「日常の可笑しさをすくう」PERFECT DAYS にんじんさんの映画レビュー(感想・評価)
日常の可笑しさをすくう
繰り返される日常の中にある、可笑しさを優しくすくいとったような作品。
公開二日目で評価が高いから期待して観にいったら序盤、中盤とずっと退屈。
特に物語的展開もなく、繰り返される平山(役所広司)の日常がただそこにある。ちょっとした日常のくすぐりや可笑しさが描かれていて、所々劇場にくすくすと笑いが生まれるのが堪らなく良かった。
最後まで何も起きないし、何も変わらないけど、なんで最後のシーンであんなに感動が生まれるのか分からない。今まで観た映画の中で、全く知らない新しい感動が最後押し寄せてきた。
なんと形容すればいいか分からないが可笑し泣きした。
多分この映画が退屈なのも、つまらないのも自分たちの日常を振り返ると必然なのかも。
そして笑いが生まれる映画館が本当に良かった。この映画は映画館で見るべき。
パンフレット読んでも、レビュー読んでも「トイレの清掃員」であるという要素が大きく取り上げられていて、周りに少し疎まれながら丁寧に綺麗にする日本人の美徳みたいな事が書かれているし、
外国人の監督もそういうコンセプトでこの映画を撮ったのかもしれないが、映画のキャッチーな要素としては興味深いけど、
平山にとってトイレ清掃員というのは何も平山である事の重大な結果でなく、その過程に過ぎないと思う。
だからこそトイレ清掃員だからというカテゴリーで平山を見てそこに美しさを見つけるのは違和感がある。
平山の寡黙で人よりずっと物事を考えてる様に見えて実は物凄く純粋だったり、誰にでもある日常の可笑しだったりこそが、この映画の大切な部分だと思う。
> トイレ清掃員だからというカテゴリーで平山を見てそこに美しさを見つけるのは違和感がある。
平山の寡黙で人よりずっと物事を考えてる様に見えて実は物凄く純粋だったり、誰にでもある日常の可笑しだったりこそが、この映画の大切な部分だと思う
うなづきまくりでした。
素敵に言語化いただき、気づかせていただいてありがとうございます。