PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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違うと思うなぁ……
役所さんの演技を堪能しました。
見終わって数日、なかなか言語化できないのですが、気になったところ。
・見上げる人。他のコメントにありましたが、スマホを見ていては目に入らない風景を見ている
・モノクロの写真。就寝後の夢もモノクロ。その意味。
・どうやらトイレ掃除が「心底好き」というわけでもない
・トイレ掃除だけでなく、自宅からトイレをつなぐ道路の風景や移動時間が同じくらいの重みで描かれている
・もちろん休日も
コメントに「平凡な幸せ」だの「日常の大切さを知る」だのといった文句が並んでいますけど、
そういう安易な理解や定義づけを拒否している人に思えましたけどね。
姪を前にそうした話をしていましたよね。
人はそれぞれ、同じ世界に住んでいるようで、実は違う世界を生きていると。
つまり、個人の世界は重なることがない。
影踏みのシーン。
科学的には、人間二人が重なったからといって影が濃くなるわけはない。
モノクロ写真の木々の葉の重なりとは違うのだから。
しかし、「濃くなりましたよ」という主人公は、本当は決して重ならない個人の世界が重なる瞬間をあの時だけは信じたいと思ったか、余命の少ない人への彼なりの優しさか、
いずれにせよ、あり得ない瞬間を待ち続けてここまで来た人なのかもしれない。
個人でいることは牢獄だが、それを受け入れ、諦めて生きている人だから、他人が安易に考える「幸福」に見えるのでは……。
最後の顔アップにした長いシーンの表情の変化(笑っているようにも泣いているようにも見える)は観客の安易な理解を遠ざけるものとしてあるように思いました。
※PROコメンテーターのうち二人が「寝落ちする」と書いてますが、寝落ちするシーンなんてありましたっけ?
いつも本を寝床の脇に置いてから横になっていると思いましたが。
R65指定にしてください
ひとことReview!
変わらない日常が、人によっては劇的に変化しているように見える。見方次第で良くも悪くもなるのかな。普通に生きているだけでも「パーフェクト・デイ」になるのか。そんな平山の生き方に、特にキツい過去を経験した人にとっては、本当に救われる。物凄く余韻が残る大傑作。本編に出てきた「サントリー角ハイボール」を、「響」や「山崎」などの高級品をストレートでじっくり味わうくらいな感じかな。
役所広司の笑顔が素晴らしい
東京でトイレ清掃員の平山は毎日同じことの繰り返しをしているようにみえたが、常に新鮮な小さな喜びを見つけ充実した日々を過ごしていた。昔から聴き続けているカセットテープの音楽と、古本屋で購入した文庫本を読むことが楽しみで、小さなフィルムカメラを持ち歩き、木々の写真を撮っていた。そんなある日、妹の娘が家出してきて、家に泊めてあげることになり・・・てな話。
東京には芸術作品のような変わったトイレがたくさん有るんだなぁ、って観てた。
THE TOKYO TOILET プロジェクト、と言うらしいがなかなか興味深かった。マジックミラーのようなカギを掛けると中が見えなくなるトイレは初めて映像で観た。
平山役の役所広司の幸せそうな笑顔が素晴らしかった。レコードもそうだが、今作に出てきた、カセットテープ、フィルムカメラ、古本、などのアナログが最近人気なのかな、なんて思った。
姪役の中野有紗も透明感が有って良かった。
田中泯は何をやってたのかわからなかったし、柄本時生はあんなちゃらんぽらんな仕事で大丈夫なのか、なんて思った。
特に起承転結は無いが、こんなほのぼのとした作品も悪くないとは思った。
変わらぬ日々の中にも幸せは転がっている。
スカイツリーを眺めながら車で公共トイレの巡回清掃を行う無口で真面目な平山の日々のルーティーン。でも同じ毎日の繰り返しのようで実は小さな変化があちこちで起こっている。自分では気付いていなくても私達の日常もきっとそうなのだろう。
この作品の秀逸なところは少ないセリフでも充分な説得力があるところ。ほんの少しのやり取りで平山の過去まで見えてくる。そして何より平山がそこそここの日常を楽しんでいるところ。ドラマチックなことが起こらなくても人生は人生だと言わんばかりに。
スカイツリーと木造アパートに公衆トイレ。このギャップも日本らしくて良い。実は私も清掃の仕事をしていて、変な隙間にゴミ詰められてるのがめっちゃあるあるだった。皆さんゴミはゴミ箱にお願いしますね。
このろくでもない素晴らしき世界
この街に住いする者から見れば、まるで自分が認知されたような錯覚を抱く。この男とは違うが地味に役割を全うすることは誰とてさほどの違いはないだろう。帰り道で、すれ違う人に愛情を覚えて、ハイタッチしたくなる。
映画館でこそ観るべき映画がある。この単調な日々を家で見れば、寝るかスマホを弄りたくなる。黙ってよく噛めば味も出る。この男のように、刺激を浴びるよりも過ぎゆく世界を愛すればいい。
道路を掃く音に目覚める。便所掃除と通ずる清らかな営み。草木に水をやり、ルーティンをこなす。朝食は取らずBOSSを飲む。宇宙人はいないが、この映画に通ずる。じゃらじゃらと鍵をつける。ペーパーホルダーに鍵がある。しかし家の鍵はかけたように見えない。
スカイツリーがよく出てくる。トイレプロジェクトもそうだが、現代的なモチーフのようである。対照的な浅草、古本、カセット、銭湯、この男。
様々なキャストがこの男と交錯する。いずれも味わい深い。耳触らせる柄本、影を踏む三浦、謎のOL、歌うんかい石川、風呂場で興味深々爺。個人的に白眉だったシーンは妹麻生祐未。何があったのかは知らんが全てを赦す抱擁。セリフはほとんどないが、じーんと伝わる。こちらが赦された気持ちになる。
ラストショットに熱くなる。前から撮ればそんな顔をしていたのか。時折り見せる笑顔に助けられた映画であるが、これはスタンディングオベーションだ。
平山さん、もっていくよな~。
繰り返す日常。まさにこれぞ「ルーティーン」な行動の平山(役所)のそれは、兎に角丁寧の極みで隠しきれない品があり、すべての行動に嘘や欺瞞を一切感じません。そして女性はしっかりそういうところ見抜くんですね。平山さん、世代関係なくしっかりモテてます。で、周りの男たちもそれを認めざるを得ません。平山さん、もっていくよな~。
かく言う私は全くもってモテませんが、年齢を経てようやくミニマルな生活に対する理解や憧れを感じますし、またルーティーンを取り入れることによる「余計な変化による刺激に対する自己防衛」は、意図することなくとも選択している自分に気づきます。それでも、結局のところ同じ毎日なんてないし、社会に出ていれば他人との関わりによって避けられないストレスがあります。歳を取ると、それほど「社交性」に対する重要性より生き易さの方を選びがちですが、それを完全に避けることはできません。でも、それでも日常は微妙な変化をもって繰り返し、時折感じる新鮮さや充実感に喜びや感謝を感じる、そんな当たり前だけど自覚しているわけでないことを描いてくれたこの作品に激しく共感出来て、観ていてとても心地のいい作品だと思います。
また、個人的には知っている「土地カン」も大きいですね。平山の仕事エリアである渋谷・代々木方面は何となく「あそこかな」と判るレベルですが、生活エリアである向島・浅草周辺は雰囲気も含めて知っている地域でもあり、観ていて入り込みやすいのは大きく影響しているかもしれません。
なんなら普通過ぎて退屈に感じそうなのに、平山と言うキャラクターを味わい深く演じる役所さんの演技を見れば、カンヌで男優賞を受賞する意味が解りすぎるほどで思わず感謝すら感じます。普通の人生で劇的なことは殆どありませんが、それでも日常は「常」で片づけることが出来ないほど変化があり、平山のルーティーンがそれを気づかせてくれる面白みがある作品です。隠し切れない傑作。
深い
海外でも認められた"役所広司"さんの圧巻演技は必見! ★3.7
はっきり言って、役所広司さんの存在がなければ、成り立たない作品に感じる。
寡黙・謙虚・生真面目・律儀・照れ屋・凝り性・こだわり屋・等々、主人公の性格をざっと考えても色んな言葉がすぐ思いつく。
これらを後半まで殆ど台詞がない様な役に係わらず、繊細な演技で忠実に表現している。
(ホウキで部屋を掃くシーン等、監督でも分からぬ動作をアドリブで演技している!)
特にラスト、役所さんの表情が数分続くシーンでの演技は圧巻!
カンヌ男優賞を既に獲得しているが、情報を知らずとも、今作がアメリカで一般公開作品になれば、アカデミー主演男優にノミネートされても、おかしくない! と感じるほど。
2時間見ても主人公がどういう人物だったか、分からぬ様な作品とは雲泥の差。
ダイナミクな演技で圧倒的な存在感を示せる役者は多数いる。 が、繊細な演技でその人物の様々な性格を、しかも少ない台詞で表現出来る者となるとほんの僅かだ。
私は邦画は洋画と比較して2:8ぐらいの割合でしか見ないが、現在の日本の映画界でNo1なのは、やはり役所広司さんと感じていた。
が、今作を見て、「いや、演技の卓越度で言えば世界でも五指に入る!」
のではないかと、格が数段上がった♪
今作の情報で驚いたのは、ヴェンダース監督の方が、役所さんに敬意を持っていて、出演決定後に監督の方がプレッシャーを感じたと語っていた事。
それに、役所さんが主役「平田」そのものなので、ドキュメンタリーの様に感じた事もあったと感銘している!
今作を機会にハリウッドからも、オファーが増えるのではと期待する。
舞台挨拶での監督や役所さんのコメントはyoutubeで、『PERFECT DAYS』舞台挨拶で検索すれば見れる。
と、役所さんに関しては絶賛なのだが、いかんせん私はこういう、普遍的な日常を扱った作品はどうも、それほど好きになれない。 こういう雰囲
気が好きな方には堪らない作品だと分かるのだが、自分的にはもっと圧倒的に長けてる描写シーンや展開ポイントがある作品の方が、心を揺さぶられる・・。
それに主人公「平山」以外の人物に魅力が不足している様に思う。
怠慢な同僚、カセットをパクるその彼女、無愛想なカメラ屋店主、何度も出会ってながら会釈もしない会社員・・等々、どちらかというとネガティブさを表す登場人物が多い。
と、言う訳で★数は平均よりかなり辛い目の評価に。
役所さんの作品では、今作より「素晴らしき世界」「孤狼の血」「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」「タンポポ」等の方が、私的に★評価は上になってしまった・・。
尚、内容については色々、考察している方が多数いらっしゃると思うが、監督自らインタビューで長時間語られているので、視聴後にそちらもご参考に♪ ("ヴィム・ヴェンダース監督ロングインタビューで"検索すれば 第3弾 まで「映画会社ビターズ・エンド」というチャンネルにアップされている)
PS=挿入曲について
監督自ら慎重に選んだという曲は、かなり渋い目の選曲で、ROCKでもそれほどアグレッシブな曲は使われず、とうとうと歌われているような懐かしさを感じる曲が多い。
アニマルズ「朝日のあたる家」
オーティス・レディング「ドック・オブ・ザ・ベイ」
この2曲は有名だが、多々ヒット曲があるストーンズからは、「 Sleepy City」という知らない曲が使われ、
ルー・リードの「パーフェクト・デイ」という曲が、今作タイトルの由縁になっているのか。
東京の公衆トイレって・・・
主人公はいい人生を送っていました。
役所広司さん主演の素晴らしい人間ドラマでした。ストーリーはドラマチ...
さすが役所広司さん
人にはそれぞれ自分の世界があり、どんな人でもそれは一瞬で一期一会で、大切なもの。
物語に大きなできごとがある訳ではないのですが、トイレ掃除を仕事とする人の暮らしと日々の機微を綴った作品。
なのですが、さすが役所広司さんです。全く飽きさせることもなくストーリーは過ぎていきます。
三浦友和さんとの影踏み、良かったです。
あとは、さすが!の方のもう1人…田中泯さんの存在感がすごいなぁと思いました。
それから、家出してた姪っ子ちゃんが連れ戻される時の、HUGのシーンはうるっときました。
年末にいい映画を観せてもらいました。
人生の折り返しから先
トイレ清掃員の毎日を描いた映画。日々小さく大きくアクシデントは有るが、基本は判で押したような毎日で何も変わらない。Perfect daysの積み重ねはPerfect lifeにあらず。
見ているだけで感じる、考える、伝わるものがある。
大人の陰踏み、郷愁を誘う。
穏やかそうで複雑な普通の人の人生の機微を、鮮やかに描いた傑作
毎日を淡々と過ごす、また同じような日々が過ぎていく一週間、特別な出来事なんて無い、大多数の人が何となく日々を生きている、という印象を抱くが、人と積極的に関わらずに生活しているこの主人公でさえ、毎日いろいろな事を考え、感じて生きている事がスクリーンを通して理解出来る。人間は常に考えているのだから、ちょっとしたことに楽しみを覚えたり、嬉しくなったりするものだ。トイレ清掃という仕事のプロフェッショナルであるこの主人公を通して、普通の人の生態を鮮やかに描いていると感じた。とてもセリフが少ないのに、理解出来る、説得力があるシーンが多い。なんだか、共感できるのだ。
主人公ヒラヤマの見ている夢のような幻のような映像が度々映し出されるが、凄くヴィム・ヴェンダースぽい。そしてほんの少し、ヒラヤマと言葉を交わす人達が出てくるのだか、その交錯の仕方もそう、ベルリン天使の詩や、数々のロードムービーを思い出していた。なんだか嬉しくなってしまう。ヒラヤマが1人、笑みを浮かべるその表情に胸が温かくなった。これは名作です。
凄いと思ったのが田中泯を配置していたこと。まさに踊っていて、その佇まいが、ヒラヤマだけが見えている人なのかも?と思わせるその演出に唸ってしまった。
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