「何も起こらない映画。素敵な映画。」PERFECT DAYS CBさんの映画レビュー(感想・評価)
何も起こらない映画。素敵な映画。
渋谷区のトイレ掃除を仕事に、毎日同じリズムで暮らしている主人公の話。
基本的に、何も起こりません。というか、そのくらいの気持ちで観た方が絶対いい映画。
その中にさざ波のように起きる「ゆれ」を楽しむような映画です。
ビム・ベンダース監督って「ベルリン・天使の詩」の監督か。あの映画も好きだったなあ。街と人を撮るのが上手な人なんだね。
そして主人公を演じた役所さん(広司)、カンヌ国際映画祭 男優賞 受賞おめでとうございます!!
ある男が語る「影って、重なると黒くなるんですかね、変わらないのかな?」 に対して主人公が「黒くなりますよ」と力説するシーンがある。
あなたと彼女が出会っ(て後に別れ)たことに意味がある(重なった影は、濃い)のか、意味がない(重なっても、なんら変わらない)のか、という点を言っているのか、
私の暮らした昨日と、まったく同じような今日、それが重なったら濃くなるのか、それとも全く変わらないのか、という点を言っているのか。
いずれにしても、「黒いですよ。ほら、濃くなっていますよ」と力説するのには、深い深い意味がある。俺もそう思う。何もかわらないなんてこと、決してない、と。
主人公が、毎日眺める木もれ日、それが本作の主題です。ほら、なんにも起こらないでしょ。
だけど、素敵な映画なんだよなあ。すごい。
おまけ
本作内に登場する2つの書籍をググってみました。
・パトリシア・ハイスミス「11の物語」の中の一篇「すっぽん」は、ある出来事をきっかけに、話を聞かない母親に爆発してしまう少年ヴィクターの話。(Wikipediaから引用)
・幸田文の「木」:随筆。「樹木を愛でるは心の養い、何よりの財産」 父・露伴のそんな思いから、本随筆の著者である娘・文は樹木を感じる大人へと成長した。著者の透徹した眼は、木々の存在の向こうに、人間の業や生死の淵源まで見通す。北は北海道、南は屋久島まで、生命の手触りを写す名随筆。(以上、新潮社の紹介文から引用)
おまけ2
この感じ(何も起こらないけど素敵な映画)は、ジムジャームッシュ監督「パターソン」以来だなあ。気持ちがいい。そういえば大森立嗣監督「日日是好日」もそうだったか。
おまけ3
この映画とは全く関係ないが、「木漏れ日」と言えば、下記の実験をぜひ多くの人に知ってほしい。科学、つまり「『なぜ?』を突き止めたい」という心、突き止めた時の喜びに、年齢は関係ないことを心から感じることができる、小学生が行った実験記録です。
映画.comにはリンクはおけないので、ブラウザで 「木漏れ日の謎!すごいぞ!自然現象!」 でググってみてください。お手数です。
CBさん
こんにちは😃レビューを全て読みきれなくて対応が鈍くなってしまってます。
パターソンも大好きな映画です!
遅ればせながらフォローさせていただきます。
宜しくお願い申し上げます🤲
色々な作品のレビューにいいねとコメントありがとうございます。
色々なことが起こる映画も面白いですが、歳のせいか、何も起こらない映画にぐっと来ることが多くなりました。
まあ、でも賑やかな映画も静かな映画もどちらもいいものはイイ、ですね。
CBさん
共感&コメントありがとうございます。
そうですね。何もおこらないことの心地よさを感じますね。私も「日日是好日」思い出しました。
素敵な作品です。
おまけの「木漏れ日の謎〜」拝見しました。いいですね〜賢い子になること間違いなし(既に内容が賢いですが)よくこのページ見つけられましたよね。そこにも感心しました。
CBさん
コメントありがとうございます。
「木漏れ日の謎、自然現象」
ググって小学5年山本凛ちゃんのけんきゅう、
見ました。
凄い自由研究(かな?)ですね。
木漏れ日が丸く見える条件・・・驚きました。
私も「パターソン」と似てると思いながら観てました。
2週間と思ったのは2回、コインランドリーでツナギを回して、
休みの日には石川さゆりママのスナックへ行って、
2度目に三浦友和と会って影踏みをするんですものね。
15日間。
役所さんは毎朝4時前に起床してたんでしょうね。
ヴィム・ヴェンダース監督が好きになりました。
素敵でしたね。
みかずきです
主人公は、過去の父親との確執の二の舞にならないように、
人間関係に距離を置いて、ルーティンを守ろうとします。
しかし、人間関係は相手あってのことなので、
自分の思惑通りにはいきません。
相棒の若手社員は勝手に辞めるし、馴染みのスナックのママの所には元夫が現れます。
主人公の心は乱れます。遵守してきたルーティンは崩れます。
沢山の酒をのみ、たばこも吸います。
主人公のルーティンは、穏やかで、良好な人間関係が前提です。
しかし、人間関係に距離を置こうとしても、スナックのママのことは段々好きになるし、相棒は勝手に辞めていきます。
本作の表のテーマは、清貧生活を送っていても小さな喜びを見つけて満たされることはできるです。
裏のテーマは、人間関係は思い通りにはならない。ままならないものだということだと思います。
人間関係の難しさと大切さが実感できる作品でした。
では、また共感作で。
ー以上ー