「木の葉の揺らぎに心を留め、新たに芽吹いた木の若葉に目を細める。そんな一人の労働者の日常生活を、暖かく優しい眼差しで切り取り描き出した作品です。」PERFECT DAYS もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
木の葉の揺らぎに心を留め、新たに芽吹いた木の若葉に目を細める。そんな一人の労働者の日常生活を、暖かく優しい眼差しで切り取り描き出した作品です。
トイレ清掃員が主人公のお話ということは知っていたので
着想・話題性だけが一人歩きしている作品なのでは? と
観るのを躊躇っていた作品です。(バリバリの先入観 ・_・;)
# 主演が役所広司。 うーん。どうしよう。
# 監督は? ビム・ベンダース…って え 日本人じゃないの?
# ドイツ人? が撮った日本トイレ清掃物語って どんな内容?
# これは観なきゃダメだよね。 @∀@;
…との脳内会議の結果、俄然観る気になって鑑賞しました。
◇ストーリー(もしくは「ある日の平山さん」・∇・)
主人公の平山は、トイレ清掃員。年齢不詳(50代~60代?)
渋谷区内の公衆トイレを、車で巡回して清掃している。
もちろんボランティアではない。仕事だ。
ユニフォームの背中には「 TOKYO TOILET 」の文字。
東京都からの委託なのだろう。(…多分)
一箇所のトイレを一人で綺麗にするのかと思えば、そうとも
限らないようだ。ある場所ではスクーターでタカシが合流する。
タカシは若い。彼女が欲しくてたまらないお年頃だ。
まじめに清掃の仕事をしている と思っていたのだが…あ~あ
貸したお金は返してもらったのやら。 はて?
平山は公園(寺の境内か?)のベンチで昼食をとる。
木の葉の間から光が漏れてくるのを眺め、カメラで撮影したり
しながら、サンドイッチを食べるのだ。
時折、隣のベンチのOLと目が合ってしまう。…どうする?
いやいや。 どうもしない。目が合っただけのこと。
木の根元に若葉を見つけた。 新しい命の発見だ。よしよし。
そっと周囲の土ごと掘り返し、折り紙細工の皿に収める。
持ち帰って、水を毎日あげよう。部屋には仲間がいっぱいだ。
寂しいことなど無いからね。
※育った苗木(?)はどこかに植えるのだろうか? はて
さあ 一日の仕事も無事に終わった。家に帰ろう。
スカイツリーの麓近くのアパートが住処だ。
二階もある。メゾネットという奴だ。古いけど広い。
他の住人は見かけないが、誰かいるのだろうか。
さあ着替えたら、自転車に乗って銭湯だ。
一日の汚れを落とし、疲れを癒すにはお風呂が一番。
銭湯の広い湯船に浸かるのは最高に気持ちが良い。¥_¥
他に客は2~3人。少ないが、経営は大丈夫か?
まあ、それは余計なこと。
営業開始すぐ後の時間だから空いているのだろう。きっと。
風呂の後は夕食だ。浅草の地下鉄駅に連なる飲食店。
いつもの場所に座る。すると
店主が ” お疲れさま ” と声をかけてくる。そして
何も言わずとも出てくる、いつものお酒と食事。うん
疲れを癒したあとの食事と一杯の酒。最高だ。
#今日も良い一日だった。
#明日も元気に頑張れそうだ。
家に帰り、寝床で文庫本を読みながらそう考える。
やがて心地よい眠りへと落ちていく。
平山の一日が、今日も無事に終わる。
◇
とまあ、平山の日常の生活ぶりが淡々と描かれていきます。
後半、平山の姪がアパートにやってきたりとか(家出)
タカシが突然「仕事辞めます」電話を入れてきて、二人分
働くハメになったりとか。
穏やかな水面に、ゆらぎ程度のさざ波が立ちますが
平山の生活は、基本変わらずに続いていきます。
変わらない、そして変化の少ない暮らし。
その中にこそ、穏やかで平和な日常がある。
それが実は、幸せなこと。
そう思わせる作品です。
エンターテイメント作品ではないですが、共感できる部分を多く
感じることのできる作品でした。
見て良かった。
満足です。
#外国人監督ならではの撮影場面やカットかな? と思える
#箇所も多く、派手なシーンは無いのに飽きませんでした。
#スカイツリーの映り込むシーンが多かったのが印象的。
◇あれこれ
◆平山さんの趣味
アナログ製品の愛好家と思われます。
自宅でも車の中でも、音源はカセットテープ。
そしてカメラはフィルムカメラです。
デジカメと違い、撮影枚数が極端に少なく、写真屋に現像に出さ
ないと、どんな写真が撮れたのかもその場では分かりません。
すぐに見られないからこそ、写真を受け取りに行きプリントされた
写真を見るまでのドキドキ感がたまりません。・-・
※アナログ写真の方が、フィルム代・現像代・プリント代と
デジタル写真よりずっとお金がかかります。
これは、平山さんのこだわりの趣味なのでしょう。・_・
■平山さん、それはダメでは? … @_@
と、気になった場面が実はありまして…。
トイレの個室の扉を開けたら男の子が隠れていた というシーン。
近くに保護者も見当たらないので、置いていくワケにも と
その子を伴ってその場から移動しようとする平山さん。 …あっ
#ゴミ拾いをしていた手で、子供の手を握ったらダメでしょ
と思ったのでした。
平山さん、何故かトイレのゴミを拾う時にはノー手袋なのです。
※便器拭きはゴム手袋を着用していたので、これはセーフ ・∀・
■平山さん対戦す
トイレの壁の隙間に挟んであったメモ用紙。
最初ゴミかとと捨てようとしますが、中を見て手が止まります。
そして何かを書いて、メモを元の場所に戻すのです。
次にこのトイレに来た際にも、同じ場所にメモはありました。
取り出して中を除き、嬉しそうな平山さん。
また何かを書いてメモを元の場所に。
後の方で、メモの中が明らかになります。
紙に書いたマス目に○印をつけていく対人ゲーム(…多分)
一日に一手ずつしか進まない、超スロー対戦です。
こういう時間の使い方ができる平山さん
こういう遊びを楽しみにできる平山さん
とてもいいなぁ そう思います。しみじみ。
◇最後に
” 平山 ”という名前について、もしかして
「富士山」に対して「平山」なのかな?
などと考えてしまいました。…・_・
「日本一の山」に対して、普通の「平らな山」の主人公。
この主人公は、ごく普通の平凡な日本人なだよ と
カントクが匂わせたかったのかなぁ。 …などと。
深読みしすぎかもしれませんが…。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
映画館の経営も大変だと聞いたし、最近はネット配信で済ます人も多いと思いますが、やはりあの大きなスクリーンといい音響で作品を楽しむのは至高の喜びですよね。
確かに2000円は高い😭…もっと多くの人に芸術に触れる贅沢を堪能してほしいです。
コメントありがとうございます😊
そこ、ですね。光熱費やっすいでしょうね。
家から何歩かの距離にコンビニがあれば冷蔵庫もレンジもいらないですね。それも24h営業なら怖いもの無し❗️あの〇✖️ゲームを楽しむ平山さんがいいのですね、心にゆとりがあって❤️
観た後ホワ〜となる作品でした。💕
ありがとうございました🦁
生活するには冷蔵庫とレンジは必須と思っていましたが。
平山という名前、お考えの通りかも。スカイツリーとも対比して。
カエデの苗たち、の将来の問題も出て来そう。
『すばらしき世界』と生活の様子が似ていたと思います。本は無かったけれど。🦁
こんばんは♪
共感とコメントありがとうございます😊
素手でゴミ拾い、気になりました。その手で手を繋いでいましたか。😱評価4かなと思いつつ、途中ちょっと飽きてしまったので3.5(いつになく説明できる自分)
スカイツリー綺麗でしたね。
スカイツリーの麓⁉️のアパート、
メゾネット様式、でも風呂無し、
家事ほとんどする必要無し。