「永遠を思わせる作品」PERFECT DAYS Gさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠を思わせる作品
キルケゴールの『反復』を想起せしめる見事な映像詩だ。現代に生きる我々は生の倦怠を抱いている、刻一刻と過ぎ行く時の中で幾度も死を経験するがごとき倦怠だ。しかし、「平山さん」はかかる生の倦怠を抱かない、なぜであるか?彼は刹那に刻印されたるところの永遠を生きているからだ。彼は我々とは異なる時間を生きている。瞬間は永遠のアトムにして時間の断片に非ず、とはキルケゴールが「不安の概念」において記した言葉であるが、役所広司演じる平山は「永遠の戯画なる瞬間」、即ち「永遠の現在」を生きる。それは刹那にして過ぎ行くもの、もはや二度とは訪れぬ永遠のアトムである。彼は幾度も新しき生に甦るのだ。
「今を生きよう」と思った。ああ!何と素晴らしい映画!平山さんのように生きられたならば、一刻一刹那に刻印されたる永遠に触れ得たならば!
何度でも、何度でも繰り返し味わいたい作品です。まだ、ご覧になっていない方に是非ともお薦めしたい。ヴィムヴェンダースと役所広司、奇跡のタッグだ!
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