「街と人と道路とトイレの素晴らしい時間」PERFECT DAYS ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
街と人と道路とトイレの素晴らしい時間
まったく素晴らしい時間だった。役所広司演じるトイレ掃除のおっさんの最初の1日のルーティン観てるだけでグッときてしまった。何を大切に、何を感じ、街を眺め、街の中に生き、街の中に見つけ、そんな一日。ベンダースの今がそうなのか。こういうのは日本的なのかと思ってたのが、ベンダースから提示されるとは。
孤独ではあるが寂しさと違う。距離を置いているけど離れてない。「今度は今度今は今」ではないけど、その境界線を大事に生きる人生の断片。その日常を少し掻き乱す人たちの断片から想像できるその先の世界、主人公の想像を良き方に超える、想像外の小さなサプライズが嬉しい。同僚の柄本時生とその彼女、改札脇の飲み屋、行きつけのママさんとその男の話、役所広司のリアクションが本当にいい。ラストのドライビングシーン、その表情が素晴らしかった。
過去の作品に比べて軽やかであるが、やはり映画と街と人、とりわけ道路の景色がとても沁みた。
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