「平山さん」PERFECT DAYS まこやんさんの映画レビュー(感想・評価)
平山さん
人生の豊かさ、普通の生活、人との関わり
無口な平山さんは言葉は少ないが目と表情で
表現する。もしかしたら、若い頃何かしらが
あり自分らしく生きる為にトイレの清掃業
を始めたのかもしれない。
朝早く自然の時間で起床し職場への準備をする。
苗木に水をやり、コーヒーを買い車で出発。
今朝の気分で好きなカセットテープで音楽を聴く。空をいつも見上げている。
毎日同じようにしてるが、一瞬一瞬が違うから
大切に生きて感じてるんだろう。
都会で働きながら、彼だけ森の中でゆったり
過ごしている感じもする。
古書店、銭湯、カメラ屋、行きつけの飲み屋
彼らしい満足の日々に少しずつ色々な人が紛れ込む。その交差具合も絶妙。
役所広司さんと三浦友和さんの影踏みは
ほっこりする。水際の水音も心地良い。
姪っ子ニコが『あの木はおじさんの友達?』
は心優しい豊かなセリフは好きだったなぁ。
平山の『この世界には沢山の世界があるが
繋がっているように見えて繋がってない世界がある』の言葉は深い。
アニマルズ、オーティス・レディング、パティ・スミス、ヴァン・モリソン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニーナ・シモン、ルー・リードの劇中曲は最高であった。最後のフィーリンググッドが流れた時の平山の表情。
目頭が熱くなり目が真っ赤に高揚する演技は
素晴らしかった。このラストシーンがこの作品の
全部を物語っている。
幸せは人其々。比べる物でもなく、選ぶ物ではなくその人が感じる物。
エンディングのルー・リードの歌声とピアノ伴奏もしっくりきたなぁ。
久々に身体の奥底からじわーっと温まる映画でした。