「綺麗な木とトイレ」PERFECT DAYS どん・Giovanniさんの映画レビュー(感想・評価)
綺麗な木とトイレ
単純な内容…特別なことは起こらない。いや、特別なことをしているのにそう感じないだけだし、単純そうに見えて、複雑なのだ。自分で何を言ってるのだろう。矛盾ではなくて、見る角度によって異なるというだけで、下手に言葉にしないほうがマシかもしれない。
一般庶民の日常をピックアップしていて、風呂で過ごす姿も、眠っている夢の中までも覗き見する。しつこく何日も、休日まで密着取材。
映画の主人公のいつものルーティンを覚えてしまう。
いつになったら映画が始まるのだろうと思いながら結局最後までプロローグのような、最初からエピローグだったのかもしれない。
劇中の登場人物よりも、つい観ている鑑賞者側のほうが雄弁になってしまいそうになる。黙って観てるだけでは退屈だから、それもあるが、コミュニケーションが愛しくなるとも言える。そして、本当の主人公は鑑賞者である自分のほうだということに氣付くのであった。
4対3のサイズでも、じゅうぶん良い映像だったし、東京のロケ地も、じゅうぶんファンタジー世界のように美しく素敵であり、見応えがあった。
共感ありがとうございます!
「結局最後までプロローグのような、最初からエピローグだったのかもしれない」
たった一文でこの作品を実に見事に言い表してると思います!
主人公の平山にとってもう物語は終わってしまったのかもしれません。でも、単調な日常の繰り返しの中からまた新たな物語が始まるのかもしれません。
どん・Giovanniさんの一文を読んで、そんなことを考えてしまいました。