劇場公開日 2023年12月22日

PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価

全852件中、821~840件目を表示

4.0ヴェンダースの青

2023年12月22日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

朝、主人公が整える口髭は、中年サラリーマン役の笠智衆の口髭そのものだった。もうそこで私は笑いをこらえることができなかった!この後も沢山笑った。泣かせるより笑わせる方が難しい。これは笑わせてくれる映画でした!

小津安二郎ラブの監督だけあって、
赤を意識してるな~と楽しかった。主人公が好きなお菓子の本店は鎌倉、紙袋は赤で店の名前も!でもこの映画では赤よりも青だった。青が主人公の世界を表す色、静かで透明で光を映し出す水、空、風、青々とした木々の葉、仕事着も普段着も青。「青騎士」の作品、例えばフランツ・マルクの絵画のように心を落ち着かせてくれる色。

音楽もよかった。あまり詳しくないジャンル&時代の音楽だったけれど、最初にカセットテープから流れたのは娼館の歌だった。ドキッとした。

畳、布団、箒、縦縞の柄の湯飲みを映してワーイ!と嬉しくなっている(と勝手に自分が想像する;小津映画小僧の)監督の顔が目に浮かぶようだった。

監督はドイツ人、言語は日本語で出演者もロケ地も日本のこの映画は邦画?洋画?そんなのどっちでもいい、いろんな世界があってそれが重なると味わいが濃くなって面白くなるよ、というメッセージなのかな。

「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は大好き。他作品は別に~、ですが見てよかったかな。とにかく役所広司はいい顔してます!

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talisman

5.0【"木漏れ日。”東京の公園の公衆トイレ清掃を生業とする男のルーティンな日々の中、小波の様に起こる出来事を静謐なトーンで描いた作品。人生の真なる豊かさとは何であるかを考えさせられる作品でもある。】

2023年12月22日
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悲しい

知的

幸せ

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NOBU

5.0人生とはありふれた尊い日々の積み重ねである

2023年12月22日
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幸せ

トイレの清掃員である平山(役所広司)は、ごくありふれた同じような日常を送っていますが、特徴的なのが寝ている時に必ず挿入される映像です。不思議な感覚になり癒されますね。
木洩れ日のようなサブリミナル効果に似ている映像の中には、物語の先の内容を暗示している物が含まれています。
後半に2つほど出来事が起こりますが、時間というものは、自分が支配している時間と他人に支配されている時間があることに気づきます。
ありふれた日常でも自分が支配している時間は、その一瞬一瞬が特別な時間であり、後になってかけがえのない時間であることを実感しました。
平山は観葉植物を育てているように人生はありふれた日常の積み重ねなのだと思います。
観終わった後、久しぶりに大きな衝撃を受けました。

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ゆきとう

3.5豊かさってなんだろう?

2023年12月22日
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トイレの清掃員をしている一人暮らしの初老の男の、単調で質素な毎日が淡々と描かれる。
しかし、男は、そうした生活に不満を抱いたり、悲嘆したりするどころか、満ち足りた幸せな人生を送っているように見える。
しかも、そうした、余計なものが削ぎ落とされたミニマルな生き方に、知らず知らずに憧れを感じるようになっている自分に気付かされたりする。
ここで、改めて、「豊かさってなんだろう?」、「幸せってなんだろう?」ということを考えさせられる。
それは、日常の些細な出来事にも感動でき、「世界は美しい」、「人生は楽しい」と思える心の持ちようなのだろう。
朝、家を出て空を見上げる時の主人公の表情や、昼、神社の境内で木漏れ日を写真に収める時の主人公の様子や、夜、馴染みの居酒屋でチューハイを引っ掛け、銭湯で湯船につかる時の主人公の姿を見るにつけ、そう実感できるのである。
それにしても、主人公は、これまでどのような人生を送ってきて、どうして今の仕事をしているのだろうか?
苗木を育て、カセットテープでオールディーズの音楽を聞き、フィルムカメラで木漏れ日を撮影し、寝る前に単行本の文学を嗜む主人公の姿からは、豊かな感性と高い知性の持ち主であることが伺い知れるし、ラストの彼の泣き笑いの表情からは、様々なことを経験し、積み重ねてきた人生の年輪を感じ取ることができる。
実は、彼は、事業に失敗した実業家だったり、妻子を事故で亡くした大学教授だったり、刑期を終えて出所してきたインテリ・ヤクザだったりしたのではないかと、色々と想像を膨らませことができ、そういう点では、余白を楽しめる映画ではある。
ただし、キャラクターの掘り下げという点では、彼の過去について、もう少しヒントがあってもよかったのではないかとも思ってしまった。

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tomato

5.0泣けた 地元が舞台なので満点

2023年12月22日
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作品中、1960~70年代のロックや日本のフォークソングが流れる。
そのうちの1曲、68年、オーティス・レディングが歌った「ドック・オブ・ザ・ベイ」。
今から37年前、今と同じく「無職」だった僕が車に乗りながら聞いていた歌である。

25歳の無職だった僕、62歳の無職である僕。37年の年月――。

泣けた、泣けた、泣けた。

今も、昔も、そこにあるのは「PERFECT DAYS」なのだ。

今、そしてあの時も。あの場、この場に居た僕。そしてあなた、見たこともない、彼ら彼女ら。
すべてが生きていることが、PERFECT DAYSなのだ。
そう思い、そう感じると、涙が出てきてしようがなかった。

カンヌで主演・役所広司が最優秀男優賞を受けてから、特報、予告編として流れるシーンで彼が自転車に乗る、それが、隅田川にかかる人道橋「桜橋」なのだ。
ここは、僕が住む自宅マンションから900メートル、走って7分の場所にある。いつも、今朝も走って来た場所――だ。

東京の下町・押上はスカイツリーのおひざ元。そこに役所演じる主人公が生活する。
京島の銭湯に行き、業平のコインランドリーを使い、地下鉄浅草駅の地下商店街で一杯やる…。
それでいて、経ワゴンで高速を使って渋谷までトイレ掃除に行くというのは、現実にはない話だが、映画として見た場合、出てくる近代的で清潔な公衆トイレと崩れかかった下町のボロアパートやごちゃごちゃした街並みのギャップがよい。

物語に筋らしい筋はなく、役所が口にするセリフもほとんどない。
それでいて、漂うこの雰囲気はなんだ! 彼の表情、泣けたよ。

2023年後半、僕が見た映画はどれもいいものが多かったけれど、これがベストかも。

小津を敬愛するヴェンダースの作品は、見る人によっては退屈極まりないだろう。本作も、そう感じる人は多いかもしれないが、心にしみる作品なのである。

作品傾向が似ている感じの、アキ・カウリスマキの「枯れ葉」も見たが、あれは僕にとって退屈だった。★2つでレビューを書こうと思ったが、やめた。
退屈と感じる人も、そう感じない人もそれぞれ。

墨田区が舞台というのに、錦糸町の映画館で上映されないのが非常に残念。亀有まで行ってきたよ。

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町谷東光

5.0渋谷のアーティストデザイン公衆トイレのステルスマーケティング。

2023年12月22日
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t2law

4.0ある日ではなく日々ですね

2023年12月22日
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まさにパーフェクト。

さすがヴェンダース監督。最近見ないスタンダードサイズの映像の中で、おじさんが生活してるだけ。なんでもない日常を切り取っただけなのに、恐ろしく感情が同期される映画だった。私がおじさんだからというのもあるだろうけど、それだけでもないし、作風の好みや相性が良かっただけではないだろう。(と、思いたい)

話は、公衆トイレ掃除人の、変わり映えのしない日々が展開されるだけなのだが、いつのまにか引き込まれていた。

朝起きて、車に乗り好きな音楽を聴きながら仕事に行き、昼休憩と、帰り道、仕事終わりの銭湯や一杯飲み屋での、ちよっとした息抜き。夜は布団の上で好きな本を読んで、眠くなったら明かりを消して眠り、夢を見る。そしてまた朝を迎えて…。そんな彼のまさに完璧な日々。バタバタ仕事をしている我が身からは羨ましく思える、まさにパーフェクトな日々。

そんな平穏な日常に、周囲の人々から差し込まれるさざなみのような出来事。それらを温かく受け入れて、また平穏な日々に溶け込んませて行く。ルー・リードのPerfect dayが流れ、いつしかトイレの掃除人の人生に共感し、憧れすら抱いている自分に気付く。

もちろん、役所広司さんが素晴らしい。寡黙な男の設定なのだけど、それにしても最初の30分くらい一言も喋らない。おじさんが早朝に目覚め、布団を畳み、歯磨きや身支度をするだけの映像が淡々と流れる。普通なら、これ誰が見たいの…なのだが、さすがの役所広司さん。玄関を開け、空を見上げて深呼吸、自販機で缶コーヒー(もちろんBOSS)を買って、作業車へ乗り込む。(車はダイハツだったな)だいたいこのあたりまでが朝のルーチン。何度も繰り返されるのだが、それがなんか心地よい。詳細は控えるが、ラストも名シーンだと思う。

同じ役所広司さん主演で「素晴らしき世界」(西川美和監督)がある。あちらも社会復帰を目指して一人暮らしのおじさんの話。性格はほぼ真逆な足を洗ったヤクザの設定でしたが、良い映画でしたので、役所さんの演技を見比べてみるというのも面白いかも。

年の瀬に良い贈り物をいただいた。

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AMaclean

5.0観終わったあとの余韻が

2023年12月22日
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平山の日常のルーティン。日々の様々な出来事。全てが人生の幸せな瞬間。観終わったあとの余韻が心地いい。また、観たい映画です。

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トオル

4.5海外から見た場合の作品であることに注意しないと変な見方になる…

2023年12月22日
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今年427本目(合計1,077本目/今月(2023年12月度)28本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))

 表題に書いたのが全てを物語っているような気がして、大手のシネコンで放映されている割に極端にセリフが少なかったり展開が変だったり(一度しか出てこなかったり、ストーリーの筋と関係のないものが出てくるなど混乱させる)という、音響設備がぶっ壊れたんじゃないかというほどにセリフが少ない映画です。

 結局のところ「海外から見た日本を描く」作品なので、インターネット、スマホ他で広がった「人と人との間隔」、あるいはコロナ事情によるそれ、あるいは、映画内で何度も描かれる多機能トイレほかを描くのか(多機能トイレ「自体」は海外にもあるのでしょうが、映画のように何度も出てくるというのは、建築物としてのそれに着目したものと思います。ただこの為に見方によっては何を述べたいのかわからない)、色々な見方があろうと思いますが、個人的には折衷的な見方でみました。

 かつ、上記の「極端にセリフが少ない、何を言いたいかわからない」他が意味するところは、映画の最後の最後になってはじめて「海外から見た日本を描く作品」である点であり、このことはなかなか最初ではわかりづらいので、途中で脱落する方も多数出るんじゃないか…という気がします(実際、3割くらいの方が途中で抜けていた)。

 個人的に気になった点としては、やはり以下のような点があります。

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 (減点0.3/(日本において)多機能トイレの抱える問題に触れていない)

 これだけ多機能トイレを舞台(?)にした映画であるのに、日本においてよく言われるこの問題、つまり、健常者(ここでは、身体障がい等があっても意味もなく占有する類型も含む。以下同じ)の方の「多機能トイレの占有」や「家と化する」問題(この問題は一部、ホームレス問題(福祉行政)と絡む)、あるいは「想定されていない使われ方をする」(そこで焼肉をやったりといった極端な類型があった)といった問題が「日本には」存在することは事実で、映画内ではこれらの行為は描写されていませんが、これだけ多機能トイレを描写するのなら、その点は当然監督の方も日本サイドとのやり取りでこの論点を知っていたと思われるため、この点にはエンディングロールでも触れておいて欲しかったです。
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 なお、上記のように「成り立ちが特殊」な作品なので、作品とは無関係な人物や描写(すなわち、ノイズ的描写)が他の映画と比べて多いのですが、謎解きものでもないですし、「そういう作品」と割り切るしかないです。

 ※ このことは実は「映画好き」ほど混乱させる要素が強く、作品内では途中、音楽カセットテープのお店に行くシーンで、ルーリードのテープの写真が出てくるところがあるのですが、某作品…というか、「初代ベイビーわるきゅーれ」を彷彿とさせる部分(主人公のまひろが作内で何度か着ているTシャツの柄がそれ)など、「ネタ映画なのか」と思ったりと混乱度合いはそこそこあります(まぁ、これもマニアなんでしょうが…)。

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yukispica

4.5視点とは発見だ

2023年12月22日
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ドラゴンミズホ

4.0面白みなどかけらも無し。役所広司だからこその作品。

2023年12月22日
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いつもと違うシネマサイズにこの映画が普段と違う…って感じさせます。
流石すぎるなと。
無口の中に思いを伝える演技。
あくまでも自然です。
日本人みんなが彼のようにあれればどんなに幸せ?
少なくとも監督には理想的な日本人なんだろうかなと。

コンビニのトイレが使えない都内では公衆トイレはほんと助かります。
清掃管理してくださっている方には感謝しかない。
偶然にもお会いいた時には「ありがとう」「ご苦労様です」の一言は日本人なら言うよね?
ましてや『清掃中』の看板倒すなんてありえません。

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REGZA521

5.0完璧な選曲に酔い、味わい深い佳作

2023年12月22日
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知的

幸せ

 ジム・ジャームッシュの佳作「パターソン」2016年を否応なしに想起する。何でもない日常を淡々と描く。「パターソン」でもそうであったように、本作でも音が極めて効果を発揮する。竹箒で早朝掃くガサガサ音を皮切りに、ダイハツ(嗚呼)の軽のエンジン音、終始首都高を走る車の音。生活の生の息吹がひたひたと伝わってくる。思えばドイツのヴィム・ヴェンダースとアメリカのジム・ジャームッシュとはその名前の韻からして混同し易く(少なくとも私は)、制作スタンスも指向も何やら共通点が重なる。ともに既に70代、実際のところ過去の華々しいカルト扱いの輝きを未だ背負っての新作でしょうが、本作の静謐から立ち上る肯定感は深い味わいを残す。

 主人公の名前が「平山」とあるとおり、小津安二郎ファンであるヴェンダースにとって変形の東京物語の様相となった。都なのか区なのか民間会社なのかまるで不明ですが、都心の公衆トイレを定期的に清掃する仕事をしている中年と言うより初老のルーティンを密着で描く。この平穏にどんな波風がドラマとして起きようなんて、観客からして思っていないはず。何にも起きないけれど多少の避けがたい事象で、平山のスタンスをクッキリと形作ってゆく。

 その関わる人々がまた豪華で柄本以外はほとんどチョイ役ですが、印象を残す。柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり(なんと唄ってくれる!)、三浦友和、田中泯、甲本雅裕、松居大悟、研ナオコ、モロ師岡、あがた森魚、安藤玉恵などが、画面の中で息づく。それぞれのエピソードに挟まれるように、モノクロの平山の追憶が漠然とインサートされる。決して平山の過去を暗示しようなんて端から意図はない。

 最初の妄想シーンで示されるのが「影」の文字、以降は漠とした木漏れ日にオーバーラップ映像で雰囲気だけの提示が続く。しかしいよいよのラスト近くで大トリのように登場する三浦友和との出会いの時に「影が重なると濃くなるのか?」の問いに対し、いい大人2人で影踏み遊びをやってのけるシーンが興味深い。「影が重なったらより濃くなってくれなきゃ」と吐露する平山がそこにおり、本作中最もと言うより唯一自分の言葉として吐く。一転して、新たな一日が始まり車を運転するが、これまでずっと助手席側からのカメラ映像だったものが、ラストのみ真正面から運転する平山を長廻しで捉える。笑ったと思えば軽く涙ぐんだりの、さり気ない演技の変化が絶妙で、悲観より肯定感で締めくくる。

 それにしても今時カセットテープで、しかも曲によっては中古でも1本1万円で売れるご時世とは驚きました。なによりそのカセットから流れる曲が振るっている!世代的に近いこともあり、「THE HOUSE OF THE RISING SUN」が唐突に流れたら血流が逆走するかのようでした。「THE DOCK OF THE BAY」、「SLEEPY CITY」、Lou Reedの「PERFECT DAY」、「FEELING GOOD」などなど、よくぞの選曲に涙涙です。邦画ですと超有名曲の使用許諾に二の足を踏む場合が多く、流石のドイツとの共同制作の賜物でしょう。

 当然にドイツ人から見た東京が視点ゆえに、終始画面のセンターに鎮座するスカイツリーをはじめ、首都高の複雑な曲線を好んで捉え、肝心のトイレも最先端のオシャレなものばかりで、古びたトイレがまるで出てこない辺りは少々複雑ですが。もし病気になったらの懸念も解消はされない。念のため毎朝の缶コーヒーは見えないように手にしてますが、明らかにサントリーのBOSSで役所広司的には安心しました。

 唯一彼の妹(麻生祐未)が運転手付きの高級車に乗っており、「本当にトイレの掃除をしているの?」と差別意識を滲ませるシーン。平山のかつての地位を忍ばせるが、深追いはしない、そんなことは実にどうでもよく「今」の充実の静謐が小津安二郎に繋がるのです。

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クニオ

5.0『おじさんが便所掃除してるだけ』

2023年12月22日
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アベンジャーズ映画を「世界を救うだけ」と言わないように、おじさんだって日々いろいろな出来事を経験して喜んだり悲しんだりするし、便所掃除だってぐっと近寄ってみれば知らなかったいろいろなことに気づく。

我々がついひとくくりに「だけ」と軽視しがちな事も、こんなに細かい要素から成り立っていて面白いんだという事を教えてくれる。

役所広司の演技に支えられている部分も大きい。映画の前半彼はほぼ無言だが、たしかな演技力によっておじさんの人となりが表現されている。所作はどことなく上品で、整った部屋の様子などを見ても分かるが貧すれど鈍していない。これは中盤で理由が示唆されるが、はっきりと伝えず視聴者の想像に任せる形になっている。

エンディングで彼が泣いていた理由は何だったのだろう。朝日が眩しかっただけかもしれないし、出会った人々のいろいろな出来事に対して自分の日常があまりに平坦で虚しくなったのかもしれない。

終わったあと気持ちが良い映画だった。

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SO

5.0まさに、─イズム

2023年12月22日
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知的

幸せ

日々の記録を淡々と─、まさしくどこぞのあの監督の思想を反映させたかのような作品。あまりにも平坦で、もしかしたら、つまらん!と一刀両断されるかも・・・そういう意見もまた納得してしまうのですが・・・
光と影の表現とかスチールとか、個人的にドンピシャな表現があまたあったので相当引き込まれました。小津映画も大好きなので─
確かに、東京の公衆トイレって最近新調されているなぁとは感じていましたが、あんな種類があるなんて─。移りゆく東京、変わらない東京、過去に住んでいたアパート、いまエントランスから見えるスカイツリー、程度が違えど自分とリンクするものばかりで非常に心に響きました。この風景を日本人ではなく外国人が撮ったことに少しガッカリ・・・でもそれがヴェンダースであるということに歓喜。色々と味わい深い作品です。
役所さんは最高なんですが、もう少し、彼だけに頼るのではなく、話自体にストーリー性を与えてくれればもっと小津的感動を味わえたのかなぁと生意気な気持ちも生まれちゃいましたが、そんな自分勝手な欲望なんて関係なく、文句なく素晴らしい作品です。

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SH

4.5缶コーヒーはBOSS!

2023年12月22日
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楽しい

知的

幸せ

主人公と同じようにスカイツリー近くの隅田川近辺に住み首都高に乗って東京タワーを見ながら港区近辺とかいろいろ通っていた時期があってとても懐かしい風景でしたが、まったく違って見えました。何度か使わせてもらったトイレもいくつか出てきて感慨深く鑑賞しておりました。光や公園の木漏れ日はとても美しく車のカセットテープで聞く素晴らしい名曲の数々が素晴らしいです。当然のことながら役所広司さんは最高ですし、ヴィム・ヴェンダース監督も素晴らしい。役所さんがカンヌ映国際画祭で主演男優賞をとった素晴らしい作品ですので多くの方に見てもらいたいです。

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tomクルー

4.5足る、を知る。

2023年12月22日
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東京という情報の多い場所で、日々の
生活の中にある幸せや、ちょっとした人との
コミュニケーションの温かさを、とても豊かに表現している作品。

役所広司さん演じる平山はトイレの清掃員として
丁寧にきちんと仕事をこなしていきます。
公衆トイレという事もあって、同僚のタカシ(柄本時生)からは「どうせ汚れるんだから」なんて言われるけど自分の仕事を実直に全うしていく姿は清々しいです。

木漏れ日、が随所に出てきます。
陽の光の使い方がとても美しいです。
平山が空を見上げる表情は言葉なくても
幸せだな〜と語っているようで、幸せホルモンのセロトニンがバンバン出ているようでした。

そして今既にある生活の中の幸せや大切なことを
教えてくれます。

スマホに目を落とすだけでなく、
空を見上げたいものです。

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Yum

4.0平山のシンプルライフ

2023年12月22日
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幸せ

長く生きてれば色々物やしがらみが増えてゆく。断ち切るのは難しいんですよ。
彼の生活は有る意味憧れのシンプルライフ。カセットの6070年代音楽で止まってるのは個人的には共感できる。同年代なので。
薄々背景は分かるが納得できるほどの説明はない。
達観してるのか? 兄弟なら一言言いたくなるだろうけど、幸せそうでは有る。
雑事は避けられないけど人の暮らしは平穏な繰り返しが一番。
毎朝の仕事前の笑顔はちょっと嫌だったが
最後の顔芸は圧巻だった。

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HigeKobo

4.0商業映画にはまねできない

2023年12月22日
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楽しい

知的

幸せ

78歳のヴィム・ヴェンダースが東京のトイレ清掃員の「完璧な日々」を描いたものすごく小さな世界のものすごく卑近な物語である。たいした事件が起こることもない淡々とした日々を主人公がコレクションしている洋楽カセットの曲にのせて124分見せられるのだが、これが驚くほど映画の魅力にあふれており役所広司の超はまり役というか普通に朝起きて布団をたたんで歯磨きして・・というそのまんまをドキュメントしたようなほとんどセリフもない演技でカンヌ男優賞を獲った(海外の方には字幕を追わなくて済む分演技が分かりやすいのかも知れない)。まず見始めて思うのは西川美和「すばらしき世界」のその後を描いたのではないか?ということ。しかし安アパートで自分で炊いたご飯を食べる喜びはタイトルにもなっているル・ーリードの「Perfect Day」(すばらしき日)であってどちらかというと「特別な一日」で、すぐにそんな「素晴らしき世界」なんて嘘っぱちであることが分かる。「PERFECT DAYS」は真逆で、特別なことは何もなくただただルーティーンが維持されていくことの心地よさを提示する。私の世界はあなたの世界とは違う姉の住む世界とも違い交わることは無い。発展しそうな事件が起こるふりを振るだけ振っておいて肩透かしをくらわす。ホームレスの田中泯。公園で出会うランチタイムのOL。三目並べゲーム。最大の事件たる家出してきた姪っ子にしてもあっけなく収束し、夜ごとに観る夢にも全く意味は無い。ドラマのない映画の傑作が生まれた。銭湯と湯上りのチューハイ、週に一冊の文庫本だけで人生は十分に楽しいのだ。

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たあちゃん

たまにウトウトする。鑑賞後、とても満ち足りた気持ちになる。【追記】長井短さんが長井短さんぽくって良かった。

2023年12月20日
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幸せ

寝られる

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マサヒロ

4.0ヴィム・ヴェンダース監督来日記念先行上映で鑑賞

2023年12月5日
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渋谷の公共トイレ清掃員の日常に密着なストーリーで役所さんの芝居をこれでもかと堪能できる贅沢すぎる映画。日常の些細な幸せをそっと教えてくれる。

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ろあ