「タイトルなし(ネタバレ)」PERFECT DAYS まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
「PERFECT DAYS」ってどういう意味なのかな、と考えてみた。一日、一日を、精一杯生きるってことかな。同じことの繰り返しに見えるけどいつも何か違う、平凡で大切な毎日を、命を尽くして生きる。
何にも分からないのが良いね。
役所広司はなぜトイレ清掃の仕事をしているのか。父親とどんな確執があったのか。姪っ子はなぜ家出したのか。柄本時生はなぜ突然仕事を辞めたのか。田中泯はなぜホームレスになったのか。飲み屋のママ石川さゆりと、元夫三浦友和はなぜ離婚したのか。皆んなそれぞれのPERFECT DAYSがあるのだ。不器用で、苦くて、それでもいつか必ずお別れする時が訪れる。サヨナラは名残惜しい。
バックで流れる往年の名曲や、古本屋で購入して来る文庫本を丁寧に紐解けば、そこに「なぜ?」に対するヒントが隠されているかもしれません。
映画を見始めてしばらくは、妙な違和感がありました。映像がすごく生々しくて、自分もそこに居るような感覚になるのはどうしてだろう?と。なんか質感が違う。最初は、自分が東京でずっと働いていたからそう思うのかな?と思ったけど、ドキュメンタリー風に撮影したと知って納得しました。使用するカメラが違うんでしょうか?凄く良かったです。匂いや音、風、光、雑踏の生活音も肌で感じられるようでした。
あと、現代的なスカイツリーと、昭和にタイムスリップしたようなレトロな街並みとの対比が面白かったです。ああ東京ってそういう街やんな…一歩路地裏へ入れば混ぜこぜで、そういうとこ大好きだ、、と思いました。無関心なくせにノスタルジックで、切なさが込み上げる不思議な街。
若い時はあまりピンと来ないかもしれません。歳をとってから見ると、きっとグッと来ちゃうと思います。人生は思っているより短い。最後のシーンは本当に言葉になりません。役所広司の素晴らしい演技に涙が止まりません。