「ただひたすら生きる」PERFECT DAYS taka2x2さんの映画レビュー(感想・評価)
ただひたすら生きる
この映画は東京の公衆トイレ清掃員の日常が描かれている。けしてドラマチックな展開ではない。よくある大都会の安アパートの一室で夜明けと共に起き、顔を洗い、植木鉢の木に水をやり、アパートの前の自販機で缶コーヒーを買う。いつもの道を走りながら昔、流行した曲をカセットテープで聴く。いつもと同じ公衆トイレを巡回清掃し、昼食時間にいつもの神社の境内の木漏れ日を撮影する。また巡回清掃をし仕事終了。3時頃に銭湯に行き、安飲屋で一杯引っ掛け、帰りにフイルムカメラの現像に行ったり、中古専門本屋で小説を買い、寝るまで部屋で読書。そして寝る。次の日、いつもの時間に起き、昨日と同じ事が繰り返される毎日。実に平凡だ。考えてみれば私たちの人生の98%は平凡な毎日のルーチィンで成り立っているのではないだろうか。今独居老人が社会問題になっている。しかし主人公は平凡な日常の中で植木鉢の細い木の葉がゆっくり成長して行くのようにそうした小さなの変化に喜びを感じ、ただ毎日をひたすら生きる生活に幸せを感じている。監督はこの映画を通してこの事が言いたかったのではあるまいか。
コメントする