「幸福とは何かを考える映画」PERFECT DAYS うどん人さんの映画レビュー(感想・評価)
幸福とは何かを考える映画
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主人公は安アパートに住みトイレ掃除を仕事とする寡黙な初老の独身男性。冒頭からその男(平山)の一日の様子が繰り返し映し出される。ほとんどセリフは無く、観客は何を観せられているのかわからない感じがする。
平凡な毎日で事件は起こりそうで結局は起こらない。姪の来訪やスナックのママの元夫の出現だけが変わった出来事。平凡で退屈な映画とも言えるが最後の「木漏れ日」のテロップでこの映画の主題がわかる。
人生は木漏れ日のように光と陰(影)が繰り返しおとずれる。光(幸せ)にも陰(不幸)にも濃淡がある。それは自然なことであり、それが人生なのだとこの映画は教えてくれる。
新旧の対比が面白い。スカイツリーと古いアパート、オシャレなトイレとそれを掃除する初老の男。
男は一人暮らしで孤独だけれども、周囲には知り合いが何人もいて決して辛くはない。古本屋、DPE屋、昔ながらの銭湯、旧式のコインランドリーなど昭和に囲まれている。極め付けはカセットの音楽。その中で暮らすことは平山にとってperfect daysなんだろう。最後の平山の顔を映す長いシーンでそれがわかる。
キャラクターは全然違うが、同じ役所広司が主人公の「素晴らしき世界」とどこか似ている気がした。
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