劇場公開日 2023年12月22日

「主人公平山の幸せを、映画を通じて共有できる良作」PERFECT DAYS 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0主人公平山の幸せを、映画を通じて共有できる良作

2024年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

主人公平山の日常を描く作品なので、ともすれば退屈になりがちなテーマだと思うが、全くそんなことは無かった。
昼休みに神社で写真を撮る、仕事終わりに銭湯へ行く、飲み屋で一杯やる、寝る前の読書といった平凡な日常に彼は幸せを見出している。その幸せを、映画を通じて共有できるのが面白い。
贅沢をする=幸せでは無い。彼は決して裕福な暮らしをしているとは言えないが、身の丈に合った幸せを噛み締めながら生きている。幸せは、日常のささいな出来事に見出すものだというのを教えてくれる映画。

平山はとても寡黙で、作中でもほとんど話さない。人が周りに居てもただ笑顔でいるだけのことが多い。それでも職場の後輩や飲み屋の女将といった、彼の周囲にいる人々と、不思議と心地よい関係を築けている。人間関係の構築には、必ずしも社交的である必要は無く、ただ楽しそうにその場に居るだけで十分だということが分かる。

映画の中で彼の周りの人間が、仕事を辞めたり癌が発覚する等、様々な出来事が起こるが、そういった生活の変化が、一人一人の人生があることを感じられてしみじみとした。

人生や幸せについて考えることのできて、劇場で観れてとても良かった。

根岸 圭一