ここまで徹底されると、まるで環境ビデオでも観ているような心地よさを覚える。正に”わびさび”のような映画である。
何と言っても、ラストの平山の表情が印象に残った。
彼のバックストーリーは時折挿入される夢や、後半から登場する彼の縁故者との関係から色々と想像できる。しかし、その詳細については謎が多く、そのせいで感情移入しがたいキャラクターとなっている。ただ、何らかの事情を抱えた男であることは間違いなく、このラストを見ると決して今の人生に満足しているわけではないということも分かってくる。それに気付いた瞬間、自分は何だか泣けてきてしまった。
平山は日々に芽吹く小さな奇跡に時折柔和な笑みをこぼすが、それもどこかで無理をしていたのではないか。本当は悲しいはずなのに、それを忘れようとして無理に笑っていたのではないか。そう思えてならなかった。
これは孤独な人間の物語だと思う。平山は他者との繋がりを極力持たず、自分が決めたルーティンの中に閉じこもって生きている。まるで外の世界に踏み出すことを恐れているかのようである。
そして、翻ってみると自分も似たような日常の繰り返しの中で生きていることに気付かされる。だからこそ、最後の彼の表情に共鳴してしまったのかもしれない。
「PERFECT DAYS」というタイトルも実に皮肉的である。”完璧な日々”とはこれ如何に。平山の孤独な生き方を見て憧れる人は余りいないのではないだろうか。
確かに人生は映画のように劇的なことは起こらない。そういう意味ではこの映画はリアルと言えるが、これを”完璧な日々”と認めてしまうと何だか自分自身がわびしく思えてしまい複雑な気持ちになってしまう。
ちなみに、劇中で流れるルー・リードの楽曲「PERFECT DAY」はドラッグ中毒について歌った曲というのが通説であるが、これも実に皮肉的な内容の歌詞である。本作の平山の日常にこれが被さると少し残酷なものに見えてくる。
監督、共同脚本はヴィム・ヴェンダース。
ヴェンダースと言えば、小津安二郎を敬愛してやまないことで有名だが、所々に小津オマージュのようなカットが見られるのが興味深かった。例えば、平山の部屋を捉えたローポジションのカットなどは正に小津的である。
また、平山を演じた役所広司の温もりに満ちた眼差しには、小津作品の常連・笠智衆が連想させられた。飄々とした表情にユーモアを滲ませながら、人間味あふれる人物像を見事に創り上げている。繊細で懐の深い演技が堪能できるという意味では、本作は正に役所広司を代表する1本になっていると思う。
撮影も見事だと思った。平山が住むアパートは東京の下町にあり、すぐ傍には東京の新たなシンボル、スカイツリーが立っている。雑多な下町と近代的な高層ビル群の対比が画面に良いアクセントをつけている。
また、渋谷のユニークな公衆トイレはガジェットとしての面白みに溢れており、浅草地下のディープな飲み屋街や場末のスナック、古本屋、コインランドリー、銭湯等、昭和の匂いを感じさせる風景も面白い。前川つかさの漫画「大東京ビンボー生活マニュアル」のような趣が感じられた。
かつて「東京画」でパチンコ文化をフィーチャーしたヴェンダースだけあって、今回も通り一辺倒な有名観光地ではなく、敢えてマニアックなスポットを選定したセンスが素晴らしい。
作為的
トイレ清掃員として働き、裕福でもなく特段の変化があるわけでもないが豊かで満ち足りた、男の日常の「幸せ」が淡々と描かれている、そして同じように見えても、毎日何かしら起きて、一日たりとも同じ日はないことが分かった、などの評価、というか感想を想定して作られたような映画と思いました。平山のような生活は、理想の生き方のひとつでしょう。
映画そのものに関して、辛辣になってしまって申し訳ないですが、いろいろ、あり得ない。
強引にきれいごとを並べただけ、な気がする。
リアリティーが感じられなく、いちいち作為的で、なんか鼻につく。
主人公が住んでいるアパートがこれでもかとボロい(取り壊し待ちのレベル)、相棒に金を貸したらガス欠になり大事なカセットを売りに行くとか(どう考えても位置的にムリがある)、姪を迎えに来た妹が、運転手付きの高級車を使っていたり(今どきこんな人いる?)、いい加減なやつと思った相棒が障害者に優しい、(実はいいところもある、の描写に障害者を出してくるんだ?)とか、なんかもう、作為的です。
役所広司の年代なら、年金をもらいながら清掃業すれば、風呂なし洗濯機置き場なしだが都内に立地するボロアパートの家賃を支払い、自家用車を持ち、駐車場を借りて、銭湯へ行き、コインランドリーで洗濯、毎日コンビニでお昼を買い、その上行きつけの居酒屋で毎日のように一杯やって、時々美人のママのいる飲み屋にも行くような生活ができるかもしれない、とそこだけは妙に納得しました。
何度も挿入される木漏れ日の映像、ただ木漏れ日を撮るのが好きなだけ?
主人公が眠りについたときに現れる心象風景のような映像も、特に意味もなく肩透かしでした。
トイレ掃除するのに素手で始めるのにびっくりした。手袋しないのか? 特に、コロナ禍を経た今、素手というのはありえないと思う。汚れた作業着を洗わずに吊っておくだけっていうのも、衛生観念上大きく違和感があり、こういう人がいたら本人的には完璧に幸せかもしれないが、あまり近づきたくない。
毎日の描写が延々続くが、いつになったら終わるんだろうかと思ってしまった。
そもそも、日常の小さな幸せに満足して満ち足りて生きている人を描写するのになんで「トイレ清掃員」なんだろう。底辺に見られがちだが実は満ち足りて幸せです、というテンプレみたいだけど、トイレ清掃員の何を知ってるんだろう。上から目線で失礼な感じがする。
そこそこのお年を召した外国人映画監督が思い込んだ美しい日本と日本人な感じで、私には違和感が多々ありました。
(追記)
星をつけたときになにかのはずみで1.5になっていました。
大変失礼しました。
多くの人にとって、PERFECTな日々を送るには生活の心配がないことだと思うので、意外と浪費家な平山の生活を支える収入の点で説得力のある描写があれば、それと掃除するトイレがあんなにおしゃれで綺麗じゃなくてありがちな汚さ臭さの描写があったら、もっと星多くつけられるのにと思いました。(トイレプロジェクトの一環なのでそれはムリでしょうが)
木漏れ日のような光と影の素晴らしさ
トイレ清掃員の日常を描いたヒューマンドラマ。どこにでもいるような平凡な男の日常の姿だけで引き込まれるのは主演の役所広司に魅力に尽きるのではないでしょうか。木漏れ日のような光と影にの素晴らしさを表現している良作です。
2023-210
「完璧な1日」の再発見
役所広司さんがカンヌで主演男優賞に輝いたことで、年の瀬から新年にかけて国内で最も注目を集めている作品と言えるのでは。
役所さんの本作での芝居に関しては、他にもたくさんその凄さを見せる作品があるので、日本の映画ファンにとっては「?」と感じるところもあるかもしれません。ただ、ラストで見せる悲喜交々の表情を同時に見せる芝居には唸らせられます。このシーンが海外でも評判になっていたようです。
主人公の平山は渋谷の公衆トイレの掃除が仕事。仕事のある日は決まった時間に起き、決まったルーティンで仕事に出かけ、仕事後の銭湯から夕食、寝る前の読書まで、ほぼ決まった毎日を送り、休日も掃除や洗濯、買い物など毎週ほとんど変わらない生活を送っている。そんな男の日常の中に、”PERFECT DAYS (=完璧な日々)の要素がいくつも描き出されていきます。
まるで「こんな幸せもあるよね」と語られているようで、ストレス社会に生きる人や、生活に刺激が無いと感じている人たちに救いを与えてくれているようです。
恥ずかしながらヴィム・ヴェンダース監督の作品は『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』しか観たことがなく、監督がそうした「救い」を描くことを意図していたのかもわかりませんが、「何もないような日常こそが完璧な一日なのでは」というメッセージを感じずにはいられませんでした。
あと魅力的だったのは主人公が毎朝の出勤中にカセットテープで聴く音楽。60-70年代の洋楽が中心で、本当にうまい選曲。特にアニマルズやパティ・スミス、ルー・リードがフィーチャーされ、個人的には大好物です。ヴィム・ヴェンダース監督によると、主人公の平山が聴く可能性のなさそうな曲は排除すべく、かなり入念に曲選びをしたとのことですが、やはりマニアックな曲もあり「いや、多分聴いていないでしょ」と突っ込めそうなところもありましたが、いずれにしてもサントラは買いです。
海外でも話題になっている作品ということで、本作でロケ地となった渋谷区内の公衆トイレはロケ地巡りの聖地にもなるかもしれませんね。ただ、登場するのは"The Tokyo Toilet"のプロジェクトで設置されたおしゃれな公衆トイレばかりなので、海外の方には日本の公衆トイレが全てこんなにキレイなトイレであると勘違いもされそう(海外に比べれば比較的どこもキレイではありますが)。本当はもっと一般的なトイレが出てきた方が作品をリアルに感じられたのかもしれません(本作は元々同プロジェクトがきっかけで生まれた作品なので、仕方ないところもあったのかなとは思います)。
他にもなぜ、現代ではを描いた本作を4:3で撮ったのかなど細かい疑問もありますが、とにかく印象に残る、観て良かった作品でした。
優しさ・強さ・孤独・切なさを感じました
日常を大切に思う
少しセンチメンタルで、
でも、いっぱい温かくて、とても優しい気持ち。
起きた時に、木漏れ日を見た時に、空を見上げた時に、
笑顔になれる平山って素敵だ。
そして、ラスト、平山の泣き笑いに尽きると思った。
最初のトイレ清掃から帰ってくる車中のシーンで、
なぜだか泣いちゃいました。
悲しさとは違って、音楽のセンチメンタルさも加わって、
涙中枢を刺激されてしまったみたいで...。
なんで泣いてんねんって、心で自分にツッコミ入れた。
でも、音楽って悲しい曲じゃなくっても、歌詞がわからなくっても、
泣いてしまうことあるよなー。そんな選曲が上手い!!!
サウンドトラックも最高だったなー。
普段は、役所広司さん、顔圧が強すぎて、少し敬遠してしまうんですが...。
カンヌで男優賞を取ったのも納得の平山さんでした。
渋谷のトイレで、押上の道端で、ひょっこり会えるんじゃないかと。
そして、ラストの泣き笑いの顔は、本当に素晴らしかったです!
なんだか、これを打ちながらも、思い出して泣けてきちゃいます。
あのシーンを見ながら、
欲張らずに、一日一日を、その時間時間を大切に思おうっ!て、
そんな気持ちにさせてくれて、なんだか幸せだなーって思った。
あと、ヴィム・ヴェンダースさんの影の使い方や、
光の加減や、色味がとても心地好くて好きだなー。
間の取り方とか、セリフの感じとかも、同様に心地よく、
小津安二郎監督を思い出させる部分もありつつ、
監督の作品らしさというか外国っぽさというのかなー、
きちんと主張されていて、さすがのヴィム・ヴェンダース監督!!
ポスターもカッコ良い!色彩感覚が違うのかな…。
また、78歳という年齢に驚いたんですが、年齢なんて関係なく、
才能って枯れるどころか、どんどん、磨かれていくのですね!
まだまだ、これからも監督の作品がたくさん観たいです!!
2023年の映画納めに最高の作品に出会えました。
ありがとうございます。
淡々と続く日常
忘れたくない作品になりました
ヴィム・ヴェンダース監督が東京を舞台に素晴らしい作品を残してくれたことに感動しました。
人生、生活‥それは木漏れ日のようなものなのかもしれません。影で覆い尽くされた日常に一瞬差す光。そこに喜びを感じることこそ、生きていく上で大事なのだというメッセージがあったように思います。
大きな事件もなく、淡々と過ぎて行く日常。お金はないけれど、楽しむ術はたくさんある。この作品を観ていたら、部屋を掃除したくなったし、古本屋に行きたくなりました。
僕らは色々なものを欲張り過ぎているのでしょうね。このシンプルな生活に憧れを持ってしまいました。
それにしても役所広司さんの演技は素晴らしい!凄い!ラストシーンの涙と微笑みのバランスは、今考えてもゾクゾクします。
忘れたくない作品になりました。
期待と不安
ヴィム・ヴェンダースというフィルターを通して見た日本って一体どんなふうに映るんだろう・・・期待と不安に胸膨らませて鑑賞に挑みました。
前半は布団を畳んだり銭湯や相撲のTV中継のシーンが何度も出てきたりして、日本を舞台にした外国人監督の作品によくありがちな、滑稽な日本文化をこばかにしたような映画の類のように思え落胆。正直、一体何を伝えたいのか理解できず不安が的中といった印象。
ところが、中盤以降から派手ではないけれどいくつかの下世話な事件が勃発し始め、無機質だった映像に役所広司さんの豊富で絶妙な表情が散りばめられていきどんどん人間臭さとその温かみが増していきます。個人的には、終盤の三浦友和さんとのからみが圧巻で、生きていることへの哀愁と幸せを改めて気づかせられた気がしました。
結局、私にとっては期待通りというかそれ以上に印象深い作品になりました。それは外国人といった我々と違った視点で我々の日常を表現することによるギャップによるものなのか、もしくはヴェンダースの研ぎ澄まされた感性によるものなのか、今日一度観ただけでは整理しきれていません。多分ずっと気になると思うのでまた時間をおいて観なおしたいと思います。いずれにせよ、まだ観られてない方は肩ひじ張らず平常心で観ていただくことをお勧めします。
木を見るように
おしゃれ映画は このレベルでやって欲しい
オープニングの画でもうやられちゃうね。「参りました」って感じになる。
そこからのカットが全部、工夫が入っていて綺麗。
紫の使い方とか、陰影とか、ほんとすごいね。
ストーリーが動き始めるまで、画の綺麗さでもってっちゃう。
役所広司演じる平山の毎日を淡々と撮ってくの。
日々を淡々と観せてく感じがジム・ジャームッシュ監督の《パターソン》に似てると思ったな。
毎日をきちんと、淡々と過ごす平山に感情移入ができるのは、なんでなんだろうね。
この人が、静かな毎日を送れるといいなと思ってしまう。
そして平山はもてる。近づいた女の人は、例外なく、平山に好意を持っているように見える。
役所広司はうまいね。台詞が少ないこの役を、やり切れる役者さんは、そんなにいないと思う。
ヴェンダースが役所広司を撮った作品と言ってもいいね。
キャスティングも良かった。
石川さゆりにママ役やらせるの凄いね。歌も《天城越え》とかで狙ってこないサラッと感がいい。あとOL役の長井短よかったな。
ちょい役で安藤玉恵とか色んな人出てくるけど、その中に芹澤興人がいて『この面子に入るってすげえな芹澤興人』と思ったよ。
三浦友和とのシーンでは『がん患者に酒すすめちゃ駄目だろ』とか面白いんだよね。
ここからラストにいくのも良かった。
ラストに流れる曲が《PERFECT DAY》なのかな。歌詞が分かったら、もっとくるんだろうなと思ったな。
平山は毎日写真を撮ってて、休みの日に現像出してフィルムを買うんだけど、そのフィルムがHOLGAなの。白黒のHOLGAって、そんな簡単に買えないと思うんだよね。その辺に写真家・ヴェンダースのこだわりがあるのかなって思ったよ。
東京の景色は毎日観てて、そんなに映えるところはないと見過ごすけど、ヴェンダースの手にかかると映えてくるね。敢えて、狙った画を作らなくても、すごい画になってくる。
「どうして日本に住んでる人が、この画を撮れなかったのか」と思ったけど、首都高まわりは1998年にホンマタカシが《東京郊外》で撮ってるから良しとしよう。
おしゃれな画で引っ張りたいなら、ヴェンダースぐらいやって欲しい。でも、無理なの。ヴェンダースは写真家としても一流だから。
ヴェンダースにはかなわないだろうけど、そのレベルを目指して、綺麗な画の映画が出てくるといいな。
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