「トイレ清掃員の行き方に共感」PERFECT DAYS ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
トイレ清掃員の行き方に共感
古びたアパート、でも部屋の中はきれいに整頓された様子から主人公の几帳面さが感じ取れます。公園で見つけた植物を盆栽として育て、毎朝霧吹きで水をやることを怠らない。
朝は食事を取らず、缶コーヒーだけ飲んでトイレ清掃に車で出かける。
車の中では1960年代、70年代の懐メロをカセットテープで聴く。個人的に印象に残ったのは、オーティス・レディングのドックオブベイとアニマルズの朝日のあたる家だった。
昼は公園でサンドイッチを食べ、見上げた樹木の木漏れ日をオリンパスのフィルムカメラで撮る。隣のベンチには同じようにサンドイッチを食べるOL風の女性もいて顔見知りとなるが、特に会話はしない。
夜は地下街の定食屋でお酒と一緒に食べる。アパートにはお風呂がないので銭湯に行く。寝る前には読書する。
休日は自転車に乗って仕事着等をコインランドリーへ洗いに行く。その間、石川さゆり似のママがいるスナックに寄る。古本屋に行って本を買う。店主のおばさんは必ずその本について一言コメントする。カメラ屋にフィルムカメラの写真受け取りに行き、同時にフィルムを買って帰る。家に帰ってその写真を整理する。気に入らない写真は捨て、気に入ったもののみ残して、アルミケースに入れて押し入れにしまう。押入れにはいくつものアルミケースがきちんと並べられていて、ここでも彼の几帳面さが伺える。
子供を見ると顔が微笑んだり、姪に優しい面がある一方、施設に入居している父親とは何があったかはわからないが、うまくいってないようで、妹が頼んでも会いに行こうとはしない頑固な面もある。
毎日が同じことの繰り返し。でもそのことの尊さを学びました。