PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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『禅』
この映画を鑑賞して真っ先に思い出したのは、禅宗のご住職から教えを受けた『感応道交』『日日是好日』でした。特に『日日是好日』はこの作品で非常に丁寧に表現されているなぁと感じました。
ご住職曰く『日日是好日』とは「人生は一期一会清濁併せ呑む気持ちで生きていかなくてはならない」というものでした。
平山も毎日同じルーティンで生活をしており非常にシンプル(後述)である。
一見すると素敵な生活にみえる。
平山の行く所は、いつも同じ場所であり、銭湯、クリーニング屋、一杯飲み屋、カメラ屋、居酒屋などである。どの店でも常連客なのだがそれぞれとの関係は希薄であるように見受けられる。
しかし快適そうに見える独り暮らしでもどこか人恋しさがあるようだ。
女の子に突然キスされて動揺したり、姪の訪問で驚きつつも受け入れたり、妹にハグしたり…
清掃員の相方が急に辞めると言い出した時もシフトがどうとかよりも、寂しさがあったのではないかなぁと思いました。ホームレスの人との関係もそう。
やはり人間は世の中から目をそむけては、生きていけないし皆それがわかっています。
今作の役所広司さんは言葉で発する台詞は少なかったものの、表情や行動で感情を表現しておられたので、とても心地よく鑑賞させていただきました。
最後に私見ですが、『シンプル』という言葉は簡易なものの積み重ねによるものではなくて、膨大な量の問題を山積みにしてそこからそぎおとして凝縮した後に生み出されるものだと思います。
劇中の平山も大きな問題から今の生活を手にしたのだと思いました。
何気ない生活って楽しいんだ
トイレ掃除を職業とする一人のおじさん、平山のなんてことのない日常を描いた作品。大きな事件に巻き込まれたり、ドラマチックな状況に平山が巻き込まれて何かをするか、というとそうではなく、ただただ生活をじっくり見るという作品だ。
そう聞くと全く面白くなさそうに聞こえるかもしれない。実際平山の生活は、毎日同じようでルーティンのように見える。それでもなんだか面白い、という感想にさせるのがこの映画だ。
注目すべき点の一つは「音」だろう。カセットテープがキーになっている(教養がなくて私はほとんど知らなかった)一方で、生活のシーンではほぼBGMがない。BGMの代わりに彩り豊かな生活音が心地よい。平山が目を覚ませる竹箒で掃く音、霧吹きで植物に水をやる音、髭剃り、ハサミ、歯磨き、自販機のコーヒーが出る音、トイレを掃除する音、カメラのフィルムを出し入れする音、やかんを置く音や救急車の音などもアクセントになっていた。
もう一つは「表情」だ。平山はほとんど声を出すことがない。その代わりに豊かな表情を見せる。いろいろな種類の笑いを見せる。困った顔や怒った顔、泣きそうな顔も見せる。(役所広司の表情を見ているとトムハンクスの表情豊かな演技を思い出した。) ニーナ・シモンのFeeling GoodがBGMに流れるラストの平山の表情は圧巻だ。
終盤に説明的に出てくる木漏れ日がこの映画の、いや私たちの生活のメタファーになっていると思う。一見いつも同じような一つのものに見えても、その一瞬一瞬で違う木漏れ日なのだ。
大人になって落ち着いた私たちの生活も、毎日同じようにみえることもある、でもそれは実は一つ一つ違っているのだ。一つ一つの人とのやりとりや、細かな変化、それは十分面白く楽しいものなのだ。
何でも無いようなことが…
役所広司が賞を取ったとのことで、拝見(個人的には佐藤浩市も好きなんですけど…)
まず、東京のトイレ🚻のデザインや見た目に唖然 大阪では考えられない…流石に若者が憧れるだけあるな〰️と思う反面、こんなトイレ🚻ばかりな訳なイヤンと突っ込みなくなったのは僕だけかな?
最後まで分かりにくい内容ではあったが、役所広司は良いところのボンボンだったが、長男といった重圧に負けて今があるのだと思う 介護状況になった父とも会えない(会いたくない)くらいのトラウマを抱えながらも、生きていくことに自分ながらの楽しみ(○❌や影踏みは見ていてほのぼの)を見出だしながら、世間とも付き合って向き合って生きている環境を羨ましくも思えた
昨日八代亜紀が亡くなり、石川さゆりが出ていたことにも…
最後の涙は何を思っての涙だったのか…父を思って?人と人との繋がりの大切さを感じて?考えてみよ😌
きっと役所広司が演じた役はAA型だと思う😏
丁寧な生活
私が将来したい生活そのまんまだったな
ただこれは男がやってるから感じられる渋さであり、女(オバサン)がこれをやると哀愁漂って閉まってしょうがない。
これ最後の涙って習慣的な生活に満足だと思わせながら日々は変わりゆき人間関係においての悲しみやトイレ掃除という職業、孤独な人生が結局は本人も嫌気がさしていて爆発したってことなの?
結局人を満たせるのは他人だな
225 映画の作り方においてあらためて感嘆
ドイツの名匠ビム・ベンダース って方は
全く存じ上げなかったのですが
コメント映像を見るに
あー監督というのはここまで考えて映画を撮っているのか、と
敬意を表します。
監督が考えていた主人公の過去だけでも充分映画になると思うが
まずは毎日変わらない日常である2日間の出来事を
上映1時間かけて映し出す。アングルもほぼ同じ。
3日目からは少しアングルに変化をつけているが
これだけ同じ出来事が続くも全く眠気を感じさせないのは
どういうこっちゃ!?
終盤ノイズが入り流れが壊れるのかな?と思わせて
実はそれもかなわない。
もちろん役所広司の演技力あっての展開なのだが
演技力の範疇を超えていますな。
リアルではなくナチュラル。
アクターズスクールの教えを具現化する。
これだけ人間を映し出すといつもなら涙腺を刺激するのですが
そんなこともなく、しかし爽やかだった、と。
今日一日普段通りに生きることが出来てありがとう、と。
これは記憶に残りますわ
80点
ユナイテッドシネマ大津
劇中に流れる60年代の米音楽ってほとんど知らないんだよな~
我々が知っている70~80年代の音楽も
若い子が聞けば新鮮だと思います。
あー音楽もブリッジしかなかったですね。
本当に役所広司だけでもたした感があります。
にしても柄本時生 クズ男冴えてますわ。
表情で紡ぐ物語
久しぶりの「余韻を味わう映画」でした。
内容については他のレビュアーの方々が触れていらっしゃるので割愛しますが、台詞があると逆に違和感を感じてしまう程の画力に満ちた映画です。
主人公の「平山」はじめ、登場人物の繊細な表情で物語は進んでいきます。
その表情に対して何を思うかは観る者次第。
観客それぞれのバックボーンで異なるストーリーが生まれる映画だと感じました。
ラスト、ニーナ・シモンの「FEELING GOOD」が流れますが、そこにはタイトルにあるようなハッピーさは微塵も感じられません。
平山の日々の喜びの背景には、複雑に入り混じった怒りや恨みがあるのだと思います。
そのような感情のうねりを的確に表現したベストな選曲でした。
もちろん、他の挿入歌も素晴らしかったのですが、その中でもひとつ抜けていた気がします。
平山の表情とも相まって。
人々の記憶に永遠に留まり続けるであろうこの作品を、世に送り出していただいたスタッフ・キャストの皆さんに、感謝の念しかありません。
平凡な日常の幸せ
ヴィム・ヴェンダース監督で役所広司がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞受賞ということで観たいと思っていた映画、本日鑑賞して参りました。
役所広司演じる平山のトイレ清掃員としての日常が淡々と描かれているのですが、なんだかとても心地良い映画でした。
早朝、近所の掃き掃除の音で目覚め、ふとんをたたみ、歯を磨き、ひげをそり、自販機でコーヒーを買って車に乗り込み仕事場である公園のトイレに向かう。車内ではお気に入りのカセットテープを聞く。平山のルーティーンである。
トイレをきれいにするために一生懸命働き、昼は木漏れ日の見えるお気に入りの木の側でサンドイッチを頬張り、仕事が終わると銭湯で汗を流し、馴染みの店で晩酌を楽しみ、寝る前に文庫本を読む。
趣味といえば、フィルムカメラで写真を撮ること、実生苗を持ち帰って育てること、古本屋で文庫本を買うこと。
すごく質素な生活に見えるが平山にはそれで十分なのである。Perfectな日々だ。
音楽はカセットテープで聞く、本は古本、カメラはフィルムカメラ、携帯はガラケー、まるで時代から取り残されたかのようだが、平山には十分満足なのだ。
空を見上げたり、トイレの壁に揺れる影を見たり、木漏れ日を見つめる平山の表情から幸せを感じて生きていることが伝わってくる。
決して人間嫌いという訳ではなく、ただ無口でシャイな部分があるだけで、今を満足して生きている姿に、現代人が忘れかけている大切なものを映画は示唆しているように思える。
ルーティーンの中には日々細かな変化も多々存在する。出来の悪い同僚の若者に振り回されたり、突然裕福な家の姪っ子が家出して転がりこんできたり。密かに想いを寄せるママが男と抱き合っているのを目撃したり。
でも平山にとっては小さな事だ。多少感情は動いても慌てふためいたりせず、まるで真理を悟ったかのような達観した生きざまで一日を終える。
欲というものが平山から感じられない。それは、今生きている生活の中に喜びを見出だして十分幸せに生きているからに他ならない。そんな平山の姿がまぶしかった。
石川さゆりさんもいい仕事をしてましたね。
今年2本目の映画鑑賞でしたが新年早々良い作品に出会えました。
平凡な日常の繰り返しこそ美しい人生の瞬間がある
美しい。とにかく人生は、生きている事は、貴重で美しいと感じさせてくれる作品だった。
毎日の単調な生活の繰り返しは、決して単調ではなく、木漏れ日のように一つとして同じ瞬間はないのだという事。誰しもが誰かに必要とされているのだという事。優しい。とにかく優しい。
人生を生きる中で、傷ついた事、喜んだこと、全ては今を生きる上で、愛しい記憶の集積だということ。
時には深い悲しみに襲われたとしても、全ては夜明けの朝日につながっている。劇中の音楽が絶妙。
やっぱり1970年代の音楽などの全ての芸術は脈々と今につながっているんだなぁ。偉大なる70年代。
ギクシャクした現代よりはるかに視野が広いし深い。
劇場音声トラブルがあったけど
立川髙島屋シネマで鑑賞。お昼の回が機材トラブルでまさかの中止となり、時間をつぶして15:40の回を観ました。主人公の平山(役所広司)は公衆トイレの清掃を生業としています。質素なルーティンの中で、というよりこのルーティンこそが彼の最も望んだもので、時折空を、もしくは木漏れ日を見上げる眼差しは恍惚にさえ映る。同じことの繰り返しが倍音のように果てしなく広がって、観るものを引き付ける。わずかだけど確かに繋がっている人とのやり取りが、お互いを支えて、人生を豊かにする。
ただ彼は聖人ではない。途中、突然辞めた同僚の穴を埋める為、疲れ、苛立ち、怒りを吐きだしたりします。個人的には、あのエピソードに同じ肉体労働者としてグッと親近感を覚えました。また、今の格差社会の底辺で暮らすものの危うさも垣間見せている。ちょっとしたことで、今の生活が崩れ落ち『ダニエル・ブレイク』に、なるかもしれないということも感じさせてくれた気がします。
中盤から後半にかけて15分くらいだろうか、突然音が消えた。劇場の音声トラブルだったのだが、もう私たち観客は、いつもの移動中に平山のカセットから流れているであろう最高な音楽、居酒屋のおやじのセリフ等もすべて想像できるので、ほとんど違和感がなく、逆にこの方が良いのではとさえ思えた。唯一偶然の上映回を共有している観客皆と、一体感があったような気さえしたのは私だけであろうか。
ルー・リードの曲が由来であろうが、本映画の題名が「シンプル・ライフ」ではなく「パーフェクト・デイズ」という、慈しみと有限さを併せ持っているというのが何とも良くて、パーフェクトだなぁと。ふと何度も思い返す映画の一つとなりました。
裕福な人生を捨てた男の物語
感想をまとめるのが難しく、日常のささやかな積み重ねに感動したとしか言えないので、平山さんの背景について考察します。
読書好きなところや人生に対して孤独な哲学を持っているところからかなりのインテリであり、また60-70年代のロックが好みなところから若い頃はそれなりに人生を謳歌していたことことが読み取れます。
しかし、作中で平山さんの背景に迫るシーンは何といっても妹との対面のシーンでしょう。
妹が持ってきた平山さんの好物である菓子折りは手提げ袋まで専用のしっかりとしたもので、乗ってきた車を運転しているのは旦那かと思いきや運転手です。(スタッフロールにkeiko's driverとありました)
このことから、平山さんはかなりの裕福な出であることがわかります。
直前のシーンでニコに対して「世界は繋がっているようで繋がっていない世界がある」「(妹の)世界と自分の世界は違う」と言っていますが、老人ホームにいる認知症の父親に対するやり取りから見ても、裕福な世界(父親と妹の世界)を拒絶して今の暮らしをしているということです。
つまり、なるべくしてなった人生ではなく、選択した上での人生ということになります。
裕福な世界を捨てた平山さんの世界は何を大切にしているのでしょうか?
作中の最後に木漏れ日についての解説がありましたが、その解説に沿うと、平山さんはおそらく日常の中の"良い"と思える瞬間を大切にしているのでしょう。
散歩をしている人には分かると思いますが、毎日同じ道を通っていても花が咲いていたり鳥が飛んでいたり、魚が群れで泳いでいたりと、たとえ街の道でも結構違いがあるものです。
作品を見返すと木漏れ日を見て微笑むシーンや、ほぼ毎日撮っている友達の木の写真、トイレを使う人達への満足げな笑みなど、同じように見えて違う風景を平山さんは見ているのかもしれません。
そう考えると毎日を惰性で生きているのではなく、常に瞬間を捉えながら生きているとも言えるのではないかと思います。
久々に頭からジーンとなる、本当に良い作品でした。
余談ですが、おそらく平山さんの居住地は江東区の亀戸ですね。作中に箒がけされている神社で亀戸七福神という旗がありモロバレですが、スカイツリーのあの距離感は墨田区民もしくは江東区民には馴染み深い大きさでした。
平山さんの退勤後のルーティンは亀戸から近場の銭湯に向かい、桜橋を通り抜けて浅草のアーケード街で飲んで帰るというもので、自転車で20-30分くらいかければ可能です。
亀戸からなら駒形橋を使って浅草まで行けば近いような気もしますが、映画的な都合を無視すると、平山さんが桜橋からの風景が好きということでしょうか。
隅田川沿いに住んでいればお気に入りの橋は出来るものなので、自転車の行き帰りも楽しみの一部と捉えれば生活圏内といえます。
退勤後はなんだか見慣れた風景ばかりで、この銭湯、絶対に浸かったことある…!と1人感動していたのは内緒です。
まず4:3スタンダードサイズに驚く。最近のシネコンではスタンダード...
日本の下町風景がとても観やすかった!
言わずと知れた話題作!
東京には有名クリエイターによる
洒落た公衆トイレが沢山あるらしいと言うのは
何かの情報番組で知っていたので
それも楽しみで観に行きました。
役所広司さんがインタビューで
「本物の清掃員さんに芝居させてる様に
思って貰えたら嬉しい〜〜」的な事を
言っておられたと思うのですが、
色々な小道具を駆使してトイレを清掃する様子は
確かに寡黙な仕事人に観えました。
ハッキリとは語られないけど
何か大きな人生のターニングポイントが
あったらしい1人の男。
特に大きな事件が起きる訳ではないけど
淡々と続く日常。
お正月から大きな地震や事故の起きた今年。
この映画の様に普通の日常が続く事の有り難さが
特に沁みるではないでしょうか〜〜〜。
で、
月に8回ほど映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
ビム・ベンダースの映画は
「パリ・テキサス」を配信で
「ベルリン・天使の詩」を昨年映画館で鑑賞。
両方とも評価が高い作品ですが
私は「パリ・テキサス」はかなり苦手。
埃っぽい荒野の風景と、薄汚い中年男のコントラストが
観ていて退屈で退屈で〜〜
家で配信なんかで観てはいけない種類の映画でしたね。
それを思えば今作はかなり観やすい。
淡々と掃除を続けるシーンが続くのですが
見慣れた東京の下町の様子や
(東京に住んではいないけど、
日本の下町風景はあまり地域差が無いので)
個性的な公衆トイレの形状が画面的に飽きない、
トイレを利用する人との会話のない
ちょっとした触れ合い時に見せる
主人公の表情の変化。
その合間の木漏れ日の描写。
多くを語らない主人公と
多くを語らない編集で
観る者の空想が広がって行く作品。
観た後で誰かと語りたくなる映画でした。
それと役所さんがクローズアップされているので
あまり紹介されていませんが、
ちょっとした脇役が超豪華!!
各所で名バイプレイヤー達がいい仕事してます。
是非映画館で鑑賞して見つけて下さい。
ちなみに主人公が毎朝自販機で買う缶コーヒーは
「アレ」でした!(笑)
10段階で言うと9(タイトルは映画の台詞からです)
タイトルは映画の台詞からです
繰り返す毎日
真面目に働き
酒にも溺れず
風呂に気持ちよく浸かる
眠る際の夢が良い
仕方がなくこの生活をしている雰囲気は無・・・悲壮感が無い
ただ、1人で生きていくのは少しだけ寂しい気持ちはありそうだ
でもこの生活でそこそこ満足している気がする
ルーチンで埋もれていく日々が朝日とともに生き生きとする表情を映す彼が限りなく羨ましい
ずっと観ていられる
毎日寝る前に観たい作品
役所広司の空気感に気持ちよく漂う作品
良いものを観ました
レビューが削除されたようです
昨年末にこの映画を観てすぐレビューを書いた。カンヌで主演男優賞を受賞したこともあり映画の入りも良いようだし評価もすこぶる高い。レビューを読んだ限りでは映画の良し悪し以外にも主人公の生き方に共鳴した人が多いようだ。
その中で私はかなり批判的な内容の投稿をした。
長文になってしまったが、要はこの映画は「THE TOKYO TOILET」プロジェクトとほぼ一体であること、そのうえでプロジェクトの主導者たちがプロジェクトの末端に位置する清掃員の姿を「清貧」でかつ自分たちの趣味指向に合った、いわば都合のよい人に描いてしまう気持ち悪さについて書いた。
実名も挙げているので誹謗中傷と取られたのかもしれない。もちろん運営側からの連絡や説明はない。誠に残念ではあるがそういった方針、姿勢のサイトであると理解したうえで付き合って行くしかないかと思っている。
私の投稿にしてはかなり多めの共鳴者がおられたので削除は私の意図するところではないことを発信しておくため再投稿した。
毎日起こるイレギュラーなことの方が面白い。実際それがないとこの映画も面白くないし、イレギュラーがあってこそのパーフェクトデイズなのかもしれない。
よくわからなかったけど、見ていて思ったのは小津安二郎監督風の映画だということ。
何も事件らしいことは起こらなくて、何気ない日常を切り取っている。
初めは渋谷にできた先進的な公衆トイレを宣伝する目的だったらしく、見たこともないようなきれいなトイレと東京の街並みがたくさん出てくる。
映像的には日本人よりも外国人に受けそうな感じだった。
内容的には貧乏な普通のおじさんの日常生活みたいなことで、これも外国人受けを狙っている感じだった。
金持ちの生活はどこの国でもだいたい同じような感じになるけど、貧乏な人はその国によってかなり違うと思う。
結局外国の人が見たいのはその国の庶民の生活で、できれば体験してみたいのだろうけど、なかなかできないから映画で見せてあげているということかもしれない。
日本人の普通のおじさんである自分が見ると、自分の生活を映画にされているような気がした。
金持ちで上流階級の人、高度で責任ある仕事をしている人の生活はよくわからないけど、普通のおじさんの生活はこんな感じだと思う。
これは映画の題名のような「パーフェクトデイズ」なのかと聞かれれば、普通のおじさんとしてはパーフェクトデイズだと思う。
でも金持ちで上流階級の人、高度で責任ある仕事をしている別世界の人の生活を考えるとパーフェクトデイズではないのかもしれない。
上を見ればきりがないし、他の世界の人のことはわからない。
上の人でもいいことばかりではなく、それなりに苦しいことや悲しいこともあるんだろうから、結局自分の考え方次第で、自分がパーフェクトデイズだと思えばパーフェクトなんだろうと思う。
何もないような生活でも、結構それなりにいろいろあって、完全に同じ日などそれこそタイムリープしない限りない。
毎日毎日同じことの繰り返しのように見えても、細部はかなり違ってくる。
よくわからないけど人生って、何かしらの目標に向かって毎日繰り返していくことの方じゃなくて、その間に起こっている何かしらの煩わしい雑事というか、問題の方なのではないのかと思う時がある。
この映画の主人公も毎日のルーティンワークというより、毎日起こるイレギュラーなことで喜んだり悲しんだり時には怒ったりする。
この映画の題名を文字通りとらえると、毎日のルーティンワークを完璧にこなして何のイレギュラーもないことみたいな気がするけど、それではつまらないと思う。
毎日起こるイレギュラーなことの方が面白い。
実際それがないとこの映画も面白くないし、イレギュラーがあってこそのパーフェクトデイズなのかもしれない。
話す言葉数は少なかったけれど、表情はとても芳醇だった
ヴィム・ヴェンダーズ監督の作品は「パリ・テキサス」に続いて2作品目。
カンヌ金獅子賞受賞作の「パリ・テキサス」の日本公開は1985年だから、僕は19歳、予備校生の頃になる。背伸びをして見た「パリ・テキサス」は、さっぱり良さがわからなかったけれど、ほぼ40年経って見たこの映画は染み入るように伝わってくる映画だった。
役所広司は、この映画でカンヌ最優秀男優賞を受賞した。彼が演じた「平山」という男は確かに存在する、実在する人物のような存在感があった。平山の生い立ちやどうして一人暮らしをしているのか、なぜ今の仕事をしているのか、などはほとんど描かれないまま、彼の日常は存在するように感じた。
私が、平山ともしすれ違うとしたら、どんなシチュエーションなのかわからないけれど、不思議な魅力を漂わせる人物として、気づくことができる大人でありたいなあと思った。
映画は平山の日常を描く。何気ない。朝から始まるルーティーンに基づいた1日を。道を掃く音で目覚め、歯磨きし、BOSSのカフェオレを買い、50年前のロックをカセットから流しながら仕事場へ向かう。
まるで変わらないように映る日々。
もちろん、まるで変わらないわけでもなく、登場人物たちが平山の日常に、「客」として現れていく。変わらない日常のパーツの時もあれば、日常の1日1日をユニークなものとして彩る光源として登場する。
映画のエンドクレジットで紹介される言葉「木漏れ日」。この言葉が日本ならではのユニークなイメージを表現する言葉とは知らなかったが、その言葉の説明として「ほんの一瞬存在する」。一瞬一瞬の光が連なる「木漏れ日」。
平山はその一瞬一瞬の光の連なりを愛していた。
平凡な木々のゆらめきの中にその一瞬の美しさを見つけ、楽しみ、愛した。
彼は同様の美しさを彼の平凡な、変わらない、ルーティーンのような生活の中にきらめく一瞬一瞬の美しさを見つけ、楽しみ、愛しているように感じた。
平山はとても幸せそうに見えた。
持ち物は少なかったけれど、足りないものはなく。
話す言葉数は少なかったけれど、表情はとても芳醇だった。
いい映画だと思った。
40年も経つのだから。
こういった大人の映画も味わるようになったのかもしれないと思った。
さて、一人暮らしの平山の日常だが、ふと思ったことがあった。
彼は料理をしない。
朝食はBOSSのカフェオレ、昼食はサンドイッチとパック牛乳。
夕食は千ベロだろうか。つまみと酎ハイ?(泡がなかったから水割りかな?)
外食というか、自炊ではない。
上手にやりくりをしようとすれば、自炊しないのかなと思いつつ。
そういえば、カップ麺で済ました夕食があったっけ。
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