劇場公開日 2023年12月22日

「平凡な日常の幸せ」PERFECT DAYS ノブさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5平凡な日常の幸せ

2024年1月10日
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鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

ヴィム・ヴェンダース監督で役所広司がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞受賞ということで観たいと思っていた映画、本日鑑賞して参りました。
役所広司演じる平山のトイレ清掃員としての日常が淡々と描かれているのですが、なんだかとても心地良い映画でした。

早朝、近所の掃き掃除の音で目覚め、ふとんをたたみ、歯を磨き、ひげをそり、自販機でコーヒーを買って車に乗り込み仕事場である公園のトイレに向かう。車内ではお気に入りのカセットテープを聞く。平山のルーティーンである。
トイレをきれいにするために一生懸命働き、昼は木漏れ日の見えるお気に入りの木の側でサンドイッチを頬張り、仕事が終わると銭湯で汗を流し、馴染みの店で晩酌を楽しみ、寝る前に文庫本を読む。
趣味といえば、フィルムカメラで写真を撮ること、実生苗を持ち帰って育てること、古本屋で文庫本を買うこと。
すごく質素な生活に見えるが平山にはそれで十分なのである。Perfectな日々だ。
音楽はカセットテープで聞く、本は古本、カメラはフィルムカメラ、携帯はガラケー、まるで時代から取り残されたかのようだが、平山には十分満足なのだ。
空を見上げたり、トイレの壁に揺れる影を見たり、木漏れ日を見つめる平山の表情から幸せを感じて生きていることが伝わってくる。
決して人間嫌いという訳ではなく、ただ無口でシャイな部分があるだけで、今を満足して生きている姿に、現代人が忘れかけている大切なものを映画は示唆しているように思える。
ルーティーンの中には日々細かな変化も多々存在する。出来の悪い同僚の若者に振り回されたり、突然裕福な家の姪っ子が家出して転がりこんできたり。密かに想いを寄せるママが男と抱き合っているのを目撃したり。
でも平山にとっては小さな事だ。多少感情は動いても慌てふためいたりせず、まるで真理を悟ったかのような達観した生きざまで一日を終える。
欲というものが平山から感じられない。それは、今生きている生活の中に喜びを見出だして十分幸せに生きているからに他ならない。そんな平山の姿がまぶしかった。
石川さゆりさんもいい仕事をしてましたね。
今年2本目の映画鑑賞でしたが新年早々良い作品に出会えました。

ノブ
ゆ~きちさんのコメント
2024年2月20日

カナダのバスタブは浅くて足伸ばせなくて、肩まであったまれなくて、せめて銭湯さえあれば…でもLGBTQ意識の強いカナダで裸になる銭湯は作れるの?的な堂々巡りを、いつも日本人としてますwww 本当に日本のお風呂が恋しいです!水着なんて嫌です!w

ノブさんも平山みたいですね。私も知的に過ごしてみたいです!

ゆ~きち
ゆ~きちさんのコメント
2024年2月20日

カナダには銭湯ではなくサウナがありますが水着で男女混浴です。いつも日本人と銭湯行きたい、浴槽で足伸ばしたい😭…と嘆いてますw

いつかノブさんと映画をご一緒できたら、一緒に拍手しましょう♪気持ちいいものですよ。

ゆ~きち
ゆ~きちさんのコメント
2024年2月20日

ノブさん、いいね、いつもありがとうございます。

モノなんかない方が知的に穏やかに過ごせますね。私も断捨離しなきゃですw

ゆ~きち