PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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足るを知る男の日常
都内の公衆便所を清掃する男の日常をただひたすらに切り取った映画。
スクリーンを通して映し出されるこの映画にはドラマチックな脚本や展開などはない。
そういう意味ではこの映画はこれまで鑑賞してきたような映画とは全く一線を画すと強く思った。
なのにも関わらず込み上げてくるこの幸福感は何だろうか。
ただ自分の生活に満ち足りた男の生活の様子を眺めているだけなのに何故だろう心から"羨ましい"と思った。
どこにでもあるようなこの日本人の日常を外国人の監督が見事な芸術作品に昇華させたこと自体に脱帽。
年の瀬にこのような作品に出会えたことに感謝。
また観たいと思う。
平山さん
人生の豊かさ、普通の生活、人との関わり
無口な平山さんは言葉は少ないが目と表情で
表現する。もしかしたら、若い頃何かしらが
あり自分らしく生きる為にトイレの清掃業
を始めたのかもしれない。
朝早く自然の時間で起床し職場への準備をする。
苗木に水をやり、コーヒーを買い車で出発。
今朝の気分で好きなカセットテープで音楽を聴く。空をいつも見上げている。
毎日同じようにしてるが、一瞬一瞬が違うから
大切に生きて感じてるんだろう。
都会で働きながら、彼だけ森の中でゆったり
過ごしている感じもする。
古書店、銭湯、カメラ屋、行きつけの飲み屋
彼らしい満足の日々に少しずつ色々な人が紛れ込む。その交差具合も絶妙。
役所広司さんと三浦友和さんの影踏みは
ほっこりする。水際の水音も心地良い。
姪っ子ニコが『あの木はおじさんの友達?』
は心優しい豊かなセリフは好きだったなぁ。
平山の『この世界には沢山の世界があるが
繋がっているように見えて繋がってない世界がある』の言葉は深い。
アニマルズ、オーティス・レディング、パティ・スミス、ヴァン・モリソン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニーナ・シモン、ルー・リードの劇中曲は最高であった。最後のフィーリンググッドが流れた時の平山の表情。
目頭が熱くなり目が真っ赤に高揚する演技は
素晴らしかった。このラストシーンがこの作品の
全部を物語っている。
幸せは人其々。比べる物でもなく、選ぶ物ではなくその人が感じる物。
エンディングのルー・リードの歌声とピアノ伴奏もしっくりきたなぁ。
久々に身体の奥底からじわーっと温まる映画でした。
アナログ派の中年男性の日常
作品を観終わった後から…。
コレはあくまでも私の勝手な考え,一寸(チョット)小耳(コミミ)に挟(ハサ)んだ事,色んな出演者からのコメント映像,監督からのコメント映像等を拝聴してからのレヴューになる事を断って置きます。
・1番興味を記した理由の一つとして(そう云う事になった経緯(ケイイ)は知らないが,出演者全て日本人である中での監督は、私の中では「パリ,テキサス」やら「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」等のヴィム・ヴェンダース監督であると云う処(トコロ)。
・何処かの解説か何かで出演者(柄本時生)の親父さん(柄本明)からのコメントで、既に主演する事は決まっている状態で「役所は演技が非常に上手いぞ!」なんて言われていて出演する話…。
・趣旨が、それとなく不自由の無い生活してる中から,朝の日差しを浴び1日の生活を始める生活を選んで東京の公共施設に当たるトイレ清掃員をすると云う地味な仕事を選ぶと云うシナリオ,石川さゆりの飲み屋のママ役で,あの素晴らしい歌唱力で熱唱する処とか…。
※知ってるつもりでもいる訳でも無いが、そう云う経緯(イキサツ)の作品を鑑賞した後から知ると,観方が大分えぇ意味でも変わってくる…。
頑張って生きて来たお父さんに捧げる一本
人は大きな変化には難色を示すけれど、小さな変化を求める所が有ります。
同じ事の繰り返しのような毎日だとしても、気を付けて見渡すと小さな変化に気が付くはず。雨降りだったり晴れて居たり、お昼ご飯によく行く公園の顔見知りが座っている場所がちょっと違って居たり、ホームレスの踊りがまた変わって居たり、行きつけの居酒屋の何時もの席が埋まっていたり。
そして時には予期せぬ大きな変化が有って強く心を揺さぶられる時も有るけれど、変わらぬ古き良き物とそんな小さな変化を楽しむ一日はパーフェクトデイ。
仕事の日には腕時計をしないのに休みの日にはするのはなんでかなー?
生ギターの伴奏だけで歌う石川さゆりさんの歌には鳥肌が立っちゃいました。
人生の豊かさは、自分次第
青い海も青い魚も みんな昔手にしたもの 今は私のこの掌の中を 冷たい風だけが通り抜けてゆく
公衆トイレの掃除人、平山。
こざっぱりした部屋には、たった一竿の箪笥と、本棚いっぱいの本と、たくさん揃えたカセットテープと、テーブルに並んだ豆鉢。
朝は、落ち葉を掃く箒の音で起きる。
豆鉢の植物に水をやる。
歯を磨き、髭を整える。
整然と玄関に揃えた小物をポケットにしまう。
外に出ると毎日空を見上げる。
自販機でコーヒーを買う。
仕事車のカーステで、カセットテープをかける。
昼飯は、いつもの神社の境内で食う。
新芽を見つければ持ち帰り、新しい鉢に植え替える。
仕事を終えた夕方、まだ陽の高いうちから銭湯の一番風呂に入る。
浅草駅地下の居酒屋で野球を見ながら酎ハイを飲む。
夜、寝る前に本を読む。
休みの日にはコインランドリー。
古いカメラに収まっていたフィルムを現像に出し、出していた写真を受け取る。
写真は気に入ったものだけ残す。あとは破って捨てる。・・・そんな、ただ繰り返される毎日。(どこを切り抜いても、このままBOSSのCMに使えそうだ)
長逗留している木賃宿のようなミニマムな生活。無用なものを削るソリッドな暮らし。まるで、働きながら人生の旅をしているって感じ。
でもなぜ、淡々としたその姿を見ているだけで、涙が誘われるのだろうか。
劇中歌が懐かしい、古き良き時代のアメリカの曲だからか。アメリカばかりじゃない。金延幸子の「青い魚」は抜群に良かった。居酒屋のママ役の石川さゆりが、常連客役あがた森魚の伴奏で歌う「朝日があたる家」は艶やかだった。垣間見える彼女の人生は、味わいが深そうだった。
本だって、幸田文「木」も、パトリックハイスミス「十一の物語」もどこか示唆的。古本屋の店番オバサンの書評もだ。
姪のニコの存在も、平山の生活の風景にちょっとした風を吹かせてくれた。
神社の参道を、真ん中を避けて歩くことができる彼が疎遠になった家族の物語は、おそらくもう修復はできないのだろう。木漏れ日は、同じようでありながら常に変化していて、その瞬間はもう二度とない。人生もそうだといっているようだった。
そんないくつものシンパシーが、僕を幸せな気持ちにさせる。あ、これ最近どこかで?と思い出してみた。そうだ、終わったばかりのTVドラマ『セクシー田中さん』だ。「小さな喜びをたくさん集めるとそれで人は幸せになれるのかも」と言う言葉に勇気づけられた女性が、前向きに生きる力をもらっていたが、まさにその気分だ。平山の仕事ぶりをみながら思い出す、「箱根山、駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋 を作る人、捨てた草鞋を拾う人」という格言。そうだ、世界はこうしてたくさんの人の営みで成り立っているのだ、と思い知らされる。世の中のひとびとは同じ世界で生きているようでいて、たしかに別の世界で生きている。ただ、空間を共有しているだけに過ぎない。
ニーナ・シモンの「feeling good」がかかり、平山のアップが続く。次第に変わっていく平山の表情をどう捉えるべきか。"気分がいい"って曲名のわりには、とてもザワザワする曲だ。この先の平山の人生だけじゃなく、これまで生きてきた平山の人生はけして彼の望んでいた人生ではなかったろう。完全な人生、そんなものだったのではなく、そんなものはそう手にできるものではないと、むしろそうこの映画は言っているようだった。
一切の無駄なものを削ぎ落したシンプルな生活
自由と平凡で平和な日々
いつもトイレを綺麗にしていただいて
ありがとうございます。と…映像を観ながら
感謝の気持ちで一杯になりました。
毎日、決まったルーティーン
ミニマリストの様な
自分の「好き」に囲まれて過ごす
目覚まし時計は無く、境内を掃く音で目覚め
仕事へ。
役所さんがイライラする場面もあるけど
それは仕事を一生懸命している証。
休日は洗濯と撮り溜めたフィルムの現像へ
開店前の行きつけの店で
抱き合う2人が…気まずい為
コンビニで買った酒を外で独りで飲んでいると
さっきの男性(三浦友和さん)が近寄る
独り言?聞いてないのに
自分が余命幾ばくもないと告白。
平和な1日だけど生きていると
同じ日は無く、何かしら起こってしまう。
人は1人で生きてないけど…
家族や親友はいなくても
それなりに穏やかな日々
贅沢しなくても満ち足りた人生って感じでした
映画館で観てください。
何かしら響く映画でした。
ハグと影踏み
諸行無常の世界感
普通の日常の中にある輝き
主人公であるひらやまの生活は、役所さんが以前に主演された、素晴らしき世界という映画が思い出される、規則的なものだった。
ただ違うのは、規則的な生活の中に、1人の生活を豊かにするさまざまな対象があることだった。植物、洋楽、小説、写真、銭湯など、彼は、1人の生活を楽しんでいた。
社会には、トイレ掃除の仕事や、独居に対し、憐れみのような偏見があるけれど、それは間違いだった。
最後のひらやまの笑顔を思い出す。
物足りないような普通の日常をじっと見れば、人を幸せにするものがたくさんあるのだと感じた。
ママの前夫とのやりとりも印象的だった。
がんで余命少ない前夫が、わからないままだと言った事象に、ひらやまは答えを出そうと実証する。
病気を嘆くだけでなく、その中でも自分にできることを探して、希望を見出だそうという生き方を、真似したいと思う。
語らせない手法
監督は大好きなヴィム・ヴェンダース。彼が敬愛する小津安二郎監督のように、東京に生きる人を優しい眼差しで描いていたのが良かった!
無欲で質素で平凡な暮らしをしている、主人公の平山。誰もが嫌がる公共トイレの掃除という仕事を、愚直に丁寧に仕上げ、カセットテープやフィルムカメラを愛し、毎日の小さな変化に幸せを見つける。
そんな主人公を、ヴェンダース監督は安っぽい回想や語りなどで説明をしないのが好き。観ている方は平山という人物を想像し、その佇まいにどんどん引き込まれる。心情を察して胸が熱くなる。それを名優役所さんが演じるのだからたまらない。奇跡の出会いです。
カセットテープから流れる音楽が心情を代弁する手法も見事だなぁ。大切な人と過ごす何気ない一日を意味深に歌うルー・リードのPerfect Dayが効果的に流れる。
スカイツリーの見える下町、首都高、銭湯、地下の居酒屋、古本屋など僕たちが忘れかけている東京の情緒あふれる風景を、愛おしく魅せてくれます。監督がパリテキサスなどで魅せたロードムービー的な手法ですね。
けど主人公は旅をせず東京に留まる。パーフェクトな毎日を積み上げて、平凡な人生の旅を楽しんでるのだと気づく。青空とかちょっとした幸せが、嬉しくなってくる。そんな毎日が前向きになれる、素敵な映画でした😊
個人的に意外とはまらず
同じような世代で、理想的な心構え・心持なので共感はするのだが、ちょっと意外な思いとかはっとさせてくれるところを求めるので、個人的には印象には残らなかった。また、いつか見返すと違うのだろうか。最近みた枯れ葉の方が振り返ると後を引いている。
(追伸)その後振り返るに、自分を含め多くの人がこの主人公と同様の心持で過ごしているのではないかと思った。平凡だが平穏で時にそこはかとない幸福感。時々すごいストレスがあったりするけれど。
日常生活が続く、 あらすじ
役所広司
トイレ清掃 離婚した。娘が家出してくるが 元の嫁に返す。
思いを寄せるスナックの女が 他の男と懇ろだとしり
ヤケ酒。しかし それは 余命宣告を受けた元夫が
最後に会いに来ただけで、元嫁をヨロシクと 託される。
その後は どうなったかは描かれていない。
朝起きて 仕事して 居酒屋 読書 就寝、
週末はコインランドリー スナック、
日常生活は続く。
無限の一瞬
絵に描いたような
絵に描いたようなストーリーで、展開が予想できてしまった。こうなるだろうな、という期待を裏切らないので、思わず、笑ってしまった。
わざとベタな話にしたのかどうかわからないが、もう少し、どうにかならないものかと思った。意図してそうしたのであれば、逆効果だろう。
主人公は無口だけど、身の回りにおこる出来事に対する反応があまりにストレートすぎて、素直さを通り越して精神年齢低いんじゃないかと思うくらいで、興覚めする。三浦友和と影ふみする場面は、重要な場面のつもりなのだろうが、うそくさくて目をそむけた。
前半で出てくるいい加減な相棒は根性据わってる感じがして、すごくよかった。
でも、公衆便所がみんなきれいすぎることからして、わざわざトイレの清掃場面をメインにする必要があるのか?そこまで清掃場面にこだわるのならば、作業着も汚れるはずなのに、洗う場面もないのは不思議。作業着のままで昼ごはん食べるのはまだしも、家に帰って部屋まではいったりするか?ローアングルはトイレの清掃場面には都合よいので、その点は納得。
無風。 独身男性の日常なんてほんと何も起こらない。 しんどい奴らを...
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