「ひと時」PERFECT DAYS ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
ひと時
ヴェンダースの目に映る世界は、こんなにも美しく、こんなにも儚い。木漏れ日も鳥のさえずりも街の音も、平山も私もあなたも永遠ではいられない。しかし、ひとりひとりに訪れるこのひと時、この一瞬こそが私たちが生きている全てなんですよね。そしてこのひと時は、誰かに批評されるものでもなく、誰かに支配されるものでもなく、誰かに捧げるものでもなく、私だけのものなのです。私だけに訪れるささやかな愛しい時間をとても詩的に表現していました。
ブラックミュージック〜ロック〜演歌、、、愛しい音楽、愛しい古本屋、愛しいカメラ、愛しい銭湯、愛しい飲み屋さん。私が生まれ育った昭和の板橋の風景を思いだしてしまいました。キャラクターを体現した役者さんも、ベンチや電車の隣同士になったことがありそうと思ったほど、東京の街の一部となっていました。
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」に心を奪われた20代。「パリ・テキサス」のトラヴィスをやっと理解できた40代。
50代を前にして本作と巡り会うことができて本当に良かったです。映画との出会いは一瞬だと思うし、本作との出会いも2024年の「今」なんだと思いました。
ここ最近のヴェンダース作品はイマイチと感じていましたが、あの少年の様に瑞々しいヴェンダースに完全復活しましたよね。そしてヴェンダースの名作は間違いなく「場所」を主役にしています。東京の平山もベルリンの天使もキューバの音楽家も「その場所」だからこそ輝けるのですね。
本作を鑑賞してヴェンダースが撮る作品をこれからももっともっと観たいと思いました。そんな作品です。
おはようございます。
手と目が止まる、木漏れ日をみる平山さんのような心境でミカさんのレビュー読ませてもらいました。半分をとうにこえてる人生に沁み入ることばでした。そして、また平山さんに会いたくなった〜😌
今晩は。いつもありがとうございます。
私は年代的にヴィム・ベンダース監督の新作を初めて映画館で観たのは、「ブエノ・ビスタ・ソシエルクラブ★アディオス」です。(で、速攻でサントラを購入。で、"Chan Cahn"に速攻で嵌る・・。分かりやすい。)
学生時代に、名画座で「ベルリン・天使の詩」を級友達と観て”すげえ!”となり、「パリ、テキサス」を友人宅で観て”良く分からないが凄い”となってから数十年振りに昨年末今作を観て、思いっきり嵌りました。ベルベットアンダーグラウンドを始めとした楽曲が、私の好みとベストマッチした事と、東京物語を愛しているとしか思えない抑制した画のトーン。劇中で描かれる「パトリシア・ハイスミス」の短編集なども好きだったし、役所さんの抑制した演技も素晴らしくつい、マイ、ベストファイブを数年振りに更新してしましました。では。返信は不要ですよ。